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技術開発

JS技術開発情報メールNo.70

 

 

日本下水道事業団(JS)

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      2007・9・6

    JS技術開発情報メール No.70

━━━━━━━━━━━━━━━━━◆◇◆JS技術開発部

 

(目次)

◆トピックス

<真岡で進行中:共同研究プロジェクト>

<新規研究課題募集のお願い>

◇いまさら訊けない下水道講座 27

<アンモニアは悪くない!>

◆下水道よもやま話

<温室効果ガスっていくら???>

◇読み飛ばし/聞き流し(部長コーナー)

<−ポケットティッシュ−>

 

 

 

━━☆★ トピックス ★☆━━

 

☆ 真岡で進行中:共同研究プロジェクト ★

 

※ 関連サイト JS技術開発部HP

http://www.jswa.go.jp/gikai5/mooka.htm

 

真岡市にあるJS技術開発実験センターでは、真岡市水処理センターの流入下水等を使用して実験プラントを運転し、様々な共同研究プロジェクトを実施しています。ここでは、現在進行中の共同研究を紹介します。

 

 

1.オゾン併用活性汚泥法の開発:高砂熱学工業(株)

 

水処理法として一般的に採用されている標準活性汚泥法の反応タンクに微量のオゾンを供給する「オゾン併用活性汚泥法」の開発を行っています。期待される効果は、

 

@ 活性汚泥の生物活性が向上し、処理容積の削減、高負荷運転が可能

 

A 汚泥発生量が削減でき、汚泥処分費用の削減が可能

 

B 汚泥の沈降性が改善され処理が安定、及びスカムの発生を抑制可能

 

の3点です。

 

また、オゾンを直接反応タンクに供給するため、オゾン反応槽の設置は不要です。実験室レベルでは、汚泥発生量が50%削減が確認されているため、パイロットプラントでの確認を行い、安定的な運転手法等についても検討を行うことにしています。この研究は平成19年度に終了予定です。

 

 

2.アナモックス法による窒素除去技術の開発:(株)タクマ・(株)日立プラントテクノロジー

 

下水処理施設の汚泥処理系や排ガス処理設備から排出される高濃度アンモニアを含有する消化脱離液を対象として、新しい窒素除去技術「アナモックス法」による経済的かつ効率的な排水処理システムを開発しています。

 

ここで使用するアナモックス菌は、最近発見された細菌で、嫌気条件下においてアンモニアと亜硝酸から窒素ガスを生成する細菌です。この細菌は独立栄養細菌のため、脱窒のためのメタノール添加は不要です。また、アンモニアの半量を亜硝酸に酸化すれば良いので、必要空気量が小さく、経済的な窒素除去技術となることが期待されます。

 

窒素除去のためには、アンモニアと亜硝酸の濃度が同じであることが必要ですし、通常の下水程度の温度では反応が非常に遅いため、下水処理への適用は難しく、このため高温の消化脱離液を対象としています。従来、汚泥処理系に消化タンクを持っている処理場では、汚泥処理返流水の影響で、処理水の窒素濃度が高めになっていましたが、アナモックス法を用いることにより、経済的に処理水の窒素濃度を下げることが可能になります。この研究は平成19年度に終了予定です。

 

 

3.低曝気活性汚泥法による余剰汚泥抑制廃水処理法の実用化に関する研究:クラリス環境(株)

 

通常の標準活性汚泥法に比べ反応タンクの曝気風量を少なくし、かつ余剰汚泥を好気性消化し、消化タンクの上澄水を反応タンクに返送する「低曝気活性汚泥法」では、余剰汚泥の発生量を抑制できる可能性があります。

 

このため、この低曝気活性汚泥法と標準活性汚泥法を並行運転し、汚泥発生量低減の実証実験を行っています。この研究は平成20年度に終了予定です。

 

 

4.セラミック膜を用いた槽外型膜分離活性汚泥法の開発:(株)NGK水環境システムズ

 

大規模処理場の改築・機能高度化において、セラミック膜を用いた槽外型膜分離活性汚泥法を用いることにより、様々な条件に柔軟に対応でき、かつ効率的で低コストな新しい膜分離活性汚泥システムを開発します。

 

この処理法では、モノリス型セラミック膜を反応タンクの外に設置し、クロスフローろ過を行うパイロットプラントを用い、次の検討を行っています。

 

 

@ 既設土木構造物を利用して改築を行うことが可能で、個々の施設条件に柔軟に対応できるとともに、維持管理の容易な膜分離活性汚泥処理システムの開発

 

A 維持管理コスト、ライフサイクルコストの低減手法の開発

 

B 嫌気無酸素好気法による窒素・リン同時除去可能な膜分離活性汚泥処理システムの開発

 

 

セラミック膜の耐久性の高さを生かした、安定性の高い、長寿命の膜処理システムの開発を実施しています。この研究は平成20年度に終了予定です。

 

 

5.大規模処理場の改築・機能高度化等の多様な目的に適した膜分離活性汚泥法の開発:アタカ大機(株)他7社

 

大規模処理場の改築・機能高度化において、中空糸膜を用いた槽外型膜分離活性汚泥法を用いることにより、様々な条件に柔軟に対応でき、かつ効率的で低コストな新しい膜分離活性汚泥システムを開発します。

 

パイロットプラントでは、膜分離槽の小型化、膜洗浄用空気量の低減、処理を継続しながらの膜洗浄など、コストの低減、維持管理の簡易化を検討しています。この研究は平成20年度に終了予定です。

 

 

6.新しい物理化学的リン除去法の開発:旭化成ケミカルズ(株)

 

下水2次処理水を対象として、金属系イオン交換体リン吸着剤を用いたリン吸着回収システムの開発を実施しています。2次処理水にリン吸着剤を接触することで、下水中のリンを吸着します。

 

吸着されたリンは、脱着によりリン酸塩の形で回収することにより、肥料原料等としての資源利用が可能となります。吸着剤は、脱着により繰り返し再利用できます。以上の可能性について、パイロットプラントで実証実験を行っています。この研究は平成20年度に終了予定です。

 

現在、技術開発実験センターでは、上記6件のパイロットプラントが稼働中です。今年度中には、この他に2件のパイロットプラントの設置を予定しています。

 

         (技術開発課長 藤本裕之)

 

 

 

☆新規研究課題募集のお願い★

 

平成20年度以降に開始する新たな研究の課題設定にあたり、広く自治体・大学・民間企業等からの課題募集を近日中に開始する予定です。

 

「各自治体で研究する必要性を感じている課題」「JSに研究して欲しい課題」などについて広くご意見・ご提案をいただき、自治体の皆様のニーズに応えられる研究課題を選定したいと考えております。

 

多数のご意見・ご提案をお待ちしております。

 

どうぞご協力をお願いいたします。

 

詳細については次号のメルマガでお知らせいたしますが、近日中にホームページでご案内いたします。

 

 

 

 

━━☆★ いまさら訊けない下水道講座 27 ★☆━━

 

<アンモニアは悪くない!>

 

※PDFファイルで全文が添付されています。

 

少し前の話です。ある調査で「窒素の排水基準を守れる処理法を検討してほしい」という依頼がありました。下水道で「窒素除去」といえば高度処理と相場が決まっていて、その他で問題になるのはN-BODくらいですから、「排水基準」は全く眼中にありませんでした。

 

窒素は、一律排水基準の健康項目で有害物質の種類として「アンモニア、アンモニウム化合物亜硝酸化合物及び硝酸化合物」で100mg/Lと規定されています。これには、但し書きがあり、「アンモニア性窒素に0.4を乗じたもの、亜硝酸性窒素及び硝酸性窒素の合計量。」と書かれています。

 

排水基準値が下水道の常識より高めなのは、前例にならって環境基準の”10倍(濃度)ルール”が適用されていると理解できましたが、アンモニアに何故0.4を乗じるのか分かりませんでした。ネット検索したら同じ疑問を持った人があるようで、これを手掛りに規制案の審議を行った委員会の議事録に行き着くことができました。要約すれば、「健康項目として規制すべきは硝酸と亜硝酸で、アンモニアは環境中で容易に硝化脱窒され、中間生成物として亜硝酸や硝酸が生成される。そこで、実測データを元にアンモニア性窒素濃度の0.4倍を加算することにした。」ということが書かれていました。

 

アンモニアの検査は、昔”ネスラー法”がお馴染みでした。試薬に水銀を使うため試験法から削除されましたが、簡単に微量のアンモニアが検出できるので、理科の時間にし尿汚染の検査方法として教わりました。また、哺乳類はアンモニアを無害な尿素に変えて排泄すると習いました。それ以来、漠然と”アンモニアは環境にとっても有害だ”と思うようになったようです。

 

植物は、アンモニアイオンも硝酸イオンと同じように吸収してアミノ酸を合成します。下水屋の私は、硝化を進めた方が高度処理で、より良い処理だと思ってきました。でも、人の健康に対しては硝酸や亜硝酸の方が悪者のようです。

 

冒頭の調査を通して、処理フローを工夫すれば窒素の除去率や放流する窒素の形態を自由にデザインできることに思い至りました。また、窒素の除去は活性汚泥モデルが最も得意とするところで、精度よく処理状況を再現できます。これからは、下水の処理でも環境ニーズに応じた「窒素設計」を行うことにより、より環境にやさしい処理が実現できるように思います。

 

      (技術開発部 川口 幸男)

 

http://www.env.go.jp/water/impure/haisui.html:一律排水

基準

 

http://www.env.go.jp/council/former/yousi08/y084-008a.html:

中央環境審議会水質部会排水規制等専門委員会(第8回)議事録

上水試験方法 解説編 2001年版,(社)日本水道協会(2001)

 

 

 

 

━━☆★ 下水道よもやま話 ★☆━━

 

<温室効果ガスっていくら???>

 

地球温暖化問題がクローズアップされ温室効果ガス削減の取組みが活発化していますが、実際に下水道の現場では、まだそれほど切迫した問題と受取っている方は少ないのではないでしょうか?

 

しかし、最近の新聞報道を見ていると、原子力発電所の地震被害などの影響も有り、日本の温暖化ガス抑制の計画が大幅に見直しを迫られるなど、かなり大変な状況になってきています。

 

以下のような記事をご覧になった方も少なくないと思います。

 

 

「温暖化ガス 追加削減2000万トン超 必要」政府10年度試算目標届かず 排出権660億円分

 

 

政府は7日、2010年度の温室効果ガスの排出量が1990年と比べて少なくとも0.9%増えるとの見通しをまとめた。排出権購入や森林整備など現在固まっている抑制策を実施しても、京都議定書で日本が公約する90年比6%削減は難しい情勢。…・・・…環境税の導入で追加削減につなげる構想が再浮上する可能性もある。(日本経済新聞2007年8月8日朝刊)

 

なんと、660億円ものコストを温室効果ガスを排出した代償として支払わなければなりません。この記事から想定するとCO2 2000万トンで660億円ですからCO2 1トン当たり約3300円支払うことになります。

 

排出権取引が盛んなEUでも、現在1トン当たり21ユーロ(約3000円)で取引されていますので1トン3000円と考えてよさそうです。(8月の為替レートで計算)

 

一般家庭のCO2排出量は年間4.8トンとの試算がありますので、発生CO2全量をコストに置き換えると、14400円となります。環境税の導入などで、今後どれくらい個人負担が発生するか分かりませんが、結構、家計にも響きそうな気がします。

 

下水道事業での省エネ化、温室効果ガス削減の取り組みを、いっそう加速していかないと、下水道維持管理コストにも大きく影響しそうです。

 

       (総括主任研究員 山本博英)

 

 

 

 

━━☆★ 読み飛ばし/聞き流し(部長コーナー) 5 ★☆━━

 

― ポケットティッシュ ―

 

JS技術開発部メルマガをご愛読いただき、ありがとうございます。関東地方は8月にはいって猛暑日が続いていました。皆様のところはいかがでしょうか?

 

暑中見舞いの返事を書くために、四谷三丁目のJS本社近くの郵便局へ暑中見舞いのはがきを買いに行きました。50円のはがき1枚を買ったところ、ポケットティッシュをおまけにくれました。街中の人通りではよく配られているポケットティッシュですが、なぜか違和感を覚えました。

 

ある新聞のコラム記事によれば、ポケットティッシュは、1960年代後半(昭和40年代前半)に広告宣伝用のマッチ箱をヒントに考案され、今では広告用媒体として、年間約40億個も配られているそうです。1個が10円から25円で、直接消費者へ広告を届ける媒体として、飲食店、旅行会社、フィットネスクラブ、消費者金融などあらゆるサービス業を中心に使われているようです。

 

郵便局でもらったポケットティッシュは、「かもめ〜る」の広告でした。後で、違和感の原因を探ってみると、暑中見舞い用のはがきを買ったのに、さらにその広告であったこと、50円という割と安価な買物にもポケットティッシュがついてきたこと、でした。民営化を控えた郵政公社の広報戦略の一環でしょうが、少しスマートさが足りないように思いました。

 

ひるがえって、JS技術開発部の広報はどうだろうと自問自答しましたが、郵政公社のほうがはるかに進んでいるようです。広報は非常に大切と考えています。提出期限の切れた夏休みの宿題が増えた気分です。

 

              (河井竹彦)

 

 

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