地方共同法人日本下水道事業団Japan Sewage Works Agency

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技術開発

JS技術開発情報メールNo.236

 

■◇■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ JS技術戦略部 ━━━━
              【JS技術開発情報メール】 
                 No.236 2021.6.23
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 いつも「JS技術開発情報メール」をお読みいただきありがとうございます。
 関東以北は梅雨入りが遅れていましたが、そろそろやってきたようで、ジメジメ蒸し
 蒸しとしてまいりました。マスク生活が煩わしい季節ですが、皆さまどうぞご自愛い
 ただければと存じます。では、今月号もよろしくお願いいたします。
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【 もくじ 】
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『1』 はじめに
 ◇ 「JS-TECHの水先案内人(第6回)」
    〜バイオマス利活用促進に関する調査研究〜   (技術戦略部長 橋本 敏一)

『2』トピックス
◇ JS新技術に1技術を選定しました             (技術開発企画課)

『3』 下水道よもやま話          
◇ 革新的建設費用見積技術       (技術戦略部 調査役(基準)松山 幹夫)

『4』 国・公共団体・企業の主に海外の水関連の動き(5月分)     (国際戦略室)

『5』 国際戦略室からのお知らせ
◇ 日本の各省によるODA水環境衛生関連事業(2020年度)     (国際戦略室)

『6』 編集後記

 ※今月の技術情報「よく見かける下水道用語」はお休みいたします。

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【1】はじめに
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「JS-TECHの水先案内人(第6回)」
〜バイオマス利活用促進に関する調査研究〜

 九州・沖縄地方から東海地方にかけては、平年よりも5日から22日も早い、5月上旬から中旬
にすでに梅雨入りしたとのことですが、東京都心では、6月8日から10日の3日間連続で最高気
温が30℃を超える真夏日となり、梅雨を飛ばして初夏が来たような陽気でした。しかし、ようや
く昨日(14日)になり、平年より1週間遅く、関東甲信越地方も梅雨入りした模様です。昨年7
月の集中豪雨では、全国各地で甚大な被害が発生しました。今後、梅雨明けまで降雨の多い日も
あろうかと思いますが、今年は大きな被害が発生しないことを祈るばかりです。

 さて、今回は「汚泥処理の広域化、地域バイオマスの活用等によるバイオマス利活用促進」に
関する調査研究をご紹介したいと思います。本調査研究は、JSがこれまでに開発・導入してきた
技術について、人口減少や更なる省エネ化・低炭素化への要請など、社会情勢の変化に対応して
進化させていくことにより、受託事業を通じて地方公共団体への技術還元を目的とする「固有調
査研究(コア技術)」の一つとして実施しているものです。

 昨年10月、わが国は「2050年カーボンニュートラル」、すなわち、2050年までに温室効果ガ
ス(greenhouse gas: GHG)排出量を全体としてゼロにすることを宣言しました。さらに本年4
月には、2030年度における新たなGHG削減目標として、2013年度に比べて46%削減を目指し、
さらに50%削減の高みに向けて挑戦を続けるとの新たな方針が示されました(図1参照)。新た
に示された46%削減は、これまでの目標(26%削減)を7割以上引き上げるものであり、菅総理
大臣は、この目標を達成するため、再生可能エネルギーの活用を優先し、大胆に対策を講じるこ
とを示しています。

 下水道事業で排出されるGHGは、電力起源の二酸化炭素(CO2)が6割強、次いで処理過程で
発生するメタン(CH4)や亜酸化窒素(N2O)が3割強、非電力(燃料)起源のCO2は約5%程
度を占めています(図2参照)。これをわが国全体のGHG排出量の内訳(図1の2013年を参照)
と比較すると、エネルギー起源のCO2では電力起源のウエイトが大きいことや、全体に占めるそ
の他のGHGのウエイトが大きいことが特徴的です。

 下水道から発生するGHGのうち約6割は、化石燃料から再生可能エネルギーやCO2を排出さ
せることなく製造されたグリーン水素などへの転換による電力の脱炭素化が進めば、自ずと削減
されることになります。しかし、下水道は、全国の電力消費量の約0.7%を消費するとともに、わ
が国全体で発生するGHGの約0.5%を排出しており、地方公共団体の事務事業の中では、最も多
くのGHGを排出しています。そのため、電力消費量やGHG排出量の削減に対して、下水道とし
て積極的な取り組みが求められており、その社会的要請は、上述したGHG削減目標の達成に向
け、今後さらに強まるものと考えられます。

 下水処理場の電力消費量やGHG排出量の削減に向けては、省エネ型設備・機器の導入や既存設
備・機器における運転管理手法の改善、既存設備への新たな制御技術の導入などによる省エネ化、
焼却炉の高温焼却化によるN2O排出量削減に加えて、嫌気性消化(メタン発酵)で発生する消化
ガスを利用した創エネルギー(発電)による電力消費量の削減が有効な対策の一つと考えられます。

 本調査研究では、し尿・浄化槽汚泥や生ゴミなどの地域バイオマスの受入れによる創エネルギ
ー量の増大や広域化・共同化の促進などを目的として、主として地域バイオマス受入れや嫌気性
消化導入に伴う水処理・汚泥処理に及ぼす影響とその対応策の整理・検討や、地域バイオマスの
メタン発酵特性の把握(図3参照)などを進めています。過年度の研究成果の一部については、
以下の扉からご覧頂けます。

https://www.jswa.go.jp/g/g01/g4seika/pdf/1_shuyakushori.pdf
https://www.jswa.go.jp/g/g01/g4g/pdf/20-001/04.pdf (P.7)

 さらに、近年、新たに嫌気性消化を導入する施設において、従来のコンクリート製の消化タン
クと比較して、建設工期が短く、ライフサイクルコストの縮減や維持管理性の向上が期待できる
鋼板製消化タンク(図4参照)の採用が増えています。そこで、昨年度より実施設における鋼板
製消化タンクの事後調査にも着手しています。

 JS技術戦略部では、地方公共団体からの委託を受け、長年にわたる嫌気性消化に関する調査研
究で得た豊富な知見やノウハウ、並びに、自前の実験装置(図5参照)を活用して、新たに嫌気
性消化を導入する場合や地域バイオマスを受入れる場合の効果や影響などについて、検討・評価
を実施しています。嫌気性消化導入や地域バイオマス受入れをご検討中の地方公共団体の皆さま
におかれましては、ぜひ下記の扉をご覧頂き、JS技術戦略部へご相談を頂きますと幸いです。

https://www.jswa.go.jp/g/g03/pdf/jsm-04.pdf

別紙図参照
https://www.jswa.go.jp/g/g5/g5m/mb/pdf04/236-1.pdf

                             (技術戦略部長 橋本 敏一)

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【2】トッピクス
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「JS新技術に1技術を選定しました」

 JSでは、地方公共団体の多様なニーズに応える新たな技術を積極的に下水道事業へ活用する観
点から、受託建設事業に新技術を円滑に導入することを目的として、『新技術導入制度』を運用し
ています。
この度、本制度により、新たに以下の1技術を新技術I類に選定しました。
JSは、今後も最適かつ信頼性の高い、低コストな技術の開発・実用化を図って参ります。

【令和3年5月26日新技術T類選定】
・技術名: 4分割ピット式鋼板製消化タンク
・開発者: JS、株式会社石垣
・技術選定を受けた者: 株式会社石垣
・概 要: 本技術は、鋼板製消化タンクと低動力型撹拌機を組み合わせたものです。消化タ
ンク本体を鋼板で製作することで、建設工期の短縮やコスト縮減が図られます。
なお、消化タンク底部に4分割ピット構造を採用することにより、消化汚泥の引
抜きに合わせて、底部から堆積物を積極的に引抜くことで、消化タンク内部の堆
積物を抑制することが可能です。また、低動力型撹拌機と温度差安定制御の採用
により、省エネルギー化も可能としています。

 ▼ 詳しくは記者発表資料をご覧ください。
https://www.jswa.go.jp/topics/2021pdf/210611kisya.pdf

  (技術開発企画課)

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【3】下水道よもやま話
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「革新的建設費用見積技術」

 お読みいただいて、ありがとうございます。
さて皆さん、建設費用見積技術が革新的に進んでいることをご存じですか。
現在、多くで採用されている基本的な見積方法は「積み上げ方式」ですが、これは費用項目
ごとに「単価×数量」を計算し合計するものです。
この方法は、計算する項目が非常に多いため算出に長い時間がかかってしまいます。コンピ
ューターによる入力自動化や、過去のデータ活用による単価入力の省略といった方法で見積時
間の短縮を図っている場合もあるようですが・・・

▼ 続きはHPで↓
https://www.jswa.go.jp/g/g5/g5m/y/pdf2/y215.pdf

                       (技術戦略部 調査役(基準)松山 幹夫)

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【4】国・公共団体・企業の主に海外の水関連の動き(5月分)
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日付    キーワード       URL  

 5月7日           クボタとメタウォーター プノンペン下水事業受注                                                                                      https://finance.yahoo.co.jp/news/detail/20210507-00547533-mosf-world

 5月15日         ヴェオリア スエズ買収合意                                                                                                                          https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR150CH0V10C21A5000000/

(国際戦略室)

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【5】国際戦略室からのお知らせ
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「日本の各省によるODA水環境衛生関連事業(2020年度)」

 今回のメルマガは、JSからJICAに出向し、現在派遣前業務(インドネシア国 下水管理アド
バイザー)に従事中の田中松生氏からの報告をご紹介いたします。

 国際協力と言えばJICAが行う協力隊員の派遣や無償・有償勘定のODA事業を思い浮かべます
が、これらは外務省の管轄として行われるもので、実は各省も直接多くの事業を行っています。
2020年度は年度初めからコロナ渦に見舞われましたが、遠隔会議システムを駆使しながら、様々
な支援、プログラムが展開されました。・・・

▼ 続きはHPで↓
https://www.jswa.go.jp/g/g5/g5m/mb/pdf04/236-2.pdf
(国際戦略室)

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【6】編集後記
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先日風呂に入っていたら、ナメクジがニョロ〜っと風呂場の窓から侵入しようとしていました。
甥っ子(5才)に爪楊枝を持ってこさせ、つまんで外に「エイッ」と追い出したのですが、その
甥っ子に「ナメクジって虫?」と聞かれました。えっ?ナメクジはぁ…足がないしぃ、羽もない
しぃ、虫ではないかな…、でも庭いじりをする人にとっては「害虫」だそうだしぃ…。っという
ことで一緒にググってみました。なぬなぬ?ナメクジとカタツムリは近縁で、いずれも陸産貝類
に属する巻き貝の仲間。殻が退化して見えないのがナメクジ。ナメクジは「虫」だが「昆虫」で
はない。昆虫は節足動物門、ナメクジは軟体動物門なので大きく異なる、うんぬん…。うーん…。
深そう。なので「足のない虫みたいなもんだね」と結論付けたのですが。ふーん…と甥っ子。
大きくなったらじっくり調べてね…
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◇このメルマガへの感想・お気づきの点はmailto: gikai@jswa.go.jp
◆このメルマガは、登録された国及び地方公共団体へ配信しています。
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◆日本下水道事業団ホームページ  https://www.jswa.go.jp
◇技術戦略部のページ JS-TECH 〜基礎・固有・技術開発の扉〜
https://www.jswa.go.jp/g/gi.html
◆メールマガジン バックナンバー
https://www.jswa.go.jp/g/g5/g5m/g5m.html

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