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技術開発

JS技術開発情報メールNo.78

 

日本下水道事業団(JS)

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      2008・5・14

    JS技術開発情報メール No.78

━━━━━━━━━━━━━━━━━◆◇◆JS技術開発部

 

(目次)

◆トピックス

<平成20年度調査概要(固有研究)>

<研究グループ紹介>

<第1回オゾン処理技術専門委員会開催>

<記者発表4.25 技術評価答申2件>

◇いまさら訊けない下水道講座 35

<活性汚泥はゴミだらけ?>

◆部長コーナー

<尻に火がつかないと・・・・>

 

 

 

━━☆★ トピックス ★☆━━

 

☆平成20年度調査概要(固有研究)★

 

技術開発部では、国や地方自治体からの受託研究、民間会社等との共同研究、及び補助金で実施する固有研究を実施しています。ここでは、平成20年度に実施する固有研究について、その概要を紹介します。

 

 

1.バイオテクノロジーを活用した次世代型下水処理プロセスの開発(H20〜H22)

 

地球環境保全の視点から、あらゆる分野において省エネルギーが求められています。下水道では、我が国の全電力消費量の約0.7%を消費しており、一層の省エネの努力が必要となっています。一層の省エネルギーを目指し、新たな処理原理に基づいた下水処理プロセスの開発を実施します。

 

近年ヨーロッパを中心に、好気性条件化で自己造粒を行う処理プロセスの開発が進み、産業排水処理に採用され始めています。このプロセスは、有機物及び窒素・りん除去を行う細菌をグラニュールに保持し処理を行うもので、下水処理に適用した場合、電力費の削減、及び最終沈殿地が不要になる可能性があります。

 

また、インド等で採用されているUASB法は、嫌気性処理のため大幅な省エネルギー効果が期待されますが、処理水質が我が国の放流水質基準に適合しない等の問題があり、日本では採用されていません。

 

近年、効果的な後処理を組み合わせることで、日本の放流水質基準に適合する可能性が出てきたため、我が国における下水処理に適用するための開発を行います。

 

 

2.ライフサイクルコスト削減を目的とした技術に関する調査(H17〜H21)

 

ライフサイクルコストを削減する手法としては、建設費の削減、維持管理費の削減、及び長寿命化が考えられます。

 

下水道施設は、土木、建築、機械、電気の各施設から構成されますが、ここでは主に土木施設の維持管理費削減および長寿命化に焦点を当て、コンクリート構造物の耐久性を向上させる耐硫酸コンクリートの開発及び劣化防止技術の開発を行います。 

 

「耐硫酸モルタル」の技術評価が昨年度終了しましたが、引き続き、更に耐久性の高い材質の開発、実用化を実施します。

 

 

3.高度処理技術の省エネルギー化・コンパクト化に関する技術調査(H18〜H21)

 

良好な水環境の形成を目的とした閉鎖性水域の窒素・りん規制に対応するため、下水の高度処理が広く求められるようになって来ています。

 

また、大都市では汚泥の集約処理が進んでおり、このような場合、高濃度のアンモニアを含む排水が中核処理場へ流入するため、通常以上の窒素・りんの除去が必要となります。

 

近年アナモックス菌という嫌気性の環境においてアンモニアを酸化する細菌が発見されています。アナモックス菌を利用した高濃度のアンモニアを除去するシステムを下水処理に適用することにより、高度処理の大幅なコスト縮減が可能となります。

 

この調査は、大・中規模処理場における高度処理コストの縮減を主な目的として、アナモックス菌による下水の高度処理システムの開発・実用化を図るものです。

 

 

4.未利用バイオマスの活用によるエネルギー自立型処理場の開発に関する調査(H18〜H20)

 

下水処理場では、下水汚泥を嫌気性消化によりメタンガスを発生させ、エネルギー回収を実施していますが、回収したエネルギーは下水処理場で消費するエネルギーの一部に留まっています。

 

汚泥処理プロセスは、スケールメリットが大きいプロセスであるため、下水汚泥に加えて、地域で発生する浄化槽汚泥やし尿、ディスポーザー経由の生ごみなどの未利用バイオマスを受け入れることにより、大きなエネルギー回収が期待できます。

 

この調査では、下水処理場におけるエネルギー自給率の向上を図ることを目的として、下水汚泥以外の未利用バイオマスをエネルギー資源として有効に活用するための技術開発を行います。

 

      (技術開発課長 藤本裕之)

 

 

 

 

 

☆ 研究グループの紹介 ★

 

◆水処理グループ

 

水処理グループの構成は、中沢総括主任研究員(先端研究役兼任)、川口主任研究員、葛西主任研究員、猪木主任研究員、糸川研究員のほか、再構築・マネジメントグループの橋本(敏)主任研究員が兼務しています。

 

主なテーマには、@アナモックス菌を活用した窒素除去、自己造粒微生物を利用した下水処理などの最先端の技術から、A膜分離活性汚泥法の大規模化、担体を用いた窒素除去法、処理水からのリン吸着除去法などの既存施設の高機能化技術、B処理水の脱色、消毒、難分解性CODの除去のほか、内分泌撹乱物質、微量化学物質、ノロウイルス等の処理水中のリスク原因物質の除去技術を対象としたオゾン処理技術の技術評価があります。

 

最先端の技術や既存施設の高機能化に関連するテーマでは、民間企業との共同研究も活用し、栃木県真岡市の技術開発実験センターで、実下水を用いたパイロット実験を行っています。

 

その他、総合事務所、設計センターとの連携による地方公共団体からの委託調査では、既存施設の処理改善手法に関する調査も数多く手がけています。

 

水処理グループでは、JSにしかできない水処理技術の開発・実用化・支援を目指しています。

 

 

 

◆再構築・マネジメントグループ

 

平成20年度より、機能改善グループが再構築・マネジメントグループにネーミングを変えました。新たな業務として、アセットマネジメントをサポートする最新技術についての開発・研究が付加されました。

 

グループ構成は、遠山総括主任研究員、橋本(敏)主任研究員、持田研究員、三宅研究員の4名です。今年度予定しているテーマは、全国の下水道施設の省エネ対策の検討に活用するツールとして省エネ対策検討調査、合流改善関連として雨天時活性汚泥法および下水放流水の消毒に関する調査です。

 

共同研究では、汚泥系臭気に対応できる土壌脱臭装置の開発、アセットマネジメントに関する研究として下水処理施設のプロセスデータを統計処理し処理状態・施設健全度を判断する技術の開発です。そして、昨年度技術評価をおこなった耐硫酸モルタルの実用化に向けての検討です。

 

このように、今年も多方面に渡り調査・研究を進めて参ります。何か御用がありましたら、当グループにご連絡下さい。

 

 

 

◆資源リサイクルグループ

 

資源リサイクルグループは汚泥の有効利用や処理処分全般を担当しています。構成は照沼総括主任研究員、島田主任研究員、水田研究員の3名です。

 

主な研究テーマとして、生ごみなど近隣で発生する未利用バイオマスを下水処理場に受け入れ、汚泥と一緒に混合メタン発酵してエネルギー回収する技術の開発調査があります。CO2フリーの下水汚泥燃料を利用し発電することで温室効果ガスの削減に寄与し、下水道事業者にとっても電力事業という長期的に安定した有効利用先を確保することが可能になります。

 

これに関する新技術の導入、実用化を図るために複数の民間企業と、汚泥発生量を大幅に減らす熱可溶化による高効率嫌気性消化システム、消化日数を従来の1/3〜1/5 で行う担体充填型高効率嫌気性消化システム、自動車のロータリーエンジンを用いた新しい小型消化ガス発電システムなど、盛り沢山のメニューで研究に取り組むことにしています。

 

「汚泥は廃棄物ではなく貴重なバイオマス資源である」を念頭に、新しい体制で心あらたに組んで参りますので、汚泥処理のことならなんでも当グループにお気軽にご相談下さい。

 

 

 

◆バイオマス固形燃料化グループ

 

バイオマス固形燃料化グループは、下水汚泥の固形燃料化と炭化技術(高温・中温・低温など)に関する調査、研究を担当しています。構成は照沼総括主任研究員、小島研究員、茨木研究員、橋本(康)研究員(課長グループと併任)の4名です。

 

下水汚泥バイオマスは、集積性、量の安定、質の安定に着目され、電気事業者等による石炭火力発電所での石炭混焼利用等が注目されています。バイオマス固形燃料化技術は、下水汚泥から製造される炭化燃料、乾燥燃料を、石炭ボイラで燃料として利用することを目的に開発されています。さらに汚泥の安定した有効利用と地球温暖化抑制に貢献できる技術として注目を集めています。

 

また、昨年度に燃料化システム開発の技術評価(外部評価)を実施し、燃料化システムの安定性、固形燃料性状、石炭との混焼についての評価が実施されました。

 

地方自治体からの受託調査では、汚泥処理方式の比較検討を多数実施しています。この調査では、処理コスト、エネルギー収支、温室効果ガス排出量に焦点を絞り、現在実施されている処理方式と焼却、溶融、炭化、燃料化などの方式について比較検討を行います。

 

これからも、地方自治体の汚泥処理の一助となるよう頑張っていきます。

 

 

 

☆ 第1回オゾン処理技術専門委員会開催 ★

 

関連サイト:日本下水道事業団/技術開発/技術評価

http://www.jswa.go.jp/gikai5/gihyou_.htm

 

4月23日(水)に第1回オゾン処理技術専門委員会(委員長:津野洋京都大学大学院教授)が開催されました。

 

本専門委員会は、3月27日に行われた理事長から技術評価委員会への諮問を受け、同日に技術評価委員会からオゾン処理技術の調査審議を付託されたものです。

 

今回は、JSにおけるオゾン処理技術に関する調査研究の経緯とその概要についての説明、技術評価書の構成などについての審議が行われ、オゾン処理法の実態調査における調査・解析方法や本評価における促進酸化処理法の取り扱いのあり方などについて熱心な議論が交わされました。

 

技術開発部では、今回の審議での意見を踏まえ、技術評価の取りまとめを行い、平成20年度末の答申を予定しています。

 

 

 

☆ 記者発表 4.25 ★

 

<JS技術評価委員会「耐硫酸モルタル防食技術の技術評価」を答申>

 

<JS技術評価委員会「下水汚泥固形燃料化システムの技術評価」を答申>

 

詳細は↓

日本下水道事業団HP/記者発表資料/

(http://www.jswa.go.jp/)

 

 

 

 

━━☆★ いまさら訊けない下水道講座  35 ★☆━━

 

<活性汚泥はゴミだらけ?>

 

※ PDFファイルで全文が添付されています。

 

様々な活性汚泥法で処理の主体となっているのは、活性汚泥中の微生物です。このことから、活性汚泥が微生物のカタマリであるかのような説明をしばしば目にします。会話中はおろか、時には報告書や論文においてすら、活性汚泥の浮遊物質濃度を表すMLSS(活性汚泥浮遊物質)を指して「生物濃度」と呼ぶ方がいらっしゃることからも、「活性汚泥=生物」というイメージが強いことが解ります。

 

実際には、活性汚泥は細菌や原生動物などの微生物に加えて、反応タンクへ流入した様々な有機物・無機物や、微生物が体外へ分泌・排出した高分子有機物など複雑な組成を持ちます。とりわけ、生物学的に不活性な浮遊物質(要は、「ゴミ」ですね)は、処理水濃度を無視すれば、反応タンクから無くなる経路が余剰汚泥としての引抜きしかありませんので、相当の割合で反応タンク内に溜まっていきます。ここで、流入した不活性な浮遊物質が反応タンクに蓄積される割合(蓄積率=反応タンク濃度/流入水濃度)は、理論的には、SRT(固形物滞留時間)とHRT(水理学的滞留時間)の比(SRT/HRT比)に一致します。

 

例えば、「HRT:6時間(0.25日)、SRT:6日」という条件の高負荷型処理プロセス(標準活性汚泥法のイメージですね)を想定すると、蓄積率は「6÷0.25=24倍」になります。流入する不活性な浮遊物質濃度を30 mg/L※とすれば、これに由来するものだけで、反応タンク内の不活性物質濃度が720 mg/Lになります。

 

これが、OD法のような低負荷型の処理プロセスになると、例えば「HRT:24時間(1日)、SRT:40日」の条件で蓄積率は40倍となり、30 mg/Lで流入した不活性物質の反応タンク内濃度が1,200 mg/Lに達する計算になります。

 

実際には、このような流入水由来の物質に加えて、細菌などの微生物が反応タンク内で分解される際に生じる不活性有機物も蓄積されますので、不活性物質のタンク内濃度は更に増加します。

 

BOD-SS負荷のように、「ゴミ」を含んだMLSSに依存する管理指標は、流入水の組成や処理条件などが変わるとMLSSの中身が変わるため、注意が必要です(MLSSの代わりにMLVSSを使えば、少なくとも無機物の寄与は除外できますが、不活性有機物についてはMLSSと同様です)。

 

一方、SRTは、このような活性汚泥の組成に依存しませんので、様々な条件が変わっても適用可能な、比較的一般性の高い指標と言えます。

 

米JSの実態調査によれば、反応タンクに流入する浮遊物質のうち、10〜20%程度は無機物で、これは生物学的に不活性と考えられます。また、同じく実態調査によれば、反応タンクに流入する有機物の15%程度は不活性な成分です。したがって、ここで設定した「30 mg/L」は、現実的な値です。

 

         (技術開発課 糸川浩紀)

 

 

 

 

━━☆★ 部長コーナー ★☆━━

 

< 尻に火がつかないと・・・・ >

 

5月も半ばだというのに、今日は3月中旬並の寒さだそうで、朝の駅にはコート姿がかなり見られました。一方で、少し前には、もう夏がきたかと思うような陽気でした。寒暖の差が激しいと、すぐ、これも地球温暖化の影響かと考えてしまいます。気象学的には、単なる天候の変動幅の中なのかも知れませんが、世界の気温が着実に上昇しているのは間違いない事実です。

 

さて、もう40年以上前になりますが、私は高校生の頃、アメリカのSF作家アイザック・アシモフの科学解説本を読むのが好きでした。アイザック・アシモフは、「鉄腕アトム」にも出てくる「ロボット三原則」の提唱者としても有名ですが、この人の著書の中に、「人類の工業活動は、順調に動いている機械にドライバーを放り込んでいるようなものだ。」と書いてあったのを覚えています。

 

これは、人類の工業活動によって大気中にどんどん排出されている二酸化炭素の温室効果のため、将来は地球全体が熱帯化してしまうだろうという警告で、当時、私は「これが本当なら、遠い将来の人類は大変だな。」などと思ったものですが、それが、まさか今、現実の問題になるとは夢にも思いませんでした。

 

まさに、40年以上も前、既に地球温暖化について警告していた人がいたということですが、あまりにも時期が早すぎて、皆、対応すべき問題であるとは思わなかったということでしょう。人間は、いざ尻に火がつかないと危機を危機として感じないという教訓でしょうか。

 

      (技術開発部部長 村上孝雄)

 

 

 

 

 

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