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技術開発

JS技術開発情報メールNo.66

 

 

日本下水道事業団(JS)

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      2007・5・9

    JS技術開発情報メール No.66

━━━━━━━━━━━━━━━━━◆◇◆JS技術開発部

 

(目次)

◆トピックス

<平成19年度調査概要(固有研究)>

<グループ紹介>

◇いまさら訊けない下水道講座 23

<古細菌>

◆下水道よもやま話

<生ごみと下水道>

◇読み飛ばし/聞き流し(部長コーナー)

 

 

 

 

━━☆★ トピックス ★☆━━

 

☆平成19年度調査概要(固有研究) ★

 

技術開発部では、国や地方自治体からの受託研究、民間会社等との共同研究、及び補助金で実施する固有研究を実施しています。ここでは、平成19年に実施する固有研究について、その概要を紹介します。

 

 

1.ライフサイクルコスト削減を目的とした技術に関する調査 (H17〜H21)

 

ライフサイクルコストを削減する手法としては、建設費の削減、維持管理費の削減、及び長寿命化が考えられます。下水道施設は、土木、建築、機械、電気の各施設から構成されますが、ここでは主に土木施設の維持管理費削減および長寿命化に焦点を当て、コンクリート構造物の耐久性を向上させる耐硫酸コンクリートの開発及び劣化防止技術の開発を行います。

 

下水道施設に特有の現象として、硫酸によるコンクリートの腐食・劣化があり、全国各地の下水道施設で問題が生じています。この対策として、様々なコンクリート防食技術、腐食抑制技術が開発・実用化されていますが、これらの技術は決して安価なものではありません。このため、耐硫酸性を向上させたコンクリートおよび補修材の実用化研究を実施します。

 

また、下水道施設のコンクリート構造物の劣化抑制のためには、コンクリートの劣化状況を簡易に、かつ的確に把握し、原因の究明・対策手法の選定を迅速に実施することができる劣化診断手法の開発が求められています。このようなコンクリート構造物の劣化診断手法の開発を実施します。

 

 

2.高度処理技術の省エネルギー化・コンパクト化に関する技術調査 (H18〜H21)

 

良好な水環境の形成を目的とした閉鎖性水域の窒素・りん規制に対応するため、下水の高度処理が広く求められるようになって来ています。また、大都市では汚泥の集約処理が進んでおり、このような場合、高濃度のアンモニアを含む排水が中核処理場へ流入するため、通常以上の窒素・りんの除去が必要となります。

 

窒素除去は通常、アンモニアを好気条件下で硝酸に酸化し、その後無酸素条件下で窒素ガスへと還元しますが、硝化に必要な酸素量を供給する必要があり、このため多大な電力を消費しています。

 

一方、微生物の探索手法の発展により、近年アナモックス(anammox)菌という細菌が新たに発見されています。アナモックスは、嫌気性アンモニア酸化(anaerobic ammonium oxidation)の略で、言葉通り嫌気性の環境においてアンモニアを酸化する細菌です。この細菌を利用して、脱窒を行うための炭素源が不要で、かつ少ない酸素消費量で高濃度のアンモニアを除去するシステムが提案されています。この処理システムを下水処理に適用できれば、高度処理の大幅なコスト縮減が可能となります。

 

この調査では、大・中規模処理場における高度処理コストの縮減を主な目的として、アナモックス菌による下水の高度処理システムの実用化を図るものです。

 

 

3.新たなシミュレーション技術を用いた既設処理場の高機能化に関する調査 (H18〜H19)

 

良好な水環境の形成のため、水質保全上重要な地域において高度処理施設の整備が不可欠となっています。しかしながら、このような地域の大半は下水道が整備済みとなっており、既設処理場を如何に高度処理化するかが重要な課題となっています。

 

既設処理場の高度処理化に当たっては、用地の制約や建設中の処理能力の確保など様々な制約要因があり、最適な施設設計・管理を行うためには、想定される全ての条件や過去のデータを科学的・合理的な手法を用いて予測・評価する必要があります。

 

JSでは、科学的な予測評価手法として活性汚泥モデルの実用化を行いましたが、現在の活性汚泥モデルは微生物の挙動のみを扱う生物化学反応モデルであり、下水道施設全体の性能を予測・評価するためには、沈殿池の水理モデルなどの物理モデルを組み込んだ総合的なシミュレーションモデルを開発する必要があります。

 

この調査では、従来の活性汚泥モデルに水理モデルを付加した総合的なシミュレーション技術の開発を実施します。

 

 

4.未利用バイオマスの活用によるエネルギー自立型処理場の開発に関する調査 (H18〜H20)

 

下水処理場では、下水汚泥を嫌気性消化によりメタンガスを発生させ、エネルギー回収を実施していますが、回収したエネルギーは下水処理場で消費するエネルギーの一部に留まっています。

 

汚泥処理プロセスは、スケールメリットが大きいプロセスであるため、下水汚泥に加えて、地域で発生する浄化槽汚泥やし尿、ディスポーザー経由の生ごみなどの未利用バイオマスを受け入れることにより、大きなエネルギー回収が期待できます。

 

この調査では、下水処理場におけるエネルギー自給率の向上を図ることを目的として、下水汚泥以外の未利用バイオマスをエネルギー資源として有効に活用するための技術開発を行います。

 

 

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☆ グループ紹介 ★

 

技術開発部では、水処理、機能改善、資源リサイクル、バイオマス固形燃料の4グループ体制で、新商品開発に取り組んでいます。以下に各グループの今年度の取組みを紹介します。

 

関連サイト:

http://www.jswa.go.jp/gikai5/jisshitaisei.htm

 

 

◆水処理グループ◆

 

水処理グループは、その名のとおり、水処理関連技術が対象テーマです。グループの構成は、村上総括主任研究員(先端研究役兼任)、川口主任研究員、葛西主任研究員、岩崎研究員、糸川研究員の5名です。

 

取り組んでいるテーマは、先端的技術からトラブルシューティング的なものまで、バラエティに富んでいますが、主なテーマを紹介すると、新技術の開発としては「膜分離活性汚泥法」(再構築・高機能化への適用、プレハブMBR開発)、「活性汚泥モデル」(実務への利用拡大)、「リスク削減技術」(ノロウィルス対応等)、「省エネルギー・省コスト高度処理技術」(アナモックスプロセス、りん吸着除去技術、担体、マイクロバブル等)があります。

 

また、主に地方公共団体からの委託調査において、既存施設の処理改善手法に関する調査も数多く手がけており、より効率的な下水道施設の運営につながるよう勤めています。

 

新技術の開発においては、民間企業との共同研究も活用しており、栃木県真岡市の実験センターでは、いくつものパイロットプラントが並び、早期の実用化・導入を目指して、実際の下水を用いた実験を行なっています。

 

水処理グループでは、「B/C=∞の技術開発」を目指して、新しい技術情報の収集につとめて、新たな技術の開発及び現実的問題の解決に貢献できるよう努めてゆく所存です。

 

 

◆機能改善グループ◆

 

平成19年度の機能改善グループは、名古屋市から赴任した総括主任研究員の遠山、合流改善担当の岡本主任研究員、コンクリート関係担当の持田研究員、土壌脱臭調査担当の三宅研究員の4人で仕事を進めてまいります。

 

合流改善調査は、雨天時下水活性汚泥法の更なる改善を目指します。当該処理方法は、晴天時より多くの雨水が最終沈殿池に流入するため、最終沈殿池のHRT(水理学的滞留時間)が不足し、活性汚泥の沈降特性によっては、SSの流出が発生する場合があり、その改善調査をおこないます。

 

コンクリート関係としては、構造物の耐硫酸性向上による長寿命化を図るため、より耐酸性の高いコンクリートおよび補修材料の開発の共同研究等を進めています。また、技術評価専門委員会から示された追加調査等も実施します。これらの結果を踏まえ最終的には、耐硫酸性コンクリートおよび補修材料の設計・施工指針の作成を目指します。

 

土壌脱臭調査は、昨年度までにアンケート調査および秋・冬期の実態調査を終えています。今年度は、夏期データの収集・充実を行い、土壌脱臭法の問題点の明確化および設計指針改定への反映を目指します。更に、共同研究で高濃度臭気対応の土壌脱臭設備の開発も併せて行ないます。

 

 

◆資源リサイクルグループ◆

 

これまでの資源リサイクルグループは、固形燃料化のグループ(バイオマス固形燃料化グループ)とそれ以外の汚泥の有効利用や処理処分全般を担当するグループに分かれました。新しい資源リサイクルグループの構成は島田総括主任研究員、猪木主任研究員に今年度から新たに加わった水田研究員の3名です。

 

今年度予定している主な研究テーマの一つは、生ごみなど近隣で発生する未利用バイオマスを下水処理場に受け入れ、汚泥と一緒に混合メタン発酵してエネルギー回収する技術の開発調査です。これに関する新技術の導入、実用化を図るために複数の民間企業と、汚泥発生量を大幅に減らす熱可溶化による高効率嫌気性消化システム、消化日数を従来の1/3〜1/5 で行う担体充填型高効率嫌気性消化システム、自動車のロータリーエンジンを用いた新しい小型消化ガス発電システムなど、盛り沢山のメニューで研究に取り組むことにしています。

 

また、平成16年度に技術評価を行った汚泥減量化技術のうちオゾン減量化について、複数の箇所でかなりの運転実績が積まれてきたことからその稼動状況を調査し、評価内容の検証を行う予定にしています。

 

「汚泥は廃棄物ではなく貴重なバイオマス資源である」を念頭に、新しい体制で心あらたに組んで参りますので、汚泥処理のことなら当グループにお気軽にご相談下さい。

 

 

◆バイオマス固形燃料グループ◆

 

従来の資源リサイクルグループの中から新たに独立し、下水汚泥の固形燃料化と炭化(緑地利用など)に関する調査、研究を担当しています。構成は山本総括主任研究員、橋本研究員、茨木研究員の3名です。

 

バイオマス固形燃料化は、下水汚泥から製造される炭化燃料、乾燥燃料を、石炭ボイラで燃料として利用することを目的に開発されています。汚泥の安定した有効利用と地球温暖化抑制に貢献できる技術として注目を集めています。

 

今年度は燃料化システム開発の最終年度として技術評価(外部評価)を実施し、燃料化事業の普及に貢献します。委員会では、燃料化システムの安定性、固形燃料性状、石炭混焼についての評価を実施します。

 

地方自治体からの受託調査では、汚泥処理方式の比較検討を多数実施しています。この調査では、処理コスト、エネルギー収支、温室効果ガス排出量に焦点を絞り、現在実施されている処理方式と焼却、溶融、炭化、燃料化などの方式について比較検討を行います。

 

下水汚泥は量、質共に安定し、集約された都市型バイオマスです。

 

地方自治体の汚泥処理の一助を担えるよう頑張っています。

 

 

 

 

━━☆★ いまさら訊けない下水道講座 23 ★☆━━

 

<古細菌>

 

※PDFファイルで全文と写真が添付されています。

 

地球上の生物界が動物界Animaliaと植物界Plantaeに二分されていることは、因習的な生物分類として誰しもが納得できることですが、これが細菌をはじめとする微生物の話となると、チョットどころかかなり難しい学問領域になってしまいます。レーベンフックの顕微鏡の発明以来、電子顕微鏡、分子生物学による解明が大きく関与し、特に80年代以降「古細菌archaebacteria、archaea」と呼ばれる微生物が注目され広く研究されています。

 

微生物と言う一般的なカテゴリーには、細菌bacteria、原生動物(原虫)protozoa、藻類algae、更にはウイルスvirusなどがありますが、細胞レベルでは、「原核生物bacteria」と「真核生物eukaryotes」に分類され、中学校の理科にも出てくる、極めて重要な近代的な分類があります。(細胞内に核があり、小器官が閉じ込められているのが、真核生物です。)この古細菌、実は細菌でありながら原核生物より真核生物に近い存在であることが確認され、別種の生物界として「三大生物系統(真核生物、真正細菌、古細菌)」が唱えられました。古細菌の研究では、とりわけ「メタン菌」の研究が知られています。古細菌にはこの他「好熱性菌thermophile」、「好塩菌haloarcula」などがあります。

 

世俗的な人間界の話をしますと、同種の「異性」はたまた「オカマ」は識別できても、自分が真核生物の末裔である?ひょっとしたら細菌と親戚?などと意識しながら生活している人は、少ないことでしょう。ミトコンドリアは誰もが持っている細胞の呼吸器官ですが、母方から遺伝されことが知られています。一方、大多数の人が古細菌の保菌者であることは、まず間違いないでしょう。簡便な確認方法としては、「オナラ(屁)」の着火性を確認すれば判断できます。

 

嫌気性消化法でおなじみのメタン発酵の最終プロセスは、「古細菌」に分類されるメタン菌の働きによるものです。メタン菌は、地球上の大気中にまだ酸素が存在しなかった頃の太古の大気に似た水素、二酸化炭素を基質とすることから、大昔から存在しているのではないかと言うことで、この名前が付いています。探査艇を使った深海底に住む超好熱菌の研究など、原始地球のイメージを彷彿させる一つではないでしょか?古細菌研究は、今後の環境工学の分野においても大きな役割を担ってくれるのではないでしょうか?

 

写真 嫌気性消化汚泥中のメタン菌(ARC915プローブによる観察)を添付ファイルご覧ください。

 

                    (田中 松生)

 

 

━━☆★ 下水道よもやま話 ★☆━━

 

<生ごみと下水道>

 

単身赴任生活も延べ10年、健康管理の面から極力外食は避け野菜と魚を主とする自炊生活を続けています。学生時代を含む独身の頃から自炊をしていましたが、当時に比べスーパーも夜遅くまで営業していることと、電子レンジや冷凍庫の普及が大きな違いと感じています。

 

自炊生活の中で大きな悩みは、調理の後の生ごみ処理です。現在私が住んでいる町では生ごみの回収は火曜日と金曜日の週2回のみ。

 

ごみ回収の日まで2〜3日アパートの部屋の中で保管することになりますが、出張等でゴミ回収日に留守をすると一週間以上も保管せざる得ないことも多くあります。特に夏場など、出張から帰ってアパートの玄関ドアを開けた瞬間の強烈な臭いは言葉に言い表せないものです。

 

また、生ごみ回収日は街角のあちこちのごみ集積場で、カラスや野良ねこに食い荒らされた生ごみが散らかって強烈な悪臭を放っている光景をよく目にします。21世紀に入ったこの時代に、なんとも言えない非文明的な光景です。

 

環境省のデータによれば、一般家庭等から出る1200万トン/年の生ごみは、そのほとんどが有効利用されず一般ごみと一緒に焼却処理されているとのこと。近年プラスチック等のごみが分別回収されるようになったことから、水分の多い生ごみの占める割合が高まり、焼却のために多くの化石燃料が補助燃料として必要になっているそうです。

 

そのような嫌われ者の生ごみですが、潜在的には高いエネルギー価値を有し、メタン発酵特性に優れていることが知られています。家庭で発生する生ごみを有効利用する上で最大のネックとなっているのが効率的な分別収集方法がないことでしたが、最近普及しはじめているディスポーザーを経由して下水道管で収集する方法が提案されています。ディスポーザーは米国では既に半分の家庭に普及しているそうです。

 

わが国でも都市部のほとんどの家庭には下水道が繋がっており、比較的容易に処理場に集約可能です。集められた生ごみは下水汚泥とともにメタン発酵してエネルギー回収することで、資源の有効利用と地球温暖化対策にも貢献できます。さらに、全国の単身赴任者が快適な自炊生活を送れるようにするため、JS技術開発部ではその実用化のための研究に着手しました。

 

          (総括主任研究員 島田 正夫)

 

 

 

 

 

 

━━☆★ 読み飛ばし/聞き流し(部長コーナー) 1 ★☆━━

 

― 開始に当たって ―

 

JS技術開発部のメールマガジンをご愛読いただき、ありがとうございます。

 

これまで、当メルマガには部長コーナーを設けていただいておりますので、前任者に引き続きお付き合いいただきたいと思います。

 

一貫したテーマでこのコーナーを埋めるべきとは考えました。しかし、深い造詣のある分野もないので、技術開発部の活動の中で、ふと思うこと、考えたことを綴って、JS技術開発部の雰囲気を伝えられたらと考えています。

 

したがって、読み飛ばし、聞き流しの内容となる可能性大ですので、コーナーの名前を「読み飛ばし、聞き流し」としました。次回以降の構想を思案中ですが、皆様からのご意見、ご希望、ご質問も反映できるよう努力しますので、よろしくお付き合いください。

 

                 (河井竹彦)

 

 

 

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