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技術開発

JS技術開発情報メールNo.110

 

日本下水道事業団(JS)

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       2011・1・6

    JS技術開発情報メール No.110

━━━━━━━━━━━━━━━━━◆◇◆JS技術開発部

 

(目次)

◆トピックス

<新年のご挨拶>

◇幹部ログ

<脱兎の如く>

◆要語集 No.15

<高効率メタン発酵システム>

◇下水道よもやま話

<世紀の大発見?>

◆技術のポイント(部長コーナー)

<高度処理技術(1):三次処理から高度処理へ>

 

 

 

━━☆★ トピックス ★☆━━

 

☆ 新年のご挨拶 ★

 

技術開発部長 中沢均

 

新年、明けましておめでとうございます。

 

技術開発部では、昨年から、「低炭素社会の構築の実現に向けた下水処理技術の開発」、「低炭素型汚泥有効利用技術の開発」を新たな研究開発分野としており、4月には、嫌気性消化汚泥の脱水ろ液を対象とした「アナモックス反応を利用した窒素除去技術」の評価が技術評価委員会会長から日本下水道事業団理事長に答申されています。今年も、@膜分離活性汚泥法技術の体系化、Aエネルギー・資源回収技術(メタン、リンなど)の早期実用化、B省エネルギー技術の体系化などの取組みを継続します。

 

これら新技術の早期実用化のためには、民間企業等との共同研究制度や技術評価制度の一層の活用、的確な事後評価の実施が必要です。昨年11月には、民間企業との共同研究の成果である担体充填型高速メタン発酵技術、汚泥熱改質技術等を対象として、『エネルギー回収を目的とした嫌気性消化プロセス』について、技術評価委員会会長に諮問し、専門委員会での調査・審議を経て、平成23年度末に答申が行われる予定です。

 

日本下水道事業団は、「技術開発の活性化」と「実施設導入の迅速化」を強力に推し進めるために、平成23年度から新技術導入に関する新たな制度をスタートさせます(平成22年12月7日記者発表)。新制度の特徴として、@民間企業との共同開発技術の迅速な実施設への導入、A民間独自開発技術も門戸を広げて積極採用、B安心・確実な立上げがあり、設計・建設・維持管理の各段階において、日本下水道事業団の経験・技術力を結集し、お客様が安心感を持って新技術を導入できるように全社をあげて取り組むものです。新技術導入に関する新制度には、技術開発部がこれまで蓄積してきたノウハウ、育成した人材の最大限の活用が不可欠です。

 

また、民間企業等との共同研究により、近年技術開発に取り組んだ大規模MBR、アナモックスプロセス、リン除去・回収システム等の「水再生・再利用技術」や、エネルギー回収を目的とした嫌気性消化プロセス、低含水率遠心脱水機などの「資源・リサイクル技術」の実施設への導入の迅速化にも、職員一同、技術開発の活性化とともに取り組んでまいります。

 

2011年も引き続きよろしくお願いします。

 

 

 

━━☆★ 新春恒例 幹部ログ ★☆━━

 

<脱兎の如く>

 

K島:新春恒例企画の幹部ログです。ウサギ年にちなんで、お題は「脱兎の如く(だっとのごとく)」です。

 

H本:逃げ足が速い例えですが・・・・・。

 

K島:ウサギの跳躍力ですよ。技術開発部も今年は大きく飛躍して、より高い志をもって新たな時代を切り拓こうという崇高なるお題です。

 

N沢:なんか無理があるな。ウサギの生態に詳しい人はいないのかな。

 

S野:この場にいないけど、我が部の事務員某女史は、子供の頃、自宅でウサギの餌係だったそうです。

 

Y本:ペットですか?

 

S野:いや、絞めて鍋にするとかで。

 

一同:(呆気)

 

T編集委員:こんなことだろうと思い、ウサギのことをH田さんと調べてきました。

 

H編集委員:ウサギの生き残り戦略として、長い耳と速い逃げ足を持ち、受胎率を高めるため年中発情しています。このため、西洋では誘惑の寓意もあります。

 

N沢:年中、頭の中が桃色ってことか。部内にも年中桃色妄想している奴がいるな。

 

H編集委員:ちなみにM田さんはウサギ年です!!

 

一同:………。

 

H本:ほかに技術開発部に年男はいないのかな。

 

T編集委員:S田さんは、M田さんと一回り違いと自分で言っていますよ。

 

Y本:二回り年上が正解。女子実務訓練生の指導も引き受けて、ウサギ年の者同士どこか似ているな…。

 

N沢:S田さんは昭和50年採用で旧試験部に配属され、たしか回転円板(RBC法)をやっていたな。

 

T編集委員:私が生まれる6年も前から回転していたのですか。今でも日本中、講演で回っていますね。ちょっと違うか。

 

N沢:あなたが生まれた頃は、技術開発部も大きく変化した時期です。それまでは、各処理場の自動制御など、今では当たり前となっている技術の調査・評価が中心でしたが、予算、職員数も増えて小規模処理場、高度処理などの技術開発に取り組み始めた頃です。

 

K島:今と逆の状況ですね。やり方を変えないと。

 

N沢:昭和50年代半ばには、滋賀県からの地方受託調査で現在の循環式硝化脱窒法を確立しています。ひとつのお手本かもしれないね。

 

Y本:今年度から技術評価を始めた嫌気性消化は、エネルギー回収の観点から長くJSが取り組んできたものです。でも、単体では駄目で、脱水の低含水率化や燃料化も含めてのシステムでその力を発揮できます。そんな先進的な取組みをできる処理場があればいいですね。

 

N沢:嫌気性消化もようやく脚光を浴びて、JSがしてきたことに、やっと時代が追いついてきたとも言えますね。

 

S野:ウサギとカメの寓話にならないよう前進が必要です。

 

H本:年男のS田さん、M田君の両名が、嫌気性消化の担当だから、ウサギよろしく飛躍を期待しましょう。

 

K島:4月に、脱兎の如く、逃げたりして。

 

一同:オチになっていないぞ。

 

(編集:技術開発課長 川島 正)

 

 

 

━━☆★ 要語集 No.15 ★☆━━

 

<高効率メタン発酵システム>

 

※PDFで全文が添付されています

 

メタン発酵法とは汚泥(バイオマス)の加水分解、酸生成を経て生成された有機酸などが、偏性嫌気性細菌であるメタン生成細菌の作用によってメタンと二酸化炭素になるシステムですが、ヨーロッパを中心に汚泥等の減量化、安定化処理法として古くから採用されています。

 

当初はインホフ槽(腐敗槽)のように、汚泥をタンク内に長時間貯留することで処理が行われていましたが、その後撹拌や加温を行うことで反応を格段に向上させたメタン発酵システムが開発され、これが高効率メタン発酵法と呼ばれていました。

 

現在わが国の下水処理場等で採用されているのは、この撹拌と加温を行うメタン発酵法であり、これが標準的なメタン発酵法となっています。

 

しかし、下水汚泥を対象とするメタン発酵では、汚泥中有機物の約50%程度しか分解ガス化しない、反応に20〜30日の長時間を要するため大規模な設備が必要となり用地面積、建設費が大きくなるという課題がありました。

 

上記の課題を改善するために、JS技術開発部では、汚泥を160〜180℃の高温条件化で熱改質することで有機分分解ガス化率を70〜80%に高めた「熱可溶化メタン発酵システム」と、反応槽に担体を充填することでメタン細菌等を高濃度に保持して5日程度の消化日数で処理する「担体充填式高速メタン発酵システム」の開発を進めています。

 

循環型社会構築や地球温暖化対策の面から下水汚泥を始めとする各種バイオマスからのエネルギー転換・回収システムが世界的に注目されており、わが国でもこれら新しい「高効率メタン発酵システム」の導入が期待されています。

 

(技術開発部 島田正夫)

 

 

 

 

━━☆★ 下水道よもやま話 ★☆━━

 

<世紀の大発見?>

 

昨年の12月2日、アメリカ航空宇宙局(NASA)から新種の細菌が発見されたとの発表がありました。この細菌(GFAJ-1株)は、米国カリフォルニア州のモノ湖というヒ素の豊富な塩湖から分離されたもので、「リン」の代わりに猛毒の「ヒ素」を摂取して、DNAやたんぱく質を合成し、増殖するという異質な生命体です。

 

この発見は、地球外生命の存在の可能性を示す世紀の大発見になるかも知れないとのことです。

 

 この特殊な細菌は例外として、地球上の既知の生物にとって、リンは遺伝情報を伝達するDNA(デオキシリボ核酸)やエネルギー伝達に関与するATP(アデノシン三リン酸)等を構成し、生命の維持に必要不可欠な元素です。

 

そこで、リンは窒素やカリと共に肥料の三要素の一つとされ、世界的な人口増加に伴う食糧増産のため、リンの需要が急速に増大しています。しかし、採掘可能なリン鉱石は限られており、今世紀後半には枯渇するとの予測もあります。

 

下水道には、リン鉱石の輸入量の半分に相当するリンが流入することから、下水や下水汚泥等からのリン回収・再資源化が着目されていますが、コスト面等から広く普及していないのが実状です。

 

昨年、中国からのレアメタルの輸入が停止し、その資源確保が問題となりました。わが国はリン鉱脈が存在せず、中国を含む限られた生産国からの輸入に全て依存しているため、レアアースと同様の問題が危惧されます。

 

下水道自体の整備は各地方公共団体の責務ですが、リン回収・再資源化の必要性やコスト負担のあり方等については、国家的なリスク管理の観点からの議論と取り組みが必要と考えられます。

 

(総括主任研究員 橋本敏一)

 

 

 

 

━━☆★技術のポイント(部長コーナー) ★☆━━

 

<高度処理技術(1):三次処理から高度処理へ>

 

活性汚泥法等による二次処理の後段で、付加的に行われる急速ろ過法(有機物)や凝集沈殿法(有機物、リン)などの三次処理(tertiary treatment)に代わり、昭和50年代の半ばから、窒素・リン除去を目的に、活性汚泥法のポテンシャルを最大限に活用する処理も含めて、二次処理で得られる処理水質以上の水質を得る目的で行う処理を高度処理(advanced wastewater treatment)と定義するようなりました。

 

昭和57年に稼動した「循環式硝化脱窒法」(当時は、活性汚泥循環変法という名称。)の琵琶湖流域下水道湖南中部浄化センターが、我が国で初めての活性汚泥法の機能を利用した高度処理施設ですが、現在では、ステップ流入式多段硝化脱窒法(窒素)、嫌気無酸素好気法(窒素、リン)等の多様な方式が採用されています。

 

また、高度処理施設の更なる省スペース化、高度化、高効率化、省エネ化を図るための手段として、@反応タンクへの凝集剤添加(リン除去)、A無酸素タンクへの有機物添加(脱窒)、B担体添加型活性汚泥法(硝化促進)があり、最終沈殿池の代わりに、反応タンク内に浸漬した膜の分離機能を利用する膜分離活性汚泥法(ろ過)も採用されています。

 

活性汚泥法は、二次処理水の放流水質としての全国一律の技術基準(放流水BOD 20mg/L)の遵守から、富栄養化対策の高度処理(窒素、リン)、さらに放流水のリスク対策、再生水利用、資源回収(リン)へと進化してきています。高度処理技術の技術評価の実績は、次のとおりで、報告書(本文と別添資料)として公表されています。

 

(1)微生物を利用した窒素除去及びリン除去プロセス

活性汚泥循環変法(第一次答申 昭和61年11月)

嫌気好気活性汚泥法(第二次答申 昭和63年5月)

単段式及び二段式活性汚泥循環変法(第三次答申 平成2年4月)

 

(2)包括固定化担体を用いた硝化促進型循環変法(答申 平成5年4月)

 

(3)オキシデーションディッチ法

高度処理OD法(第三次答申 平成10年9月)

 

(4)ステップ流入式多段硝化脱窒法(答申 平成12年11月)

 

(5)膜分離活性汚泥法(答申 平成15年11月)

 

さらに、平成21年4月には、有機物や微量化学物質の除去、脱色・脱臭、消毒等を目的として、活性汚泥法に代表される生物処理後の処理水にオゾンを適用する技術の技術評価報告書が公表されています。現在、旭化成ケミカルズ(株)との共同研究「リン吸着剤を用いた下水処理プロセスからのリン回収」(平成21年度〜平成23年度)で、処理水からのリン回収技術の実用化を図っています。

 

活性汚泥法における窒素・リン除去、放流水のリスク除去、再生水利用、処理水からのリン回収などの技術は、ほぼ確立していますが、高度処理を必要としている個々の処理場に、これら高度処理技術の採用を促進する上で残された課題として、更なる省エネルギー化、低コスト化や、低炭素社会の構築に適した高度処理技術の新たな体系化があります。

 

 

(技術開発部長 中沢)

 

 

 

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