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技術開発

JS技術開発情報メールNo.73

 

日本下水道事業団(JS)

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      2007・12・6

    JS技術開発情報メール No.73

━━━━━━━━━━━━━━━━━◆◇◆JS技術開発部

 

(目次)

◆トピックス

<国際会議「2nd IWA-ASPIRE Conference and Exhibition」で口頭発表>

<第33回業務研究発表会>

<第44回下水道研究発表会で最優秀発表賞受賞>

<第4回耐硫酸モルタル防食技術専門委員会開催>

◇部ログ

<担体とは?>

◆いまさら訊けない下水道講座 30

<処理水に含まれる浮遊物質(SS)>

◇下水道よもやま話

<糸状菌盛衰記>

◆読み飛ばし/聞き流し(部長コーナー)

<− Mt. Fuji −>

 

 

━━☆★ トピックス ★☆━━

       

☆ 国際会議「2nd IWA-ASPIRE Conference and Exhibition」で口頭発表 ★

 

                 技術開発課 糸川浩紀

 

10/28〜11/1に豪州(オーストラリア)のパースで開催された「2nd IWA-ASPIRE Conference and Exhibition(第2回IWAアジア太平洋地域会議)」にて、「Design and Operating Experiences of Municipal MBRs in Europe(欧州における膜分離活性汚泥法の設計・運転実績)」と題した口頭発表を行なってきました。

 

筆者がドイツ滞在中に調査したデータに基づき、欧州での下水処理用MBR(膜分離活性汚泥法)の実態を紹介したものです。MBRは豪州においても関心が高いようで、発表後の質疑応答だけでなく、セッション終了後にも何度か質問を受けました。豪州では、近年降水量が著しく減少しており、水不足が逼迫した問題となっているとのことで、下水処理水の再利用だけでなく、海水淡水化などの脱塩処理(desalination)に関するセッションが多かったのが印象的でした。実際、パース市内でも、処理能力14万m3/日の水道用海水淡水化施設が今年稼動しています。

 

会議終了後のテクニカル・ツアーでは、パース市内の2箇所の下水処理場を見学しました。このうち1箇所Woodman Point下水処理場(処理能力16万m3/日)では、直径100mを超える円形の反応タンクを使ったSBR(回分式活性汚泥法)が稼動しており、圧巻でした(写真参照)。

 

※写真はPDFファイルで添付されています。

 

 

     ――――――――――

     

 

☆ 第33回業務研究発表会 ★

 

10月31日(水)四谷区民ホールで第33会業務研究発表会が開催されました。技術開発部からは汚泥グループの水田研究員が「下水汚泥バイオマスのガス化及びその有効利用技術の開発について」と題し、嫌気性消化における温室効果ガス排出量の削減効果、嫌気性消化普及拡大のための課題と課題解決のための技術開発部における取組みについて発表しました。

 

発表後固形燃料化による下水汚泥エネルギー回収技術との違い、技術開発に関する内容等、活発な質疑があり、汚泥減量化、下水汚泥の有効利用技術について関心が高いことがわかりました。

 

また、藤本技術開発課長が「地球温暖化にチャレンジ−JSの共同研究―」と題して、業務報告を行いました。JS技術開発部で現在実施している共同研究を、「地球温暖化」をキーワードに報告したもので、汚泥からのエネルギー回収を目的とした消化ガス関連技術やバイオマス固形燃料化を始めとして、省エネルギー技術としてアナモックス法、LCCO2削減技術として大規模膜分離活性汚泥法、耐硫酸コンクリートなどを紹介しました。聴講者からのアンケートでは、「参考になった」との意見が8割を越え、共同研究結果への期待が感じられました。

 

なお、水田研究員の発表は、東北総合事務所の及川さんとともに優秀賞に選ばれるという栄誉に輝きました。

 

 

 

     ――――――――――

     

 

☆第44回下水道研究発表会で最優秀発表賞受賞★

 

11月6日(火)日本下水道協会会議室において、第44回下水道研究発表会における「最優秀発表賞」の表彰式が開催され、技術開発課の糸川氏が受賞の栄に浴しました。

 

発表論文は「モンテカルロ法による各種活性汚泥法の処理水質変動要因の解析」で、活性汚泥モデルによるシミュレーションに確率概念を導入し解析を行ったものです。選考に当たっては、発表内容、発表態度、論文内容などが審査され、発表論文302編の中から選ばれたものです。昨年の優秀発表賞の受賞に続く受賞となりました。

 

また、優秀発表賞4編の中に、「下水再生処理に向けたマイクロバブル流動特性の解析的評価」を発表した日立製作所の日高氏が選ばれました。この発表はJSとの共同研究に基づくもので、技術開発部の村上先端研究役及び葛西主任研究員が共同執筆者です。

 

 

     ――――――――――

     

☆第4回耐硫酸モルタル防食技術専門委員会開催★

 

関連サイト

http://www.jswa.go.jp/gikai5/gijutuhyoukaiinkai_.htm

 

11月28日(水)、第4回耐硫酸モルタル防食技術専門員会(委員長:船水尚行北大教授)がJS本社大会議室で開催されました。

 

本委員会は平成17年12月に技術評価委員会より同技術に関する専門的事項の審議について付託されたもので、当初は18年度中の答申予定でしたが、前回委員会での議論の中で実験の追加が求められ、1年間の延長となりました。今回の委員会では、主に追加の実験結果と評価書(案)について審議いただきました。

 

今後は、3月の技術評価委員会への答申に向けての最終調整となります。

 

 

 

━━☆★ 部ログ 13 ★☆━━

 

<担体とは?>

 

編集委員:今回の部ログでは、排水処理で使用する「担体」を採り上げます。20年ほど前にJSで担体の検討を始めた当初から開発に携わり、現在も関連テーマを担当している川口さんに講師をお願いします。前回と同様、長岡技術科学大学からの実務訓練生2名(竹内、松谷)にも参加してもらっています。

 

一同:よろしくお願いします。

 

川口:下水道の分野で担体というと、「微生物を固定化するために使う水不溶性の材料」を指します。

 

一同:フヨーセー・・・。

 

川口: JSでは、「標準活性汚泥法と同等の反応タンク容量で高度処理を」という目的で20年ほど前に民間企業と共同開発を開始し、「ペガサス」を実用化しています。

 

編集委員:JSが開発した技術として、おさえておく必要がありますね。

 

川口:担体は、微生物の固定化方法により、@包括固定化法、A結合固定化法、B自己固定化法に分けられます。ここに見本がありますので、どうぞ。(シャーレに入れた幾つかの担体を見せる。)

 

編集委員:スポンジみたいなのもありますね。

 

松谷:スポンジって、やっぱり何かをきれいにしてくれるんですね・・・(嬉しそうに)。

 

一同:(こいつは・・・。)

 

編集委員:基本的には、担体を入れることでタンク内の微生物の密度を上げられる、ということですね。

 

川口:はい。現在主流なのは、活性汚泥法の反応タンクに担体を加えて微生物量を増やす、というものです。中でも、硝化菌のように特定の機能を持つ微生物を保持したいような場合に使うことが多いです。

 

編集委員:担体に付いている微生物は、ふつうの活性汚泥のものと違うんですか?

 

川口:基本的には変わらないと考えます。ただし、担体に付いた微生物の場合、えさが違いますし(生物膜へ入り込める溶解性のものが主体となる)、増える速さ(増殖速度)が小さくて普通なら定着できないものも保持できますので、厳密に言えば違うんでしょうね。

 

編集委員:微生物はそのまま保持され続けるんでしょうか?

 

川口:結合固定化担体の場合、そこそこ入れ替わっていると思われます。一方、包括固定化担体では、内部で増えた微生物が表面から剥がれていくイメージでしょうか。

 

編集委員:悪い菌がはびこったりはしないのか、不安になるわねぇ。

 

川口:ふつうの下水を処理している範囲では、大丈夫だと思います。

 

松谷:実際には、どの反応タンクで使うんですか?

 

川口:目的によりますが、現在のところ、硝化促進の目的で好気タンクへ担体を入れるのが主流だと思います。脱窒用に無酸素タンクへ入れるプロセスもあります。

 

竹内:大学でも結合固定化担体を使った実験をやっていますが、担体の種類がこんなにあるとは驚きでした。ちなみに、ペガサスでは担体が小さいですが、どうやって反応タンクに保持するのですか?

 

川口:目幅1mmくらいのスクリーンを使って、担体だけがタンク内に残るようにしています。このスクリーンの設計が適切でないと、閉塞などのトラブルの元になります。

 

編集委員:最近の技術開発動向なんかも紹介してもらえますか?

 

川口:担体を利用した排水処理技術自体は、既に実用化されたものです。現在は、いろんな担体を評価する方法を検討しています。これにより、設計の標準化を図っていく予定です。

 

編集委員:包括固定と結合固定、どちらがよいんでしょうか?

 

川口:目的によりますが、現状では異なる担体を横並びで評価する方法が無い点が問題です。そのため、この評価方法を検討しているわけです。

 

編集委員:それにしても、担体って美味しそうねぇ。

 

編集委員:ビフィズス菌を固定化したりして。

 

編集委員:それを食べれば美容によくなるのかしら?

 

編集委員:最近、実験室から担体が持ち去られているという噂も・・・。

 

編集委員:発言が無責任になってきたところで、今日はお開きにしたいと思います。皆さん、お疲れ様でした〜。

 

  (講師:川口幸男、編集:糸川浩紀)

 

 

 

━━☆★ いまさら訊けない下水道講座 30 ★☆━━

 

<処理水に含まれる浮遊物質(SS)>

 

※ PDFファイルで全文が添付されています。

 

処理場の管理者にとって、処理水の濁り具合は大きな関心事のようで、「処理水質として何を重視しますか?」と尋ねると、多くの処理場長から、「見た目をよくしたい。」という答えが返ってきます。見学者を現場に案内するとき、最終沈殿池の上澄水が澄んでいるときと、濁っているときでは説明のしやすさが異なるようです。

 

処理水に含まれる浮遊物質は、活性汚泥の一部が沈殿せずに越流したものと考えられますが、処理状況によってはそれ以外のものも含まれているようです。ビーカー内で反応タンク流入水と活性汚泥を混合して、好気処理すると、処理時間に伴ってゆっくりと上澄水の濁りが低下していきます。

 

これは、流入水に含まれる細かな粒子が好気性微生物によって除去されていくが、その速度が比較的遅いためと考えられます。以前、「硝化が進んだ処理水にはつやがあるが、硝化を抑制している処理水ではつやが出ない。」という話を聞いたことがあります。硝化が完了するまで十分に好気処理したことによって、細かな粒子まで取り除かれていることを表現したのかもしれません。

 

処理水のSS分の除去法としては、急速ろ過など物理的に方法する場合がほとんどですが、凝集剤の添加による化学的な方法でもある程度効果があります。浮遊粒子のほとんどはマイナスの電荷を帯びているため、PAC(ポリ塩化アルミニウム)などプラスの電荷を有する薬剤に吸着させ沈殿させることができます。一般的には、りん対策用として用いられている方法ですが、処理水の透視度改善にも効果があります。ただし、PACのアルミニウムは、プラスのイオンとして浮遊粒子やりん酸イオンと反応しますが、一部は、他の成分とも反応するため汚泥の発生量が増えるというマイナス面もあります。なお、汚泥の脱水に使用するカチオン系の高分子凝集剤の添加も浮遊粒子の除去に効果があります。一度試してみてはいかがでしょうか?

 

            (技術開発部 葛西孝司)

 

 

 

━━☆★ 下水道よもやま話 ★☆━━

 

<糸状菌盛衰記>

 

※顕微鏡写真がPDFファイルで添付されています。

 

ややや、こりゃどうもお久しぶりです。え?お前は誰だ、どこにいるかだって?ほら、係長が覗いている顕微鏡の視野の右上あたり、活性汚泥の中に細長い髪の毛のような微生物が見えるでしょ?そうですよ、糸状菌(注1)ですよ。糸状菌タイプ021Nでござんすよ。

 

以前はしょっちゅう、お目にかかっていたのに、もうお忘れですか?ま、無理もないねえ。最近、あたしらタイプ021Nはめっきり見なくなっちまったからねえ。

 

ほんの二昔前までは糸状菌と言えば、あたしらタイプ021Nが代表格で、糸状性バルキング(注2)は、まず、あたしらが主原因だったものですがね。活性汚泥の中で大繁殖して、最終沈澱池で活性汚泥が沈降しなくなって、運転管理担当者を大いに悩ませたものですよ。

 

これだけ幅を利かせていたあたしらが、何でこんなに少なくなっちまったかって?それもこれも嫌気−好気活性汚泥法(注3)のせいですよ。あたしらは、この嫌気条件というのが大の苦手で、増殖できなくなってしまうんですよ。嫌気−好気活性汚泥法は、曝気を絞るだけでも運転できるので、標準活性汚泥法の処理場では、ずいぶんと導入されて来ましてね。タイプ021Nだらけの活性汚泥でも、嫌気−好気活性汚泥法を導入すると1週間くらいで沈降性改善効果が出るというほど、タイプ021Nには効果絶大ですよ。

 

それにしても、あたしらの全盛期には、活性汚泥の隅で小さくなっていた他の糸状菌連中が、今は大きな顔をして威張っているのは、全く腹が立つじゃあありませんか。どんな連中かって?タイプ0041、タイプ0675、タイプ1851といったやつらですよ。そうそう、それからミクロスリックス・パルビセラ、ノストコイダ・リミコーラとかいうとかいう舌を噛みそうな名前の連中もいますね。(注4)

 

どういう訳か、この連中は嫌気条件は苦手じゃないみたいで、嫌気−好気活性汚泥法で、あたしらがコロッと参ってしまうのに、こいつらは平気なんですよ。どうも低DOとか低負荷の条件が好きらしいです。ミクロスリックス・パルビセラに至っては、嫌気−好気活性汚泥法が適した条件だっていうから全くけしからん話です。

 

ま、あたしらは今じゃ活性汚泥の隅で小さくなって、「おごる平家は久しからず。盛者必衰」という言葉を身にしみて感じていますがね。それでも、また復活を目指して頑張ります。え、タイプ021Nなんかに頑張って欲しくないって?冷たいねえ。お言葉ですがね、糸状菌だって悪さばかりしているわけじゃないんですよ。糸状菌が若干いると、活性汚泥フロックがまとまって上澄み水の透視度が高いとか、バルキングした汚泥は、固液分離さえできれば水は清澄だというのは、運転管理担当者の間では知る人ぞ知る事実ですよ。何とか、あたしら糸状菌の浄化能力を活用する水処理技術を開発して欲しいもんだね。

 

ありゃりゃ、検鏡はもう終わりですか。それじゃ、あたしらも糸状菌らしく細く長く生きて行きますので、また会う日までお元気で。

 

 

(注1) 糸状菌

 

糸状の細胞を持つ微生物の総称で、カビを指す場合が多いのですが、水処理では一般的にカビ以外の細長い糸状微生物を指します。Eikelboomの分類により、多くにタイプ○○といった番号がついています。

 

 

(注2) 糸状性バルキング

 

活性汚泥中に糸状微生物が増殖、優先種となると、糸状微生物はフロックを形成せず、沈降性が悪いため、固液分離障害を引き起こします。バルキングは、活性汚泥の沈降性が悪化した状態を言いますが、糸状微生物が原因であるものを糸状性バルキングと言います。

 

 

(注3) 嫌気−好気活性汚泥法

 

活性汚泥法の生物反応タンクの前部1/4程度を、曝気を行わず、攪拌のみを行い、嫌気条件(酸素も硝酸性窒素も無い状態)で運転する方法です。りん除去効果とタイプ021Nによるバルキング抑制効果があります。

 

 

(注4) ミクロスリックス・パルビセラ、ノストコイダ・リミコーラ

 

 Microthrix parvicella, Nostocoida limicola

 

 

          (先端研究役 村上孝雄)

 

 

 

━━☆★ 読み飛ばし/聞き流し(部長コーナー) 8 ★☆━━

 

― Mt. Fuji ―

 

JS技術開発部メルマガをご愛読いただき、ありがとうございます。忘年会など慌しい年末になりましたが、今年一年はどのような年であったでしょうか?

 

晴れて乾燥した寒い季節になると技術開発部の2階執務室から荒川の土手越しに雪を頂く富士山が見える機会が増えます。四国生まれの私にとっては、日常的に霊峰富士を目にすることは、とても興奮することです。晴れた夕暮れにオレンジ色の空をバックに濃紺の富士山を目にするといい一日であったと思ったりします。

 

JSの技術開発本部の建つ荒川のほとりは、周囲にさえぎるものが少なく、屋上に上ると関東周辺の山影を目にすることができます。筑波山、日光男体山、赤城山塊、秩父の山々、場合によっては、浅間山、妙義山、遠くに丹沢山地。

 

原信田実さんの「謎解き広重『江戸百』」を見ると、名所江戸百景に富士山や筑波山の遠景が時折見られます。江戸時代に東京都内から遠望できた山々を現代の戸田から同じように遠望できることに驚いています。

 

時間と空間の中に空想を飛ばして気分転換のできる瞬間を持つことはいいことだと思います。回りの景色に触発されての気分転換です。技術開発という業務にとって、戸田の地はなかなかいいのではないかと富士山が見えたときにつぶやいています。

 

                  (河井竹彦)

 

 

 

 

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