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技術開発

JS技術開発情報メールNo.71

 

日本下水道事業団(JS)

◆◇◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

      2007・10・5

    JS技術開発情報メール No.71

━━━━━━━━━━━━━━━━━◆◇◆JS技術開発部

 

(目次)

◆トピックス

<インド便り2>

<第2回下水汚泥固形燃料化技術専門委員会開催>

<記者発表918 平成20年度新規研究課題の募集について>

<技術開発部年報・部報(平成18年度)を発行>

◇部ログ

<下水処理場をミイラ化?アクリル含浸>

◆いまさら訊けない下水道講座 28

<合流式下水道の雨天時モニタリング>

◇下水道よもやま話

<「BODは20℃?」>

◆読み飛ばし/聞き流し(部長コーナー)

<−サルノコシカケ−>

 

 

 

━━☆★ トピックス ★☆━━

 

☆ インド便り2 ★

 

※写真・図はPDFファイルで添付されています。

 

ナマステ−(こんにちは)。JICA専門家(下水道運営維持管理)として、インドに派遣されている若林です。

 

今回は、日本で開発されインドで採用されつつある下水道技術について紹介いたします。

 

インドでは活性汚泥法も採用されていますが、最近ではUASB(上向流式嫌気性汚泥ブランケット)法の採用が増えています。

 

この理由は、UASB法が活性汚泥法と比較して、@エネルギー消費が少ない(運転コストが安い)、A余剰汚泥の発生が少ない、B維持管理が容易等の利点を有しているからです。

 

しかし、UASB単独では、処理水質が放流レベルにまで達しない等の問題があり、後段に何らかの後処理システムが必要とされています。

 

そこで、東北大学(前長岡技術科学大学)教授の原田先生はUASB法の後処理として、懸垂型スポンジ(Down-flow Hanging Sponge: DHS)を組み合わせたシステム(UASB+DHS)を開発し、インド(ハリヤナ州カルナール市)でも実規模プラントによる実証試験を2002年より続けて実施しています(写真1)。

 

DHSは、ポリウレタン製のスポンジ担体を生物保持担体として用いる生物膜法で、担体は水中に浸漬しているのではなく空気中にさらされており、汚水がスポンジ担体内を浸透してゆく過程で担体内に高濃度に保持されている汚泥(微生物)に接触して有機物が分解される仕組みです。つまり、無曝気方式で好気性微生物を用いる処理技術なのです(図1)。

 

実規模プラント(1,000m3/日)による実証実験が行われているカルナールの実験結果は、BOD除去率96%、処理水BOD6mg/Lと良好な処理性能を発揮しています。

 

原田先生の話によると、研究室ではカルナールに投入されているものよりもバージョンアップされたタイプによる研究も進められており、処理性能を損なうことなく、施工性及びメンテナンス性を向上させているとのことです。これらのタイプをカルナールでのプラントに投入することも決まっており、12月から実施される予定です。

 

このDHS技術については、インド政府も関心を示しており、まだ決定事項ではありませんが、前回お伝えしたアーグラーの処理場の増設計画にDHSシステムを採用する話も持ち上がっています。

 

日本発の処理技術がインド全土に普及する。― そんな日はそれほど遠くないかも知れません。

 

*今回の原稿執筆に際し、東北大学の原田先生より、資料を提供していただきました。紙面をお借りして御礼申し上げます。

 

         (JICA専門家 若林淳司)

 

 

 

 

★ 第2回下水汚泥固形燃料化技術専門委員会開催 ☆

 

9月18日(火)に第2回下水汚泥固形燃料化技術専門委員会(委員長:大迫健一千葉工業大学教授)が開催されました。

 

今回は、月島機械(株)環境プロセス開発センターで開催され、固形燃料化システム実証機の稼働状況の視察も同時に行われました。

 

前回委員会で決定された3つの評価項目@システムの評価、A汚泥燃料製品の評価、B有効利用に係る評価に基づき作成された委員会報告書の原案について審議されました。

 

さらに、重要課題のひとつである製品の安全性の確保については、製品の発熱特性を適切に評価するために「下水汚泥固形燃料発熱特性評価マニュアル(仮称)」を策定することが決定されました。

 

第3回委員会(最終回)は12月初めに予定されています。

 

 

 

 

 

☆ 記者発表 9.18 ★

 

<平成20年度新規研究課題の募集について>

 

平成20年度に開始する新たな研究の課題設定にあたり、課題募集を開始しました。多数のご提案をお待ちしています。

 

詳細は↓

 日本下水道事業団ホームページ/記者発表資料/

 (http://www.jswa.go.jp/)

 

 

 

☆ 技術開発部年報・部報(平成18年度)を発行 ★

 

JS技術開発部では、毎年度、1年間の活動内容をとりまとめた「技術開発部年報・部報」を発行しています。このたび、平成18年度の年報・部報がまとまり発行いたしました。

 

年報では、その年度の各研究テーマの概要のほか、組織や予算、技術評価委員会などの動き、発表活動の状況、実験施設の概要などを収録しています。

 

部報は、前年度のJS技術開発の成果集として、昭和49年(1974年)から毎年発行しているもので、JS固有の研究課題7件、国土交通省からの受託研究課題のうち7件、地方公共団体からの受託研究課8件について、平成18年度成果を収録しています。JSの出資団体、補助団体、委託団体といった地方公共団体と国の関係機関には、発行の都度、JSから送付しています。業務の参考にしていただけば幸いです。

 

 

 

 

 

━━☆★ 部ログ 11 ★☆━━

 

<下水処理場をミイラ化?アクリル含浸>

 

編集委員:今回の部ログは「アクリル樹脂含浸改質材」を題材として、持田講師をお招きしました。私は全くわかっていないのですが、そもそも「アクリル樹脂含浸改質材」とは何ですか?

 

持田:平成16年度から耐硫酸モルタルの共同研究を数社と実施しているのですが、その中の1つの技術で、断面修復材との組み合わせで用いる防食材料です。

アクリル樹脂というのは、普段から聞く機会が多いと思うのですが、これは、アクリル酸エステルあるいはメタクリル酸エステルの重合体で、透明性の高い非晶質の合成樹脂です。

 

一同:う〜?

 

持田:まあ、耐候性、耐久性がある樹脂ですわ。このアクリル樹脂にちょっと手を加えたもの(特許の関係で詳細削除)を、下地として施工した耐硫酸性モルタルに浸み込ませることで、表面をコーティングし、防食性を向上させるというもので、モルタルに発生したヘアクラックへの充填効果も得られます。

 

編集委員:樹脂の厚みは? 何ミリ程度浸み込むの?

 

持田:研究段階で色々と材料を代えているので、まちまちですが大体1mm前後です。

 

編集委員:従来からコンクリートの防食では、無機物と有機物を繋げるのが課題だったので、これは期待されますね。

 

編集委員:含浸というのは、考古学での資料保存とか、昔からあった技術だよね。

 

編集委員:ミイラ作りとかね。

 

編集委員:具体的に、どういう時に使うの?

 

持田:現在使われている樹脂皮膜や他の防食技術に比べて、施工時の段取りや制約(例えば湿度管理)が少ない、職人さんの技量があまり必要としないetc、ただし樹脂塗膜工法より高価(の見込み)なので、当面は改築工事がターゲットになると思います。

 

編集委員:躯体等の長期間に生じるクラックには対応できるのですか?ひっぱられたり..

 

持田: 基本的に、改築更新で防食工事の再施工を実施する構造物はかなりの年数を経過しており、躯体の挙動は収束しているものと考えています。

 

編集委員:モルタルは通常のもの?

 

持田:断面修復の下地となるモルタルは耐硫酸モルタルを使用します。組み合わせることでより高い耐硫酸性を実現します。

 

編集委員:基本的な質問。含浸したかどうかは、現場で判断できるの?

 

持田:今後の課題です。

 

編集委員:耐候性なら、お肌にも良いかしら? お肌も100年大丈夫とか。

 

編集委員:夫婦間のひび割れにも必要か?

 

編集委員:でも、心の傷はね...

 

編集委員:重い一言。我が家も含めて、残業・出張・単身赴任と激務にかまけて夫婦の溝が深まる前に修復を...

 

     (講師:持田雅司、編集:三宅十四日)

 

 

 

 

 

━━☆★ いまさら訊けない下水道講座 28 ★☆━━

 

<合流式下水道の雨天時モニタリング>

 

※PDFファイルで全文が添付されています。

 

合流式下水道では、下水道法施行令改定(平成16年4月施行)によって、処理場で簡易処理放流を行うほどの雨が降った場合の放流水質基準が、処理区平均水質でBOD40mg/L以下と定められました。各自治体は平成26年まで(処理区域1500ha以上の場合は平成36年まで)にこれを達成するため、様々な改善を行っています。ここで、BOD40mg/Lとは分流式下水道であった場合の雨天時排出量の目安であり、改善期間内は暫定基準70mg/L以下が適用されています。

 

あわせて、改善対策の進捗状況を確認するため、総降雨量が10mm〜30mmの降雨のとき、海や川などに放流する水のBODと流量の測定(モニタリング)が、1年に1回義務づけられています。モニタリングを行う吐口は、各雨水吐や処理施設の吐口などすべてが対象ですが、放流水質が類似であれば1箇所で代表できます。

 

雨天時の放流水の水量と水質は時間的な変動が大きいため、平均水質を得るためには工夫が必要です。吐口ごとに時間をかえて2試料以上採水し、個々のBODを採水したときの流量で加重平均する方法か、試料を採水時の流量比で混合しBODを測定する方法を用います。

 

以上のように、雨天時モニタリングは手間がかかります。特に、BODは採水をして5日間以上の分析期間を要するため労力と時間が必要です。また、採水準備はしたものの雨が降らなかったり、雨が降って採水したものの決められた降雨量(10mm〜30mm)にあわない場合もあり(一般に空振りという)、調査費用などの面で負担となっている場合があります。

 

そこで、比較的簡易に測定が可能である濁度計の測定値からBODを推定する方法が期待されています。

 

さて、濁度計の測定方式は、一般に下水に光をあてて、透過する光の強さや下水中の粒子にあたって散乱する光の強さを測定することによって、水の「濁り度合」を測るものです。よって、生物が有機物の分解に使用する酸素量を示すBODとは直接結びつきません。ただし、下水中の「濁り度合」と流入有機物量が同じように変化するものであれば、相関性があると考えられます。

 

これまでの調査で、測定した濁度とBODの1対1での相関関係は、同じ測定箇所であっても降雨の状況(降雨量、降雨までの晴天時日数等)によって必ずしも強いものとはいえません。ただし、ひとつの降雨における連続測定結果から求めた平均水質(総負荷量を流量で割った値)では、両者は比較的高い相関関係が認められています。

 

雨天時の流入水質特性はその場所の下水道の状況によって違いがあると考えられるため、今後測定箇所ごとに複数回の調査を行って、信頼できる推定式を導くことが可能かどうかの検討が必要となっています。

 

           (技術開発部 岡本 順)

 

 

 

━━☆★ 下水道よもやま話 ★☆━━

 

<BODは20℃?>

 

「BOD」についての逸話があります。10年以上前、タイ国の水質分析の技術支援(ミニプロジェクト)に参加したときのことです。英語をカタコトしかしゃべれませんので細かいことは分かりませんでしたが、現地の技術者と日本側関係者とBODについて議論したことがあります。

 

現地の水質分析室を見学した時、BODの分析法の説明を受けました。やり方は日本と同じで、試験水を20℃で5日間放置した時の酸素の消費量を測定しているそうで、希釈水を含めて20℃に設定した”冷蔵ケース”を使っていました。

 

日本側の関係者は、一様に「熱帯地方のこの国ではありえないような水温にまで、わざわざ冷やしてBODを測定するのは不合理である。水質管理指標としてのBODの測定主旨からすれば、タイ国の平均的な水温で測定を行うべきでは?」と質問しました。

 

しかし、タイ国の担当者の言い分は違いました。「我が国の水域の汚濁程度を外国と比較するためには、国際的に共通する分析方法で測定することが重要である。国際的に認知されない方法で測定し、レポートしても意味がない。」というような主張です。「30℃以上の水温で生息している生物を急に20℃に冷やしてBODを測定しても、生物活動が鈍るので正しい生物学的酸素要求量は求められないのではないか?」と反論したのですが、結局測定方法は変わりませんでした。

 

BOD5は、国際的に広く用いられている有機汚濁指標で、途上国でも比較的簡単に測定できる指標ですが、その信憑性・再現性には色々と議論があります。特に、アンモニア性窒素の硝化反応の進行がごく普通に生じている下水処理水では、有機汚濁質の酸化反応に連続してアンモニアの硝化反応が起こるので、5日目前後で酸素消費量が安定することが少なく、最終消費量を予測することも困難なようです。

 

タイ国の例では、水温を30℃にすると飽和酸素濃度が低下して測定可能範囲が狭まるため、希釈倍率をこまめに調整する必要が生じるなどの問題も考えられます。

 

BODの生い立ちを考えると、最初にBOD5の測定法を決めた人は、きっと”そこまで普及するとは考えていなかった”というに違いありません。日本が有機汚濁指標としてBODを採用した時の経緯を考えれば、BODに変わる簡便で再現性に優れた国際的に通用する有機汚濁指標を検討し、その実績データを早急に積重ねることが期待されます。

 

            (技術開発部 川口幸男)

 

 

 

━━☆★ 読み飛ばし/聞き流し(部長コーナー) 6 ★☆━━

 

― サルノコシカケ ―

 

JS技術開発部メルマガをご愛読いただき、ありがとうございます。猛暑日の夏が往き、台風シーズンの日本です。大きな水害が各所で発生しました。皆様のところは大丈夫だったでしょうか?

 

技術開発部のある戸田の技術開発研修本部の敷地内に樹齢50年(?)近い柳の木がありました。9月6日深夜から7日未明にかけて関東地方を通過した台風9号の強風で、その柳の木が根元近くで折れ、すぐ横の運転手控え室のプレハブの屋根に倒れ掛かる被害が発生しました。

 

管理課の手配により倒木の処理はされました。その業者さんからの伝聞によると、柳の幹の表面にはサルノコシカケがいくつか大きく成長しており、柳の木そのものが弱っていた可能性が大きく、台風の風向きもあいまって、今回の被害となったようです。

 

下水道の経営をアセットマネジメントの観点で捉え、維持管理における予防保全が大きくクローズアップされています。日常点検の些細な変異から将来の故障、不具合を予測し、事前に補修等を行い、トータルの費用を安く抑えようとする概念です。

 

柳の木の表面に生えたサルノコシカケを風情ある飾りと見るか、木の衰弱の予兆と捉えるか。それは、木の健康を管理する姿勢、サルノコシカケに関する情報の多寡により対処すべき処置が異なってくるのでしょう。枝を払うなど延命措置が可能だったかもしれません。台風一過、予防保全のための履歴情報の大切さを思いやりました。

 

                  (河井竹彦)

 

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