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技術開発

JS技術開発情報メールNo.72

 

日本下水道事業団(JS)

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      2007・11・13

    JS技術開発情報メール No.72

━━━━━━━━━━━━━━━━━◆◇◆JS技術開発部

 

(目次)

◆トピックス

<WEFTEC’07に参加して>

◇部ログ

<消化ガス発電に注目!!>

◆いまさら訊けない下水道講座 29

<石炭と下水汚泥>

◇下水道よもやま話

<わが国における再生可能エネルギー導入促進の足かせ>

◆読み飛ばし/聞き流し(部長コーナー)

<−セキュリティ・チェック−>

 

 

━━☆★ トピックス ★☆━━

       

☆ WEFTEC’07に参加して ★

 

米国水環境連盟(Water Environment Federation)は、毎年、技術展示会と総会(Technical Exhibition and Conference)を開催しており、今年は第80回の年次大会がカリフォルニア州サンディエゴ市のSan Diego Convention Centerで10月13日から17日の期間で開催されました。今回、技術展示会だけですが、参加する機会を与えられましたので、その様子を紹介します。

 

サンディエゴ市は、アメリカ西海岸のメキシコ国境の軍港とリゾートの町であり、岸壁には第二次世界大戦で活躍したミッドウェイが係留され、博物館としてその威容が眺められます。

 

この大会は、29テーマのワークショップ、119分野の技術発表セッション(ポスターセッションを含む)、8箇所の施設見学会、1,000を超える民間企業による展示会から構成されていました。

 

展示会場は大変に広く、端から端までは1,000メートル以上あろうかと思われました。わが国の下水道展と同じような展示もありますが、雰囲気は随分とアメリカらしい開放的なものでした。公的機関の展示は、アメリカ環境保護庁(EPA)のブースぐらいで、ほとんどが民間企業の展示でした。未知の分野もあり、刺激の多い展示会場でした。

 

また、会場の一郭では、Operation Challengeと呼ばれる維持管理の競技会が各州の代表チームによって開催されていました。競技種目は、ポンプの組み立て運転、パイプの補修、水質分析などで、時間と正確さが競われていました。日本の下水道展でも開催すると面白いと感じました。

 

            (技術開発部長 河井竹彦)

 

━━☆★ 部ログ 12 ★☆━━

 

<消化ガス発電に注目!!>

 

編集委員:今日のテーマは消化ガス発電です。では講師の水田健太郎研究員にまず消化ガス発電のイロハを教えていただきます。ちなみに今回は長岡技術科学大学からの研修生の竹内さんと松谷さんにも参加していただきます。

 

水田:多くの処理場では、消化ガスは消化槽を35℃以上に保温するためのガスとして使われていますが、余ったガスはもったいないことに燃やして捨てているんです。そこで開発されたのが、消化ガス発電で、種類としては主にガスエンジンと燃料電池です。最近は自治体の皆様からもたくさんの問い合わせをいただいています。

 

編集委員:ガスエンジンにもピストン型とタービン型がありますね。車のエンジンと飛行機のエンジン。

 

水田:消化ガスの発電効率は大体30%。残り70%は熱として出て行ってしまうので、今は、この発電効率を上げることに取り組んでいます。

 

編集委員:電力会社の発電所の効率はどれくらいなの?

 

編集委員:40%くらいかな。やっぱり排ガスは排水の熱としてかなり逃げていくよね。

 

水田:最近は、コージェネレーションも注目されています。発電時に出てきた廃熱を利用するシステムで、廃熱を消化槽の加温に用いたりします。

 

編集委員:何度くらいの廃熱がでるんですか?

 

水田:ガスエンジンで500℃。ガスタービンが450〜500℃、燃料電池で200℃。

 

編集委員:燃料電池はどういう仕組み?

 

水田:CH4からH2を取り出して、そのH2と空気中のO2を反応させて電気を得る仕組みです。水の電気分解と反対の反応を起こして電気を取り出します。ただ、燃料電池は効率がいいのですが、電極にプナチナのようなかなり高いものを使うので値段が高くなることと、起動が遅いという欠点があります。ガスエンジンは数分で起動するのですが、燃料電池は3時間から機種によっては70時間くらいかかります。だから管理が難しいのです。まだまだ技術開発の余地があります。

 

編集委員:ガスエンジンの場合はシロキサンの問題とかありましたよね?

 

編集委員:白木さん?

 

水田:はい(受け流す)。シロキサンは珪素を主成分とした化学物質で主にリンスの中に含まれています。それが高温で熱せられることで白い結晶になってエンジンの中に付着して効率が落ちます。ただ、最近は技術開発によってシロキサンは90%以上除去できるようになりましたのでご安心を。

 

編集委員:発電した電気は処理場の中で使うのですか?

 

水田:処理場の中でも使えますし、余剰分は外部に販売もできます。消化ガスの発熱量は都市ガスの半分くらい。それでも購入してくれるユーザーがいればもちろん売れます。ただ、発電することで発電効率の分エネルギー利用量は下がってしまいます。基本的には消化ガス発電によって、処理場で使う半分の電気をまかなえます。うまくいけば全量もいけます。

 

編集委員:うまくいけば?流入のSSが200mg/lから400mg/lになったらいいのかな?

 

水田:ガスが発生しやすい成分はタンパク質、脂質、炭水化物です。これらを多く含むのは生ごみなので、将来ディスポーザーで生ごみを受け入れたりすれば、発電量の増加が期待できます。

 

松谷:メタンを高純度にする方法はどんなのがありますか?

 

竹内:うちの大学ではゼオライト膜(筆者注:吸着剤を膜状にしたもの)を通すことでメタンとCO2を分離しています。

 

水田:いま、JSでも吸着剤を利用して、メタンと炭酸ガスと硫化水素などをひとつの工程で分離する技術を共同研究中です。

 

編集委員:水にCO2を吸収させる簡単な方法もありますね。

 

編集委員:出てきた水はソーダ水としてコカ・コーラに売れるんじゃないかな。

 

編集委員:最近コーラの炭酸が弱い気がするんで、自分で入れてみるっていうのも。下水からできたコーラ!

 

編集委員:酎ハイの方がいいな〜

 

一同:いけるかも!!

 

 

                 (編集:茨木 誠)

 

 

 

 

 

━━☆★ いまさら訊けない下水道講座 29 ★☆━━

 

<石炭と下水道>

 

※ PDFファイルで全文が添付されています。
※ 図はPDFファイルでご覧ください。

 

皆さんの身の回りで、最近、石炭を使用しているところを見たことがありますか?石炭というと、蒸気機関車の燃料、製鉄所でコークスの使用がピンと来るのではないでしょうか?以前、石炭産業の地域では、家庭のストーブの燃料としても使用されていましたが、20世紀中葉より、石炭から取り扱いの便利な石油にエネルギー転換し、現在、石油が中心で石炭をあまり使用していないイメージが強いと思います。

 

73年の石油ショック以降、石油依存の見直し、埋蔵量の豊富さから石炭の利用が見直され、現在、世界では、年間約48億トンが使用され、1次エネルギー消費量の26.5%を占めています。(図−1)日本においても同様で2度の石油ショック以降、石油と天然ガスと石炭をバランスよく使用するように方針変換をし、年間約1億8千万トン輸入と世界一の輸入国になっており、皆さんの目に見えないところで石炭が使用され続けているのです。

 

石炭は埋蔵量が多く(図−2)、石油の埋蔵量のうち70%以上が中東地区に偏在していることに対して、全世界で幅広く採掘が可能で、政情の安定している国の埋蔵量が大きいこと(旧ソ連、アメリカ、中国、オーストラリア、インド、ドイツ)が特徴です。石炭は、炭素の濃度により、無煙炭、瀝青炭(れきせいたん)、亜瀝青炭(あれきせいたん)、亜炭、褐炭(かったん)、泥炭と分類され、用途別には、原料炭(製鉄用のコークスの原料)、一般炭(主に発電用ボイラーなどで利用)、無煙炭(煙が少ないため、練炭や豆炭)に分類されます。

 

一般炭を使用している発電所に目を向けると国内では、現在、40箇所の石炭火力発電所があり、年々石炭の使用量が急増しており2004年には約8.6億トン使用されました。(図−3)

 

その石炭も、中国が経済成長により輸出国から輸入国に変わる可能性があり、価格が上昇する不安要素があります。また、炭素含有量は約90%と二酸化炭素排出量が他の燃料よりも多く、単位発熱量当りの温室効果ガス排出量は、重油と比較して約1.3倍、天然ガスと比べて約1.9倍と地球温室効果ガスの抑制の視点からは不利な点もあります。

 

その石炭の使用量を削減し、地球温室効果ガスを削減するために、生物由来の有機性資源でカーボンニュートラルな下水汚泥を固形燃料化し、石炭の代替として使用することに注目が集まってきているのです。

 

              (技術開発課 橋本 康弘)

 

 

 

━━☆★ 下水道よもやま話 ★☆━━

 

<わが国における再生可能エネルギー導入促進の足かせ>

 

近年地球温暖化問題がクローズアップされ、化石燃料に替わるエネルギー源として風力や太陽光、バイオマスなど再生可能なエネルギーの積極的活用が叫ばれています。しかし、化石燃料を使った従来の大規模な発電所において発電された電力コストに比べ、再生可能エネルギーによる電力コストは割高になることから市場競争原理に任せていたのでは普及しません。

 

そのため、環境問題に積極的なEU諸国では再生可能エネルギーの普及促進のため様々な政策を講じています。例えばドイツでは2004年に新再生可能エネルギー法を制定し、小規模なバイオガス発電施設で発電された電力を電力事業者に比較的高い値段で長期にわたり買取ることを義務付けています。この施策により、ドイツにおけるバイオガス発電施設の数は1999年に850箇所だったものが2006年には3500箇所にまで急増し、総発電量は73.3億kwh/年(最新の100万kw級発電所の発電量に相当)に達しています。

 

また、英国では2002年にグリーン電力証書制度が導入され、大規模電力消費者にはある一定割合の再生可能エネルギー由来電気(グリーン電力)の利用を義務付けています。これにより、全発電量に占める再生可能エネルギー由来の電力量の割合は、2002年の3.0%から2006年は6.7%にまで急増しています。ちなみに、日本では、RPS法における新エネルギー導入目標は2010年でわずか1.35%に過ぎません。

 

日本でも風力やバイオマスなど再生可能エネルギーの導入を促進すべく、民間企業が中心となって2001年、「グリーン電力制度」がスタートしました。再生可能エネルギーの有する環境負荷価値を通常の電力代に上乗せして電力需要者に購入してもらうものです。2007年7月現在122団体がこの制度に加入し、年間約8800万kwhのグリーン電力購入契約が結ばれています。東京都森ヶ崎水再生センターをはじめ北海道江別市浄化センター、群馬県伊勢崎市浄化センター等における消化ガス発電もこの「グリーン電力制度」における売却益が貴重な運転資金の一部となっています。

 

本来、このようなシステムを普及推進すべく、政府も様々な支援を行うべきと考えられますが、わが国においては現実には大きなネックが存在しています。普通、企業が電力(化石燃料等による電気)を購入する場合は損金に参入され税金はかかりませんが、グリーン電力の購入代金は寄付金とみなされ高い税金が課せられているのです。これでは、政府がバイオマス等再生可能エネルギーの利用促進の足をひっぱっているに等しい状況といえます。速やかな改善策がとられないようでは、わが国が本当の環境先進国になれるのかはなはだ疑問に思うのは私だけでしょうか?

 

  (資源リサイクルG 総括主任研究員 島田 正夫)

 

 

 

 

━━☆★ 読み飛ばし/聞き流し(部長コーナー) 7 ★☆━━

 

― セキュリティ・チェック ―

 

 

JS技術開発部メルマガをご愛読いただき、ありがとうございます。立冬を過ぎた関東地方の紅葉は遅れているようですが、皆様のところはいかがでしょう。

 

このメルマガの別の項にも書かせていただきましたが、久しぶりに米国を訪問する機会に恵まれました。実感したのは、セキュリティ・チェックの厳しさでした。9・11のニューヨーク・貿易センタービルへの旅客機によるテロ行為をきっかけとするもののようです。入国に際し、顔写真の撮影、指紋の採取があり、到着早々、厳しさを味わいました。

 

日本でも航空機の登場前には手荷物検査、身体検査がありますが、今回の体験では、上着や靴まで脱いで手荷物検査用の装置でチェックされました。時間は掛かりますが、黙々とそれに従う米国人の姿に、テロ対策の徹底を感じました。

 

さらに、驚いたことには、飛行機の搭乗チケットに「SSSS」と印字されていると特別な検査を受けることになるようです。その検査は、手荷物と靴から危険物質が検出されるかどうかのチェックでした。私は米国内での航空機移動3回のうち2回もその検査を受けました。無事にパスしましたが、1回目はドキドキものでした。

 

異常なことが生じると再発防止策が講じられます。米国における今回の体験もテロ防止の一環でした。難しい世の中にはなって欲しくはないのですが、現実は厳しいと改めて実感しました。

 

                  (河井竹彦)

 

 

 

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