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技術開発

JS技術開発情報メールNo.105

 

日本下水道事業団(JS)

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       2010・8・6

    JS技術開発情報メール No.105

━━━━━━━━━━━━━━━━━◆◇◆JS技術開発部

 

(目次)

◆トピックス

<日本下水道協会より奨励賞を受賞>

<10’下水道展(名古屋)JSブース報告>

◇部ログ

<消化ガスの有効利用>

◆要語集11

<灰分>

◇下水道よもやま話

<二つの下笹目>

◆技術のポイント(部長コーナー)

 <下水汚泥はなくせるか?(3)>

 

 

 

 

━━☆★ トピックス ★☆━━

 

☆日本下水道協会より奨励賞を受賞★

 

この度、中沢俊明(三菱化工機梶j、猪木博雅、島田正夫、水田健太郎(以上、日本下水道事業団)による連名で下水道協会誌論文集に投稿した「汚泥の熱可溶化技術を組み込んだ高効率嫌気性消化法の実用化に関する調査研究」により(社)日本下水道協会の第47回通常総会で奨励賞を受賞しました。本表彰は、下水道協会誌論文集に掲載された論文の中から選ばれたものです。

 

本研究は、平成18年度から、日本下水道事業団と三菱化工機鰍ニの共同研究としてスタートしました。消化汚泥及び脱水汚泥の一部に160〜180℃、0.65〜1.0Mpa、30分の熱可溶化処理を施し、熱化学的に加水分解して消化槽に返送することにより、消化ガスの増収と汚泥減量化を目的として室内実験を実施したものです。従来技術では、熱可溶化対象汚泥を消化槽投入汚泥としていましたが、本研究では、熱可溶化対象汚泥を消化汚泥と脱水汚泥の混合汚泥とし、従来技術に比べて熱可溶化に係る投入熱量を抑制することで、回収エネルギー量が改善される効果が見込まれます。

 

室内実験結果では、従来嫌気性消化プロセスに比べて消化ガス発生量は約8%と僅かな増加量であったものの、消化率は嫌気性消化プロセスの一般値である50%から約70%に大幅な改善効果が得られました。更に脱水汚泥の含水率は約5%の改善効果が確認され、消化効率だけではなく、脱水効率の改善効果も確認されました。

 

今回の受賞は、本技術の実用化が期待された上で選ばれたものと思います。今回の受賞をきっかけに、本技術の実用化に向けて今後更に邁進していく所存です。

 

平成22年5月からは、大阪府、兵庫県にある原田下水処理場の用地をお借りしてパイロットプラントによる実証実験を開始しています。実証実験を継続し、その結果を検証後、平成23年度中には実用化・商品化を予定しています。本実証実験結果については、また何かの機会に皆さまにご報告したいと考えています。

 

 (技術開発課 水田健太郎)

 

 

 

 

☆ 10’下水道展(名古屋)JSブース報告 ★

 

「循環のみちを拓く 下水道展 名古屋」が7月27日(火)から30日(金)まで、名古屋市内のポートメッセなごやで開催されました。技術開発部では、JSブースに「創エネルギーに向けた技術開発」、「膜分離〜技術開発から実用化への取り組み」、「JSの共同研究のメリット、成果」といったパネルの展示とともに、デモ装置を使った膜分離活性汚泥法処理技術の紹介を行いました。猛暑の中でしたが、全国の自治体の方はじめ、子供連れの一般市民の方も多数来訪され、新しい処理技術等に関心を示されるなど、盛大のうちに無事終了しました。

 

 

 

 

 

━━☆★ 部ログ ★☆━━

 

<消化ガスの有効利用>

 

編集委員:昨年の3月号で「嫌気性消化プロセス」、7月号で「汚泥のエネルギー利用」と汚泥の有効利用について大々的に特集してまいりました。今回は第3弾(もう打ち止め)としまして、消化ガスの有効利用について、具体的な事例を交えて将来の展望を水田さんに教えていただきます。では、水田さん張り切ってどうぞ〜〜

 

水田:まず、嫌気性消化について簡単におさらいしますと、消化槽内で汚泥を発酵させ処理する技術です。

 

編集委員:「ハッコウ」っていっても光るわけじゃないですよ・・HaHaHa。

 

一同:・・・・・(冷たい視線)

水田:・・・・・(華麗なるスルー)・・・汚泥減量化や汚泥性状の衛生的な安定化を目的に、嫌気性硝化は、全国約300箇所の処理場で導入されています。最近では、地球温暖化対策として、消化ガスの有効利用も注目されつつあります。

 

編集委員:消化ガスを都市ガスの代わりに使えるの?

 

水田:消化ガスの成分は、おおむねCH4 60%、CO2 40%です。CH4は、都市ガスにも使われている可燃成分なので、都市ガスの代替になります。

 

一同:フムフム

 

水田:消化ガスの有効利用方法は、「場内利用」と「場外利用」に分けられます。場内利用では、ボイラー熱利用の他に消化ガス発電が普及しています。消化ガス発電は、全国30箇所程度で導入されており、発電で得た電力と廃熱を処理場内で利用しています。

 

編集委員:家庭用のエネファームみたいだね。

 

水田:その通りです。電力と廃熱の両方を使うので、規模の大きいエネファームですね。7月号の部ログでも話題にあがりましたが、海外製の発電機が多く、メンテナンスに手間がかかるのが課題です。JSでもメンテナンス性の改善に向けて、ロータリーエンジンなどの国産技術を活用した消化ガス発電の開発に取り組んでいます。

 

編集委員:場外利用では、神戸市で公共バスの燃料として利用していますが、他に利用方法はありますか?

 

水田:ガス導管に直接注入する「都市ガスとしての直接利用」が考えられます。ただし、ガスの精製、付臭やカロリー調整などの設備が必要です。

 

編集委員:処理場の中にガス工場があるみたいですね。

 

水田:そうなんです。外部利用するための専用設備、人員が必要になりますので、ガス発生量が多かったり、立地的に優れていないと採算性が難しいですね。

 

編集委員:ということは、中小の処理場では外部利用できないの?

 

水田:ガス発生量を増やす新技術が開発・導入され、制度面の行政的支援がされれば、全く可能性がないわけではありません。政府も温室効果ガスの排出抑制を掲げていますし、生ゴミとの混合消化なんかも検討されています。

 

一同:ふ〜ん

 

水田:その他の外部利用の可能性としては、ボイラーをもつ事業所への直接供給が考えられます。需要者側のボイラーを未精製消化ガス対応にすることで、消化ガス精製に係るコストを抑えることができます。ただし、専用配管を敷設する必要がありますので、処理場近隣に限られるのがネックです。

 

編集委員:未精製のまま消化ガスを利用できれば、お金がかからなくていいですね。処理場内の消化ガス発電でロータリーエンジンを使えるくらいだから、JSの公用車も未精製のまま動くんじゃない?

 

編集委員:未精製消化ガスを使えたら、僕の車のガス代安くなるかも (●⌒∇⌒●) わーい

 

編集委員:研究課題になるかな〜〜確認のため、宮内君の車でテストしてみましょう(ニヤリ)。

 

宮内:((-ω-。)(。-ω-))ウウン

 

編集委員:なるほど、オチはつきませんでしたが、研究課題も決まって有意義な部ログ編集会議でした。今回は、この辺でお開きにしましょう。

 

宮内:おい〜 ちょっと待ってくださいよ〜

 

(講師:水田健太郎、編集:M田知幸)

 

 

 

 

 

 

━━☆★ 要語集 11 ★☆━━

 

<灰分>

 

※PDFで全文が添付されています。

 

解説】試料を空気中で815℃に通常1時間加熱したとき、残留するものを灰分といいます。例えば下水汚泥は、主に水分と有機分と灰分とでできています。脱水汚泥の場合、概ね水分80%、有機分17%、灰分3%程度です(処理場等により数値は変動します)。

 

処理場の中では、割合によって運転方法を調整するといったことも無く灰分の関わりは小さいのですが、燃料化(特に微粉炭ボイラ)など処理場の外では、灰分が重要な数値になります。微粉炭ボイラでは、灰分が多いと伝熱阻害が起きるため、ボイラごとに灰分の許容値があります。下水汚泥の炭化物は、石炭と比較して灰分が多いので、ボイラの許容値を超えないように計算しながら、石炭に混ぜて使う必要があります。

 

         (技術開発課 宮内千里)

 

 

 

 

 

━━☆★ 下水道よもやま話 ★☆━━

 

<二つの下笹目>

 

 

今から5年ほど前に、このコーナーで「武蔵国佐々目郷」と、JS技術開発部の所在地周辺の歴史が紹介されていましたが、JS技術開発部は、埼玉県戸田市下笹目に所在し、戸田市の西のはずれにあります。

 

JSだけが「下笹目」で、周囲は全て「笹目」です。元来、荒川の堤防と堤外地が「下笹目」なのですが、JSは堤防の付け替えで得た土地にあるため、このようなことになっています。かつては郵便物の速達配達区域外だったり、今も携帯電話の電波が届きにくいなど不便を被っています。しかし、バス停や交差点の名称に「下笹目」が付いており、一帯がかつては下笹目であったことを示しています。しかし、下笹目は町名変更の中で消えていき、荒川の中にその名を残すのみになったと私は思っていました。

 

ところが、JR埼京線の北戸田駅近辺も「下笹目」であることを最近知りました。戸田市の北のはずれで、荒川からは遠く離れています。遠く離れていながらも地名が同じため、驚いたことに郵便番号まで同じです。

 

かつて、戸田市の広い範囲が「下笹目村」であり、町村制施行により「笹目村大字下笹目」となりました。戦後の市街化と町名変更政策の中で、この2箇所が北と西に分断される形で「大字下笹目」のままで残り、現在に至ったようです。「笹目」は、古くは「佐々目」と書きましたが、「下笹目」から「下」の字を取って「笹目」としたとのことです。「下笹目」は、ある意味、由緒ある地名ですが、消滅寸前の地名でもあります。北戸田の下笹目は再開発中のため、やがて町名変更により消滅するのではないかと思えます。

 

たまたま同じ地名で、何のゆかりも縁もないのかと思ったら、意外なつながりがあります。JSに隣接して埼玉県の荒川左岸南部流域の処理場がありますが、北戸田の下笹目も、その隣接地にこの流域の中継ポンプ場があります。二つの下笹目は奇しくも流域幹線で直接つながっています。

 

 

      (技術開発課長 川島正)

 

 

 

 

 

 

━━☆★技術のポイント(部長コーナー) ★☆━━

 

<−下水汚泥はなくせるか?(3)−>

 

生物製剤の添加や運転方法の変更により『高機能な活性汚泥』に改質することで「下水汚泥をなくせる」という新技術の話をよく聞くことがあります。今回は、「下水汚泥はなくせるか?」というトピックの最終回として、これら『新技術』を検証する場合のポイントと、その将来性について、個人的な見解を述べてみたいと思います。

 

 

このような『新技術』は、下水以外の排水に対する活性汚泥処理での実績に基づいて、「下水処理に適用できる」という話が多いように思われます。他の排水の例としては、産業排水、たとえば、厨房排水、食品加工排水などで、下水管路施設のような排水の長距離輸送システムを経ていない新鮮な排水と考えられます。下水を原水として、対照系列を持つ活性汚泥法(通常、標準活性汚泥法の運転条件)のパイロットプラントによる長期実験を実施しても、『新技術』により他の排水の事例から予測される明らかな“下水汚泥の減量効果”が確認できないことが多々あります。

 

これらの排水と下水では、何が違うのでしょうか。

排水の水質は、BOD、COD、SS等を指標として比較されますが、下水道では、下水管路施設内の流下過程での沈殿や生物反応等による「通常の指標では評価できない排水中の有機物等の性状の違い」が起こることが原因の一部ではないかとも思われます。

 

『新技術』による水処理施設からの余剰汚泥の低減効果を定量的に検証する場合、

 

○ 下水の組成は、食品加工排水や厨房排水と比べて単純ではなく、管路システムにより、また、季節的に、大幅に変化する。

○ 処理場(パイロットプラントを含む)での汚泥発生量を正確に把握するためには、センサー等の計測技術を利用した連続的なデータの把握などの信頼性を確保し、物質収支・エネルギー収支などの水処理技術の原理原則を理解したうえで、固形物(SS)の物質収支を正確に計算する。物質収支においては、『リン』収支によるチェックが有効である。

○ 都市下水の処理を対象とした活性汚泥法の施設設計・運転管理上の常識にとらわれず、「下水道」という枠を超えて、『新技術』を門前払いせずに広い視野で興味を持ち、冷静に真実を追究すれば、新たな発見につながる可能性がある。

 

がポイントです。

 

平成22年3月に、日本下水道事業団技術評価委員会の松尾友矩会長(東洋大学常勤理事)から日本下水道事業団理事長に答申された「アナモックス反応を利用した窒素除去技術の評価に関する報告書」で対象とした『アナモックス細菌』による反応は、嫌気性消化汚泥脱水ろ液(アンモニア性窒素濃度700〜1,000mg/L、低BOD濃度、水温30℃程度)を主たる処理対象としていますが、「都市下水の処理」の経験だけでは、このような新たな反応や細菌の発見は不可能です。

 

「発想の転換」、「創造性」、「常識に囚われない柔軟な思考」による素直な発想からこそ、夢のような、低コストで省エネルギーな「下水汚泥の減量化」技術が生まれる可能性があると思います。

 

     (技術開発部長 中沢均)

     

     

     

 

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