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技術開発

JS技術開発情報メールNo.108

 

日本下水道事業団(JS)

◆◇◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

       2010・11・9

    JS技術開発情報メール No.108

━━━━━━━━━━━━━━━━━◆◇◆JS技術開発部

 

(目次)

◆トピックス

<ISO/TC253会議に参加して>

<JS技術報告会(東京会場)開催報告>

<耐震改修工事に伴う技術開発部の執務室移転について>

<アナモックス技術評価書発行のお知らせ>

◇部ログ

<生物学的リン除去 パオ?ガオ?>

◆下水道よもやま話

<あったら良いのに!!???>

◇技術のポイント(部長コーナー)

<小規模処理場(3)>

 

 

 

━━☆★ トピックス ★☆━━

 

☆ ISO/TC253会議に参加して ★

 

                  理事 村上孝雄

                  

10月12日から17日まで、国土交通省下水道部の宮原流域下水道計画調整官とポルトガルのリスボンに出張しました。目的は、第1回ISO/TC253会議への出席です。このISO/TC253会議とは、ISOの活動の一環として「下水処理水の灌漑利用」に関する国際規格を審議する専門委員会です。本専門委員会は、イスラエルが事務局を勤め、合計31ヶ国がメンバーとして登録されていますが、第1回会議に出席したのは、イスラエル(事務局)、ポルトガル、フランス、英国、オーストリア、インド、メキシコ、日本の8ヶ国とISO事務局を加えた16名でした。

 

「下水処理水の灌漑利用」の国際規格化については、今年4月にイスラエルのテルアビブで予備会議が開催され、その際にこの案件をISO規格委員会で扱うことが決定されました。また、農業利用に限定するか、否か予備会議で議論され、都市利用についても盛り込まれた形で、第1回専門委員会がリスボンで開催されました。

 

本国際規格化については、淡水が貴重な資源であることから、下水処理水の活用が重要であること及び下水処理水の再利用を適正に実施することによって環境汚染を防止することが二つの大きな目的とされています。しかしながら、会議の議論を通じて、イスラエルが国際規格化に熱心な本音の理由が見えて来ました。イスラエルでは水資源が乏しいため、灌漑用水の約半分が下水処理水によって賄われていますが、同国は農作物の輸出国であることから、下水処理水によって育てた農作物がリスク的に問題無いということが重要になります。このため、ISO規格を設け、これに従って下水処理水を農業利用することにより、イスラエル産農作物の安全性についての「お墨付き」を得るということが、実利的な目的のようです。ポルトガルやメキシコでも下水処理水は農業用水として重要であるため、早期の国際規格化を望んでいるようです。

 

第1回委員会では、前回の予備会議での決定事項に関する審議と事前にイスラエルから提案された規格案についての審議が行われました。前回の決定事項に関しては、これから作ろうとしている規格は、あくまでもガイドラインであり、その趣旨に従った記述とすること、また、各国で下水処理水の利用に関して、独自のガイドラインや基準があれば、その使用を妨げるものではないことが確認されました。イスラエル作成の規格案に関しては、目次と用語の定義について審議を行いましたが、議論百出で半分程度しか進みませんでした。なお、議論の中心は下水処理水の農業利用における農作物や土壌に関するリスク評価で、特にホウ素が大きな問題となっています。一方で、都市利用に関しては、各国とも公園の芝生への散水を考えている程度で、この点では日本と諸外国との温度差が感じられました。

 

本規格は3年以内にISO規格としての公表を目指すことになりました。委員会は、年2回のペースで開催される予定で、次回はウィーン、次々回はメキシコシティーで開催される予定です。

 

さて、出張中は、会議前日の下水処理水の灌漑利用に関するワークショップを含めて、3日間、朝から晩まで会議でしたので、リスボンの街の風情を味わう余裕はありませんでしたが、印象としては全体的にレトロな感じがする街です。食事では、ワインが美味しく、また、料理もなかなか結構なのですが、味付けがやや塩辛い感じです。

 

ポルトガルは、日本に鉄砲を伝えた国で、色々な言葉も日本語になっています。パン、テンプラ、カステラ、ボタン等々で、なるほど、レストランのメニューを見るとテンプラと書いてありましたが、ケーキ類等には日本のカステラ風のものは見当たりませんでした。

 

ところで、ポルトガルの国立土木技術研究所の女性研究者から聞いたのですが、彼女によると、日本語の「有難う」はポルトガル語の「オブリガード」が語源だということです。「有難う」は「有難きこと」から来ているので、それはないと思いますが、彼女は自説に自信満々でした。確かにタクシーも料金を払うとき、運転手が「オブリガード」と言うと「有難う」と聞こえます。いずれにしても、このように日本に親しみを持ってもらうのは「有難き幸せ」だと感じました。

 

PDFファイルに写真が添付されています。

 

 

 

 

☆ JS技術報告会(東京会場)開催報告 ★

 

10月28日(木)に、東京都内の四谷区民ホールにおいて「JS技術報告会」が開催されました。200人を超える外部からの来場者を迎え、技術開発部からも最近の成果報告を行いました。中沢部長から「JS技術開発の動向と課題」、橋本総括主任研究員から「MBRの開発」、山本総括主任研究員から「創エネ技術の開発」について報告しました。また、最新の共同研究の成果について共同研究者であるアタカ大機梶iMBR)、メタウォーター梶i高速メタン発酵技術、ロータリーエンジン消化ガス発電)、旭化成ケミカルズ梶i下水中からのリン回収技術)から報告していただきました。

 

11月17日(水)に、大阪・堺市でもJS技術報告会が開催されます。詳細はこちらをご覧ください↓

http://www.jswa.go.jp/spot/gijyutuhoukokukai.html

 

 

 

☆ 耐震改修工事に伴う技術開発部の

執務室移転について ★

 

技術開発研修本部の管理等本館耐震改修工事を現在行っていますが、施工上、技術開発部の執務室を移転をする必要が出て来たため、11月3日(水)に移転を行いました。

移転先は技術開発研修本部内の総合実習棟2階です。同じ敷地内の向かいの建物になります。

電話番号は今までどおりです。

技術開発部にお越しの際は、ご注意ください。

 

 

 

 

☆ アナモックス技術評価書発行のお知らせ ★

 

平成22年3月29日、松尾友矩(東洋大学常勤理事)技術評価委員会会長から曽小川久貴日本下水道事業団理事長に答申された「アナモックス反応を利用した窒素除去技術の技術評価」の詳細データを含む技術評価報告書が発行されました。

 

入手方法はこちらをご覧ください。↓

 http://www.sbmc.or.jp/刊行物販売一覧

 

 

 

━━☆★ 部ログ ★☆━━

 

 <生物学的リン除去 パオ?ガオ?>

 

 

辻:今回の部ログは,私が講師&編集を務めさせていただきます。本日の話題は生物学的リン除去です。下水からリンを除去する一般的な方法として,アルミや鉄とリンをくっつけて沈殿させる化学的凝集沈殿と活性汚泥中の微生物の機能を利用した生物学的リン除去があります。

 

一同:( ̄。 ̄)ホウホウ。

 

辻:生物学的リン除去を担っている微生物の名前は,ポリリン酸蓄積細菌群,通称PAOs(パオ)といいます。

 

一同:パオ???

 

編集委員:パオ?・・・パオ?・・・パオーン!!ゾウさんですね。

 

編集委員:確かにそう言われればゾウですね。

 

玉之内:ゾウ (・−・)…ん???

 

辻:PAOsは菌体内にポリリン酸というリンがいくつも結合した物質を蓄積しており,酸素がない嫌気条件でポリリン酸をぶちぶち切って菌体外に放出します。酸素がある好気条件になると菌体外のリンを摂取します。このとき放出したリンよりも過剰にリンを摂取します。つまり,活性汚泥にPAOsがいて,嫌気条件と好気条件の環境をつくることで,下水からリンを除去することができます。

 

編集委員:となると,生物学的リン除去を行うときには,一時的に反応タンクでリン濃度が高くなることになるのですね。

 

編集委員:PAOsは一度はやせるけどやせる前よりも太ってしまうのですね。

 

編集委員:前理事長が「生物学的リン除去はリバウンドだ!!」とおっしゃっていたのを思い出すな〜。

 

玉之内:PAOsは下水管のなかや下水中にいるのですか?

 

編集委員:下水管の中の下水は嫌気条件になることもあれば好気条件になることもあるので,存在量は少ないと思いますが,PAOsが存在する可能性は十分にあります。

 

辻:実は,生物学的リン除去は安定して除去が行えない場合があることがわかっています。その原因のひとつに,PAOsの天敵ともいえる微生物のグリコーゲン蓄積細菌群,通称GAOs(ガオ)が挙げられます。

 

編集委員:ガオ?・・・ガオ?・・・ガオーーー!!ライオンさんですね。

 

編集委員:ゾウとライオンの戦いが下水処理場で起こっているとは・・・。

 

玉之内:あの〜〜〜〜〜,ゾウ???なんで???

 

編集委員:ゾウの鳴き声ってパオーンですよね?だからゾウですよ!!

 

玉之内:ゾウってパオーンって鳴くのですか?初めて知りました。それでゾウだったのですね。

 

辻:PAOsが蓄積しているポリリン酸を使うのに対して,GAOsは蓄積しているグリコーゲンを使うことが知られており,嫌気条件でグリコーゲンを分解してエネルギーを獲得して,好気条件でグリコーゲンを蓄積します。

 

編集委員:グリコーゲンってお菓子のグリコと同じですよね。確か昔のCMでグリコ1粒で数百メートル走れたような・・・。GAOsは甘党なんですかね(笑)

 

編集委員:グリコ蓄積細菌群と呼んだほうがいいかもしれませんね。なんかおいしそうですしね・・・・ハハハハハハ。

 

辻:生物学的リン除去の話題で,動物が出てきたり,お菓子が出てきたりとみなさんの発想には驚きました。オチはありませんが,この辺りでお開きにさせていただきます。ありがとうございます。

 

    (講師・編集:技術開発課 辻幸志)

 

 

 

 

━━☆★ 下水道よもやま話 ★☆━━

 

<あったら良いのに!!???>

 

下水道に携わり、既に25年以上たちますが、今更ながら、なぜこれが下水道業界に無いのか?と思うことがあります。

今日は、そのことについて、改めて考えてみたいと思います。

それは、何かと言うと・・・・・

「処理水の漁業利用促進委員会」など漁業関係者との公的なコラボレーションです。

 

技術開発部に在籍すると、国や下水道協会、推進機構等の委員会などに参加させていただきことも多く、私自身これまでも農業関連、エネルギー関連など、多種の委員会を経験してきました。特に農業分野の委員会などでは、農業関連の研究者、担当者、民間と多数の方が参加され、下水道資材の緑農地利用上の効果や課題を話し合っています。

 

農業分野では特に、下水汚泥の窒素、りんなど肥料としての効果と土壌改良材としての効果が期待されています。

 

さて、本題に入りますが、最近テレビのドキュメンタリー番組で、海洋資源を特産物とする町で、昆布が育たなくなったという特集を見ました。

 

海草が育たないということは海洋資源としては大問題で、昆布がなくなると、小魚が集まらなくなり、小魚がいなくなると、小魚を餌とする大型魚も回遊しなくなる = 漁業が成り立たなくなる と言うことでした。

 

昆布が育たなくなった理由は、海水中の栄養源が少なくなったことが挙げられると番組では紹介したいました。そこで、町では、ごみからりんを抽出し、海洋に栄養源として供給しているということでした。

 

なぜ海水中の栄養源が少なくなったかを考えて見ることにします。

 

本来、自然界では山や森から発生する栄養が河川を通して海に運ばれ海洋資源を育てるわけですが、山や森林の伐採などで安定した栄養の供給が減少したことが考えられます。また、遊休耕作地が増加したことで、田んぼや畑を通して河川に流失していた栄養が減少したことも考えられます。

 

そして、我々が関係する下水処理場が高度処理を行うことで河川や海洋への栄養供給量が減少しとことも想定されます。

 

下水道の特徴は広く分布した汚濁物を集約して処理することですが、このことは、効率面や流通面では非常に効果的です。ところが自然界で広く分布、循環していた栄養源の面から考えると、下水道の導入により、栄養源も処理場に集まり、一箇所の放流先に集中放流される、もしくは、高度処理などで窒素、りん除去を行っていれば、栄養源の多くは汚泥中に移行し、放流水への移行量は少なくなるなど、自然界とは異なる循環を行うことになります。

 

既に、このような状況を研究し、海洋に下水中の栄養分を戻す取り組みを始めた自治体もあると聞いていますが、もっと積極的に公的委員会などを設置し、真摯に技術面、事業面の検討をするべきではないでしょうか。

 

これまで漁業関係者とは下水放流での海産物への悪影響に対する保障問題など、あまり、発展的な関係はありませんでしたが、今後は漁業関係者が求める水質を必要量提供するような取り組みも可能ではないでしょうか・・・。

 

<私案>(PDFファイルに掲載されています

放流水をパイプラインで漁業関係者が必要とする箇所へ設置蛇口を一定時間空けると必要となる栄養源をどれくらい投入したかわかるように管理(処理水質の管理で情報提供可能)

蛇口は漁業関係者が操作するので必要な時、必要なだけ供給可能こんなこと出来ないでしょうか・・・!!

 

※ 参考 JS技術開発部が、委員として参加している委員会などの一例

「下水汚泥由来肥料の利用促進連絡会」(社)日本下水道協会

「下水汚泥緑農地利用調査委員会」(社)日本下水道協会

「下水汚泥エネルギー利用調査委員会」(財)下水道新技術推進機構

「下水汚泥エネルギー化技術ガイドライン検討委員会」(財)下水道新技術推進機構

 

      (総括主任研究員 山本博英)

 

 

 

 

━━☆★技術のポイント(部長コーナー) ★☆━━

 

<小規模処理場(3):

JS技術評価から見たOD法の意義と課題>

 

 

日本下水道事業団技術評価委員会が答申したオキシデーションディッチ(OD)法の技術評価(昭和57年12月諮問)は、3処理場の実態調査に基づいて、昭和58年12月に第1次、昭和60年に第2次の報告書がまとめられています。

 

それら報告書で明らかにされたOD法の知見のうち、活性汚泥法に共通の普遍的な設計・運転管理上のポイントは、以下のとおりです。

 

(1)OD法はSRT(固形物滞留時間)が長いため、硝化反応が起こりやすく、処理水に未硝化の窒素化合物が残留していると、処理水BODが高くなるため、N-BOD対策として完全硝化が必要となる。

 

(2)反応タンクへの酸素供給の増減により、好気ゾーンあるいは好気時間(好気部分)を調節でき、硝化反応により生じた硝酸性窒素は、反応タンク内に無酸素部分を設けて除去(脱窒)できる。リン除去には凝集剤添加法を適用する。

 

(3)わが国の流入下水のアルカリ度は一般に低く、硝化反応によるアルカリ度の消費により混合液のpHが低下し、処理が不安定になる。脱窒により硝化で消費されたアルカリ度の半分を回収することができ、処理水pHの低下を防ぐことができる。

 

 第3次(平成10年9月諮問)では、平成8年度末までに供用を開始した298処理場に対するアンケート調査等を踏まえて、主にOD法の制御方法について、平成12年3月に報告書がまとめられていますが、ポイントは以下のとおりです。

 

(1)OD法は、ASRT(Aerobic SRT)制御を採り入れた間欠曝気方式により安定した窒素除去が可能となり、余剰汚泥を反応タンクから直接引抜くことにより、流入水量の変動に対しても安定した処理が維持される。好気攪拌と無酸素攪拌時間の比(好気:無酸素時間比)は1:1程度とする。

 

(2)流入率が小さく、SRTが長いほど、汚泥発生率が小さい。汚泥発生率には水温との関係が認められ、水温が低下するほど大きくなる。

 

OD法技術のポイント:

(1)「適切な好気部分の設定」(硝化)と「適切な無酸素部分の設定」(脱窒)により、処理の安定(pH低下の防止、N-BOD対策、窒素除去)とエアレーションに伴うコストの削減が可能

 

(2)流入SSに対する汚泥の発生率は、流入率や流入水質、好気:無酸素時間比に基づくASRTと水温により決定

 

OD法の技術的課題には、低炭素社会の構築を踏まえた低コスト化、省エネルギー化等があります。

 

 

          (技術開発部長 中沢均)

 

 

 

 

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