地方共同法人日本下水道事業団Japan Sewage Works Agency

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技術開発

JS技術開発情報メールNo.79

 

日本下水道事業団(JS)

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      2008・6・4

    JS技術開発情報メール No.79

━━━━━━━━━━━━━━━━━◆◇◆JS技術開発部

 

(目次)

◆トピックス

<第3回EWA/WEF/JSWA合同会議>

<環境フェア in KOBE>

◇部ログ

<「促進酸化」で活性酸素を活用する>

◆いまさら訊けない下水道講座 36

<大雨に備えて>

◇下水道よもやま話

<ミャンマーの下水道>

◆部長コーナー

<「そこまでやりますか」>

 

 

 

━━☆★ トピックス ★☆━━

 

☆ 第3回EWA/WEF/JSWA合同会議 ★

 

※表はPDFファイルで添付されています。

 

日本では、ゴールデンウィークも真最中の5月4日から9日にかけて、第3回EWA/WEF/JSWA合同会議に出席するため、ドイツのミュンヘンに出張して来ました。なお、EWAとは欧州水協会、WEFとは米国水環境連盟、JSWAは日本下水道協会のことです。

 

今回の会議の全体テーマは、「21世紀のプレッシャーに対応する持続可能な下水道管理」であり、その中で、4つのテーマについて口頭発表やポスター発表が行われました。各テーマの発表数は表のとおりです。

 

私は、「財政、人口動態、法制度」のセッションにおいて、「持続可能な排水管理のための技術」と題してキーノートスピーチを行い、「地球温暖化への対応のため、下水道においても省エネルギー・創エネルギー、資源回収・再利用が強く求められている。

 

このために有効な技術の例として、膜分離活性汚泥法による処理水再利用、アナモックス法、炭化汚泥バイオマス燃料化、りん回収技術等を紹介。また、今後の温暖化への対応には、一層の技術開発が重要であるとともに、開発された技術が有効に機能するための行政・財政制度の整備が不可欠である。」という内容の話をしました。

 

JSからは、私の他に事業統括部の塩路次長と西日本設計センター計画設計課の岩崎氏が参加し、塩路次長は「大規模地震と下水道−被害予測と対策−」、岩崎氏は、「下水道における感染性ウイルスのリスク対策」と題して口頭発表をしました。

 

なお、岩崎氏の発表は、下水道におけるノロウイルス対策に関する検討結果で、岩崎氏の技術開発部在籍時の調査研究成果です。外国からの発表では、洪水の発生増加等の降雨の変化の影響と対策に関する発表や将来の人口減少の下水道への影響、膜分離技術に関する発表等が興味を引かれるものでした。

 

さて、会議は、3年に一度ミュンヘンで開催される大規模な環境関係技術の展示会である「IFAT2008」の併催行事として行われましたが、この「IFAT2008」は水環境から廃棄物までを対象としており、今回の出展者は2560者、入場者数は有料であるにもかかわらず12万人に達し、その3分の1は外国からの参加者だったそうです。

 

私も会議の合間に、IFATを見学したのですが、何せ巨大な展示ホールが16もあるので、ごく一部しか見ることができませんでした。会場は、日本の下水道展のように子供向けのイベント等は一切無く、音楽も流さないという静かな雰囲気なのですが、それでも見学者と出展者の間の熱心なやり取りには、大変な活気を感じました。

 

また、研究開発専用のホールもあって大学等の展示ブースが集まっており、その情報量は相当のものだと思います。なお、IFATでは、日本の下水道展のような粗品はほとんど無いのですが、代わりに、どこのブースでもコーヒー等のドリンクやスナック・お菓子類はふんだんにあり、ちょっと話をしていると「まあ、座って」とコーヒーとお菓子が出てくるといった感じです。

 

また、夕方になると、大きな展示ブースはほとんどビアガーデンと化しており、通りかかる人には誰彼構わずビールが振舞われるという状態です。ビール好きな人は、入場料を払っても十分に元が取れるということでしょうか。

      (技術開発部長 村上孝雄)

 

 

 

 

☆ 環境フェア in KOBE ★

 

神戸で行われた環境大臣会合に併せて、関連省庁や、民間企業が出展した展示会『環境フェアin KOBE』が5月23日(金)から26日(月)まで、神戸市立中央体育館において開催されました。

 

オープニングセレモニーでは、主催者を代表して桜井環境副大臣、井戸兵庫県知事の挨拶のあと、来賓として谷津衆議院議員(グローブジャパン)の挨拶がありました。環境大臣会合の成功と、日本の取り組みを世界に広げることの意義などについてお話がありました。

 

屋内会場エリアの半分は政府展示が占め、国内外における日本政府の環境対策への取り組みが、紹介されました。

 

環境省、経産省、農水省の展示ブースに加え、国土交通省関連のブースが設けられ、下水道部からは「再生水利用の促進」「バイオマス資源の有効活用」「リン資源回収技術」の説明パネルや、下水汚泥固形燃料などの展示物が出品されました。

 

子供や一般市民を対象とした大手企業の環境啓発活動を兼ねたブースは盛況で、省エネ・創エネなどの日本の工業製品の展示紹介や、経産省、農林系のブースにおける木質系バイオマスから、エタノール生産を行う技術の紹介が注目を集めていました。

 

屋外会場ではハイブリッド車の展示や、一般市民向けのアトラクションが行われ、大型風車の実物展示もあり、こぢんまりとした会場ながらも、迫力のある展示会でした。日曜日の夕方、特別視察が行われ、環境大臣会合の成功ぶりは、その後の新聞報道などで知られるとおりです。

 

       (技術開発課 田中松生)

 

 

 

━━☆★ 部ログ  17 ★☆━━

 

<「促進酸化」で活性酸素を活用する>

 

編集委員:今回の部ログでは、ここ数年水処理グループで検討してきた「促進酸化」処理を採り上げます。講師は橋本敏一主任研究員です。

それでは、まず、「促進酸化とは何ぞや?」という辺りを簡単に説明して頂けますか?

 

橋本:下水処理場では、塩素の代りにオゾンを使って消毒をしている所があります。また、生物処理では十分に除去ができない色や難分解性有機物を除去するためにオゾン処理を導入しているところもあります。

これらは、オゾンの強力な酸化力により微生物や有機物を分解するものですが、これより更に強い酸化力を得よう、という処理方法をまとめて「促進酸化」と呼びます。

 

編集委員:どうやって酸化力を高めるわけですか?

 

橋本:具体的には、オゾンに過酸化水素のような薬品を加えたり、紫外線を当てたり、といった追加を行ないます。オゾン単独での処理もそうですが、実際に酸化力を発揮しているのは、ヒドロキシルラジカルのような非常に不安定で反応性の高い物質です。これを如何にたくさん生成させるか、という点がポイントになります。

 

一同:ひどろきしるらじかる・・・。

 

橋本:身近な例を挙げると、成人病などの原因物質として、「活性酸素」が話題になったことがありますが、ヒドロキシルラジカルもその一部です。

人間が呼吸で体内にとりこんだ酸素のうち、ごく一部が活性酸素と呼ばれる酸化力の高い物質になり、これが正常な細胞を傷付けたりして様々な病気の原因になる、という話です。

 

編集委員:最近始まったJSの技術評価でも促進酸化を取り扱っていますが、どのような処理対象を想定しているのですか?

 

橋本:難分解性の有機物や微量有害物質の除去が対象になると思います。

オゾン単独での処理では除去が困難な物質も分解できたり、オゾン添加量を低減できたり、といった効果が見込めます。

 

編集委員:実際に使われているんですか?

 

橋本:下水処理場ではまだですが、ゴミの最終処分場の浸出水や工場排水の処理などに導入されている事例があるそうです。浄水場での消毒用に使えないかという検討も行なわれています。

 

編集委員:水道水が塩素臭くなくなればいいわね。

 

橋本:今の法律では水道水に塩素を入れないといけないので、これを変えないとダメですね。

 

編集委員:活性汚泥法などの普通の水処理の代わりにはならないんですか?

 

橋本:オゾンの添加量が膨大になるので、現実的ではないと思います。ただ、合流改善対策として、雨天時に放流される下水をオゾンで消毒する検討は行われています。

 

編集委員:美容には使えない?

 

編集委員:活性酸素風呂とか・・・。

 

一同:生命に関わりますって。

 

編集委員:話が脱線してきたところで、お開きにしたいと思います。どうもありがとうございました。

 

     (編集:技術開発課 糸川浩紀)

     

     

     

 

━━☆★ いまさら訊けない下水道講座  36 ★☆━━

 

<大雨に備えて>

 

※ PDFファイルで全文が添付されています。

 

今年は全国的に梅雨入りが早いようですが、下水処理場勤務の場合、大雨は心身ともに忙しいことと思います。

 

分流式の下水処理場でも、雨天時に流入汚水量が増加している処理場は多く、7割の処理場で雨水混入比(雨天時ピーク流入水量/晴天時時間最大汚水量)が1.5倍以上であったとの調査報告1)もあります。

 

雨天時、特に台風等による集中豪雨に対しては、晴天時の管理に加えて、流入水量の増大に対する適切な対応を行う必要があります。以下にその主な対応策について御紹介します。

 

@流入ゲートの開度調整

 

沈砂池・ポンプ室が地下部分に建設されている処理場では、水没を避けるために、主ポンプの全台運転。それでも水位が上昇し水没する危険が生じた場合は、流入ゲートの開度を絞って主ポンプ揚水量とのバランスを取る。ただし、流入ゲートの開度を絞る際には、ゲート開度を徐々に絞り、近隣のマンホールが水撃作用により浮き上がらないように注意が必要です。

 

 

A反応タンクと最終沈殿池の運転方法

 

汚水ポンプの揚水能力は時間最大で設計されていますが、最終沈殿池の能力は日最大で設計されています。流入水量増大により時間最大能力で汚水ポンプの運転が続くと、最終沈殿池から活性汚泥が流出してしまいます。

 

このため、最終沈殿池から活性汚泥が流出するような場合は、曝気装置の運転を一時的に停止し、反応タンク内で活性汚泥を沈殿させ、活性汚泥が流出することを防ぎます。

 

なお、返送汚泥ポンプの運転を停止することで活性汚泥の沈降性を高めることができます。この場合、最終沈殿池コレクタは停止するのが適当と考えられます。そして、流入水量の増加がおさまったら、曝気装置の運転を速やかに開始します。

 

 

B消毒

 

場合によっては、不十分な処理により大腸菌群等が高濃度で放流されてしまうので、必要に応じて消毒剤の注入率を増加させます。また、固形塩素剤の場合は、水量増加に伴い、溶解量が多くなり追加補充が必要となることがありますので、定期的に塩素剤接触部での残量確認が必要です。

 

私が、以前所属していた四国では、台風時の高潮に伴い流入した海水が活性汚泥を解体させるという事態がしばしば見られました。活性汚泥の解体時は、PAC等での凝集効果の向上を図りますが、海水流入に伴うアルカリ度の上昇で、PACの効果が低下してしまう等の問題が生じます。さらには、高潮後の機器の腐食問題等も生じます。一方、災害時に曝気装置が停止してしまい丸3日間空気供給されなかった真っ黒い活性汚泥が、処理機能を回復し、生物相が復活した時の喜びも忘れられません。

 

皆様も、苦労は絶えないことと思いますが、梅雨や台風時期を無事に乗り越えられるよう、事前の対策にご留意下さい。

 

            (技術開発課 三宅十四日)

 

1) 下水道管きょ学研究会:下水道管きょ学入門29 管きょの不明水対策、月刊下水道Vol.21 No.7 pp65-71、1998

 

 

 

 

━━☆★ 下水道よもやま話 ★☆━━

 

< ミャンマーの下水道>

 

※写真はPDFファイルで添付されています。

 

ここ何年か、JICA(国際協力機構)の集団研修「下水道技術・都市排水」コースに参加しています。このコースには、開発途上国の下水道技術者が参加し、講義、現場見学などで学習すると共に、個々の研修生が抱える問題点を提示し、研修で得た知見を基に解決策を検討し、レポートにまとめる、という「ケーススタディ」を実施しています。

 

私は、このケーススタディについて何人かの研修生に対し、レポート作成のアドバイスをするという役割をしています。モンゴルの下水道は意外と普及している、ヨーロッパ諸国の領土から独立した国は老朽化した下水道で大変、など各国それぞれの状況がわかり、楽しみにしている役割でもあります。

 

昨年の研修には、この5月にサイクロンで甚大な被害を受けたミャンマーから研修生が参加しました。彼女によると、ミャンマーで下水道があるのは、新首都ネピドーと旧首都ヤンゴンだけということでした。

 

ヤンゴン市では、イギリスに統治されていた時代(第2次世界大戦前)に建設された下水道が市内中心部の商業地区(昨年、暴動で日本人ジャーナリストが殺害された地域)だけにあり、下水処理場は昨年建設されたということです。それまでは、収集された下水はヤンゴン川に直接放流されており、汚濁がひどいため、ようやく処理場が建設され、供用開始の運びとなったということでした。

 

ただ、処理場技術者はいないので、試行錯誤しながら試運転をしているとのことでした。カントリーレポート作成にあたり、研修生の職場の同僚にメールを送り足らない情報を収集しているのですが、ミャンマーではメールは届かないし、インターネットも使えないという状況で、新首都の下水道の情報も、当然ながら入手できませんでした。

 

20年近く前ですが、イラクからの研修生がバグダッドの処理場の話をしていたのを思い出します。あの処理場は今でも動いているのでしょうか。爆破されてしまったのでしょうか。

 

下水道を支えるものに、平和、自由なども付け加えないといけないようです。

 

           (技術開発課長 藤本裕之)

 

 

 

 

━━☆★ 部長コーナー ★☆━━

 

< 「そこまでやりますか」 >

 

5月の大型連休の最中に、会議出席の為、ドイツはミュンヘンに出張しました。往路は、フランクフルト空港で国内線に乗り換えですが、その際にセキュリティチェックがありました。もう慣れたもので、パソコン・財布・腕時計・ベルト・鍵等を全てプラスティックのトレイに出して、無事に金属探知機を通過しました。

 

ところが、中年の女性検査官は何やら不審そうな顔をして私の財布だけを再度、手荷物検査機に通し、出てきた財布を見ながら、「この中にナイフは入っていないか?」と聞くのです。財布の中にナイフなど入れる訳が無いので「ノー」と答えると、今度は財布を開いて、紙幣、身分証明書、カード類まで全てプラスティックトレイの中に出させて再再度、財布を検査機に通しました。そして出てきた財布を険しい顔をして入念に調べていましたが、そのうち財布のコイン入れの後ろにあるポケットに指を突っ込んだと思うと、何やら小さなものを引っ張り出しました。それは私も入れたことをすっかり忘れていた鎌倉鶴ヶ丘八幡宮のお守りでした。

 

「ややっ」と思っている間に、彼女はさっさとお守りを開け、その中にあった小さな和紙の包みを開きました。出てきたのは、なんと長さ3cm位の薄い金属板で作った刀でした。鶴ヶ丘八幡宮は武士の守護神なので、お守りには刀という訳で、私も中身を見たのは初めてでした。「これは何なの?」と聞かれて、お守りの意味をくどくどと説明している間にも、後ろの列は次第に長くなってきます。しかし、彼女は委細構わず眼光鋭く小さな刀を調べていましたが、やがて「OK」と返してくれました。多分、説明に納得したというよりも、「こんなペラペラの小さなナイフでは、とても武器にはならないだろう。」と判断したものと思われます。

 

これまで、セキュリティチェックで財布が引っかかったことは無かったのですが、たまたまコインが入ってなかったので、コインの影にならず検査機で見えたのではないかと思われます。それにしても、本人も忘れていたお守りを探し出し、その中身までチェックするという徹底ぶりは大したものです。お守りの中まで見られるとは、日本人としては若干の抵抗はありますが、ここは彼女の職務遂行姿勢を褒めるべきでしょう。無罪放免されてホッとしながらも、「仕事はあのくらい妥協無くやらないといけないのだなぁ」などと感動した次第です。なお、例のお守りは、まだ、財布の中に入っています。

 

      (技術開発部部長 村上孝雄)

 

 

 

 

 

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