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技術開発

JS技術開発情報メールNo.82

 

日本下水道事業団(JS)

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      2008・9・5

    JS技術開発情報メール No.82

━━━━━━━━━━━━━━━━━◆◇◆JS技術開発部

 

(目次)

◆トピックス

<新規共同研究紹介>

<サウジアラビアから見学者来訪>

<インド人もびっくり!真岡実験センターの最新技術>

<JS技術開発成果 特別講演会のおしらせ>

◇部ログ

<固形燃料の安全性>

◇いまさら訊けない下水道講座 39

 <工業計器類と制御>

◆下水道よもやま話

<維持管理の時代>

◇部長コーナー

<自分で言っているんだから間違いない?>

 

 

 

━━☆★ トピックス ★☆━━

 

☆ 新規共同研究紹介 ★

 

JS技術開発部では、民間企業等との共同研究を実施しています。今年度は、過年度からの継続研究を含め、24件との共同研究を実施しています。

 

ここでは、今年度から新たに開始する6件の共同研究について、概要を紹介します。

 

 

◆エネルギー消費抑制型下水処理技術の開発:帝人(株)

水処理の省エネ化を目的として、工場排水処理施設として実績のある「多段型生物処理法」の下水処理への適用を検討します。

 

多段型生物処理法は、多段化した反応タンクに固定生物支持体を設置し、微生物を高濃度に保持する処理方式で、エアレーション量の低減が期待されます。

 

また、余剰汚泥発生量が削減できる可能性もあり、汚泥処理システムのエネルギー削減も期待されます。JS技術開発実験センターに実証プラントを設置し、平成21年度末に一定の成果を得ることを目標に共同研究を実施します。

 

 

◆高負荷二点DO制御を用いた効率的なOD法の開発:高知大学、前澤工業(株)

高度処理対応OD法の省エネ化を目的として、高負荷二点DO制御の適用を検討します。二点DO制御は、反応タンク内の曝気部分と好気部末端の二点にDO計を設置し、これら2点におけるDO値をそれぞれ制御することにより、反応タンク内の好気ゾーンと無酸素ゾーンを安定して保持させる制御技術です。

 

反応タンク内の好気ゾーンと無酸素ゾーンを安定して保持することが出来れば、安定した窒素除去が可能となります。

 

この共同研究では、安定的に窒素除去が可能な制御手法の開発を行い、滞留時間を12時間程度とした条件での適用可能性を検討します。

 

 

◆押し出し流れ型活性汚泥法の自動制御技術の開発:日本ヘルス(株)

標準活性汚泥法等の押し出し流れ型の活性汚泥法の水処理システムにおける省エネ化を目的として、流入負荷に基づく反応タンクのエアレーション自動制御手法を開発します。具体的には、反応タンクにおける必要酸素量を算定し、流入負荷量に基づくフィードフォワード制御により、エアレーション量を決定し、自動制御を行う、というものです。

 

JS技術開発実験センターに実証プラントを設置し、平成21年度末に一定の成果を得ることを目標に、水質センサーの選定、測定頻度の検討、エアレーション制御手法の検討を実施します。

 

 

◆アセットマネジメントに関する技術の開発:(株)東芝

下水処理場における水処理プロセスの劣化を早期に把握することを目的として、監視制御設備のデータサーバに蓄積したプロセスデータを用いて、水処理プロセスの異常を自動的に検出する手法の開発を行います。

 

化学プラントなどで適用されている多変量統計的プロセス監視手法の1つである主成分分析を下水処理システムに適用し、アセットマネジメントのツールとしての適用可能性を検討します。平成21年度末に一定の成果を得ることを目標にしています。

 

 

◆自己造粒微生物を利用した下水処理技術の開発:(株)東芝

嫌気性自己造粒微生物を用いた嫌気性リアクターと好気性処理の組み合わせによる省エネ型下水処理システムの開発を行ないます。処理プロセスとしては、前段に嫌気リアクター(固定床部+浮遊汚泥部)を配置し、後段に固定担体を配置した好気性リアクターを配置し、省エネルギー及び安定的な運転を開発目標にしています。

 

JS技術開発実験センターに実証プラントを設置し、平成21年度末に一定の成果を得ることを目標に共同研究を実施します。

 

 

◆消化ガスを有効利用した高効率発電システムの開発:周南市、(株)メタウォーター、寿工業(株)

消化ガスの有効利用方策として、生物脱硫とロータリーエンジン発電を組み合わせた消化ガス発電システムを開発します。汎用自動車用エンジンであるロータリーエンジンを用いて発電を行うことにより、低価格でコンパクトな発電システムを開発するとともに、エンジン排熱を生物脱硫に利用することで、エネルギー利用効率の向上を図ります。

 

山口県周南市新南陽浄化センターに実証プラントを設置し、平成20年度末に一定の成果を得ることを目標に共同研究を実施します。

 

      (技術開発課長 藤本)

 

 

☆ サウジアラビアから見学者来訪 ★

 

JICAの委託により北九州国際技術協力協会(KITA)がコーディネートしている「サウジアラビア下水処理施設運営管理プロジェクト『施設設計コース』」の研修生15名が、去る7月29日(火)にJS技術開発研修本部に来られました。

 

午前中は、技術開発部の島田主任研究員が「日本における下水汚泥の処理と有効利用の現状について」と題して講演しディスカッションを行いました。午後は研修企画課の本多課長が「日本下水道事業団の研修概要について」説明し、研修施設や総合実験棟を視察して終了しました。

 

汚泥の有効利用については、特に緑農地利用とセメント原料化に関心が有るようで、これらについての積極的なディスカッションが行われました。

 

 

 

☆ インド人もびっくり!真岡実験センターの最新技術 ★

 

8月5日(火)午後、JICAのインド研修生が、栃木県真岡市のJS技術開発実験センターを見学しました。

 

一行は、いずれもインド中南部アーンドラ・プラデーシュ州の州都ハイデラバードの都市開発局職員で、レディ副局長を始めとする7名です。ハイデラバードは、フセイン・サガール湖に面していますが、この湖の水質汚濁対策が重要な課題となっていることから、日本での技術研修となったものです。

 

午前中に新宿をバスで出発した一行は、ちょうど首都高速が通行止めになっていたこともあり、予定よりかなり遅れての到着となりました。到着後、まず、会議室で村上技術開発部長から、一行が興味を持っている膜分離活性汚泥法に関する説明を受けた後、現地見学を行いました。お目当ての膜分離活性汚泥法実験プラントはもちろん、りん回収やアナモックス法の実験プラントも見学しました。

 

何でも、その日中に彦根まで移動しなければならないということで、かなりの強行軍でしたが、後でJICAの方に聞くと、最新技術を見学できて、一同大変満足していたとのことでした。

 

経済発展の著しいインドは、これから環境面でもなすべきことが多くありそうです。日本の技術を大いに役立てて欲しいものです。なお、ハイデラバード都市開発局にはJSから荒井俊博氏がJICA専門家として派遣されています。

 

 

 

 

☆JS技術開発成果 特別講演会のおしらせ ★

 

日本下水道事業団技術開発部の最新の研究成果について特別講演会が(財)下水道業務管理センター主催により開催されます。

 

講演内容は平成20年4月に研究開発成果としてJS技術評価委員会から答申のありました「耐酸性モルタル」及び「下水汚泥固形燃料化システム」の2テーマが中心で、9月25(木)、26(金)の2日間にわたって開催されます。

 

詳細は添付ファイルをご覧ください。

 

 

 

━━☆★ 部ログ ★☆━━

 

☆ 固形燃料の安全性 ★

 

編集委員:今日は下水汚泥固形燃料を安全に扱うための固形燃料発熱・発火のメカニズムについて小島浩二研究員に教えていただきます。

 

一同:よろしくお願いします。

 

小島:下水汚泥から製造される固形燃料は火力発電所等で石炭と混焼され燃料として利用されます。この固形燃料はエンドユーザーに対して安定供給する必要があるため、処理場側で一時的に貯留されます。

しかしながら、この固形燃料は自己発熱、自己発火の可能性を有しているため、適切に管理されないと火災等の原因になります。

 

編集委員:どのようなメカニズムで発熱・発火に至るのですか?

 

小島:発熱のメカニズムは大きく3つに分かれます。最も大きな原因は酸化反応による自己発熱です。固形燃料の表面には多くの科学的に不安定な分子構造が存在します。これを活性点というのですが、活性点が空気中の酸素と酸化反応することで発熱が起こります。

二つ目は固形燃料に含まれる金属等無機物の化学反応による発熱です。三つ目は有機物の微生物発酵による発熱。後の2点についてはそんなに大きな影響を及ぼさないことが確認されています。

 

編集委員:石炭、固形燃料の安定性を示す指標として精錬度というものがありますよね。

 

編集委員:む、むずかしい・・・。

 

小島:発火は発熱による蓄熱に比べて貯蔵設備から大気への放熱が上回れば固形燃料の温度上昇はなく発火に至りません。

しかし蓄熱が放熱を上回る場合は、たとえそれが微少な発熱現象であっても次第に熱が蓄積され、温度が上昇します。

更に温度上昇により反応も加速され熱暴走の状態となり、温度が急激に上昇することにより発火点に達し発火に至ります。

 

編集委員:発火点って何ですか?

 

小島:物質を空気中で加熱するとき、火源がなくても発火する最低温度のことです。

 

編集委員:発熱・発火を抑制するためにはどうしたらいいの?

 

小島:例えば、貯蔵日数をできるだけ短くすること、燃料化物の撹拌、酸化反応抑制のための窒素パージなどが考えられます。

他にも色々ありますが、事業団では固形燃料発熱特性の評価手法を確立し、この結果を踏まえて安全対策を実施することにしております。

 

編集委員:発熱することを逆に利用して熱回収する方法も考えられますね。処理水を用いたヒートパイプを貯留設備の周囲に布設するとか・・・。

 

編集委員:固形燃料の発熱抑制にもつながるかもしれませんね。

 

編集委員:処理水の温泉ができちゃったりして。

 

編集委員:今日は課長お得意のダジャレもなく、終始真面目な話でしたね。お時間もせまりましたのでこれで終わりたいと思います。

 

一同:ありがとうございました。

 

(編集:水田 健太郎)

 

 

 

 

 

 

━━☆★ いまさら訊けない下水道講座  39 ★☆━━

 

<工業計器類と制御>

 

※ PDFファイルで全文が添付されています。

 

下水処理で設置されている工業計器類(センサー)としては、溶存酸素(DO)計、汚泥濃度(MLSS)計、ORP計などがあります。

 

これらのうちDO計が曝気空気量の制御(DO制御)に用いられることがありますが、その他のセンサーが制御に用いられることはまだほとんどありません。

 

ちなみに、一口にDO制御といってもその方法にはいろいろとあるようで、単純に曝気槽後半に設置したDO値のみで制御する方法、それに流入水量を加味した制御方法、さらには、曝気槽の中段付近のDO値も加えて制御することなどがあるようです。

 

ただ、制御方法が複雑になるほど各要素の最適な値を設定することが難しくなるため、維持管理性も考慮に入れて制御方法を検討する必要があります。

 

また、センサーの数に比例してメンテナンス費用が発生することから、維持管理費の観点から設置場所や設置数を検討する必要があります。

 

自動制御には、精度の高いセンサーの開発が不可欠です。制御方法として優れた技術であっても、センサー側での測定精度や信頼性が低ければ、目的にあった制御はできなくなります。濃度差を敏感に感知できない、汚れの付着等による指示値の乱れ、値がドリフトしていくなどセンサー側の課題によって自動制御ができないことも少なくありません。

 

一方で、下水道の分野では優れたセンサーの開発がなかなか進まないようです。理由として、ユーザー側での横方向の情報がほとんどないため、各製品の優劣などの判断が難しいこと、メーカー側への情報のフィードバックが少ないことなどが考えられます。下水処理では、今後、処理水質の向上、処理コストの縮減などがますます求められてきます。各種センサーを活用した自動制御の開発に向けて、優れたセンサーが開発されるしくみづくりも重要になります。

 

 (技術開発部 葛西 孝司)

 

 

 

 

━━☆★ 下水道よもやま話 ★☆━━

 

<維持管理の時代>

 

下水道事業は「これからは維持管理の時代である」と言われ始めてから、久しくなっています。世の中の流れとしては、地球温暖化対策として徹底した省エネルギー化が求められていますし、さらには創エネルギーが求められる時代となりました。

 

下水処理施設の維持管理については、従来は「維持管理の容易さ」が求められ、自動運転や維持管理の容易な処理法の導入が求められてきました。これからはどのような方向に向かうのでしょうか。

 

省エネルギーのためには、省エネ型施設の導入が不可欠ですが、運転管理の工夫によっても、ある程度の省エネ化は可能です。自動運転制御については、人間が介在しない領域での定値制御であるため、安定運転に主眼を置いています。これからは、高度な知識・経験を持った技術者が、いかに処理システムを運転するかによって、省エネ効果が変わってきます。自動運転制御にも、技術者の知識・経験をフィードバックすることが求められます。

 

また、創エネルギーについては、下水道事業からエネルギーと言う商品を作り出す事業ですから、商品にいたる過程における運転管理が重要になります。

 

例えば、下水汚泥固形燃料化事業では、従来処分対象であった汚泥を「商品」として石炭火力発電所などの「顧客」にお届けすることになります。従って、汚泥処理ラインを製品製造ラインと認識して、一定以上の品質を持った商品を製造すべく、運転管理する必要があります。このため、運転管理における技術者の技能が重要となります。

 

このような方向を考えると、ますます運転管理が重要となり、真の維持管理の時代に進んでいくと思われます。全国の維持管理担当の皆さん、スポットライトを浴びる時代がやって来ました!

 

JSでも維持管理をEasy管理にできるよう、色々な技術開発に取り組んで行きます。

 

     (総括主任研究員 照沼 誠)

 

 

 

━━☆★ 部長コーナー ★☆━━

 

< 自分で言ってるんだから間違いない? >

 

日本は、かつては一億総中流とまで言われた均質社会で、現在でも先進国の中では、最も所得格差が小さい国なのですが、最近では様々な格差が拡大しつつあり、次第に米国のような弱肉強食の格差社会に移行しつつあると言われています。

 

先日、本社での会議後、技術開発本部へ移動中のことですが、新宿駅構内で黒地に白で背中に「低所得者」と大書したTシャツを着た若者が歩いていました。何しろ、字がものすごく大きいので雑踏の中でも、その目立つこと目立つこと。それにしても何でこんなTシャツを着ているのでしょうか?最初、この若者は、所得格差の拡大に体を張って抗議しているのかと思いましたが、そのような様子は全く無かったので、多分、洒落なのでしょう。

 

それにしても、その若者はどう見ても金を持っているようには見えなかったので、わざわざ自分でそんなTシャツを着ることもないだろうと思いました。もしかすると、今、流行しているのでしょうか?

 

さて、当然、気になるのは、「高額所得者」というTシャツはあるのかということです。もしあれば、せめてTシャツだけでも買っていい気分になって見たいものですが、それを着て町を歩くと色々なリスクが発生しそうですね。その点、「低所得者」Tシャツは、リスク回避効果は絶大かも知れません。英語版を作って、外国の治安の悪いところで着れば効果てきめんではないかと思いますが、このアイデアどんなものでしょうか?

 

          (技術開発部部長 村上孝雄)

 

 

 

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