地方共同法人日本下水道事業団Japan Sewage Works Agency

サイト内検索

ホーム > 技術情報・研究 > メールマガジン > メルマガバックナンバー > JS技術開発情報メールNo.87

技術開発

JS技術開発情報メールNo.87

 

日本下水道事業団(JS)

◆◇◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

       2009・2・3

    JS技術開発情報メール No.87

━━━━━━━━━━━━━━━━━◆◇◆JS技術開発部

 

(目次)

◆トピックス

<アーヘンだより(1)>

<第3回オゾン処理技術専門委員会開催>

<技術者交流(イリノイ大学)>

完了テーマの紹介

<耐硫酸モルタルを用いた防食工法>

◆部ログ

<長寿命化>

◇いまさら訊けない下水道講座 44

<下水処理プロセスにおけるリンの挙動>

◆下水道よもやま話

<発見!?下水道の神様>

 

 

 

 

━━☆★ トピックス ★☆━━

 

☆ アーヘンだより(1) ★

 

※PDFファイルで写真が添付されています。

 

現在、私はドイツ・アーヘン工科大学の環境工学研究所(ISA)に勤務しております。これは1982年よりJSとISAの間で始まった技術者交流プログラムにより派遣されたものです。これまでこの技術者交流によりJSより7名の技術者が、ドイツからも8名の技術者がそれぞれの国に派遣され、現地でさまざまな技術に触れる機会を得てきました。私も昨年11月にアーヘンに着任し、1年間の予定で研究活動、情報収集活動を行う予定です。

 

私がISAで担当する研究は、ハイブリッド型膜分離活性汚泥法(以下、ハイブッリドMBR)に関するものです。ハイブリッドMBRとは、従来型の水処理プロセス例えば標準活性汚泥法やオキシデーションディッチ法と膜分離活性汚泥法が一つの処理場の中に混在するようなシステムのことです。

 

膜分離活性汚泥法では流量変動を出来るだけ少なくすることが望ましいことから、ハイブリッドMBRでは、従来型プロセス側に水量変動のしわ寄せが行きやすいという特徴があります。また既設を改造して膜分離活性汚泥法を適用する場合は、既設の槽構造がある中で、様々ある処理プロセスと膜設置場所をどのように評価し、設計していくかなど課題があります。

 

今後、日本でも施設の増設、改築等で膜分離活性汚泥法を採用されれば、このようなハイブリッドの施設が増えていくことになると思われますので、このような課題に対応できるような研究は重要となっています。

 

幸いドイツには、オキシデーションディッチと組み合わせたハイブリッドMBRがあり、様々な面で参考にしていけると考えています。また、これらドイツのハイブリッドMBRは合流式下水道に接続されており、雨天時にどのような処理が行えるのか興味あるところです。

 

さて、海外で生活することは初めてな私にとって出発前には様々な心配事がありました。幸いこれまで現地に赴任したことのある方から様々な情報を頂いたこと、現地には以前来日していたティーミッヒ氏がいること、さらにはインターネットによる情報収集などである程度の情報(地図情報でアパートのゴミ捨て場の場所までも)を得て現地に向かうことが出来ました。ただ街の雰囲気は事前に知ることのできないもので、生活してみて初めて感じることのできるものです。

 

特に着任後まもなくクリスマスの準備が街で始まり、想像していた以上に華やいだ雰囲気となりました。特にこの時期恒例のクリスマス市はすばらしく、アーヘンのクリスマス市に飽き足らず、近郊の2つの町のクリスマス市まで遠征したほどです。クリスマス、大晦日のカウントダウン花火など華やかな時期が過ぎ、1月は少し落ち着くのかなと思っていれば、街は2月のカーニバルに向けて準備が始まっています。

 

今後、イースター等いくつか祭りが続くようで、ドイツ人はこんなに騒ぐのが好きな国民だったのだろうかと、これまでの印象が少し崩れていくような気がしています。ただ、ドイツ人は祭りなどでは真剣に楽しまなければならないと考えているという記事を読んだこともあり、楽しまなければならないと真面目に考えているあたりはドイツ人らしいなと感じます(見ていると本当に楽しんでいるように見えますが)。

 

アーヘンでの暮らしも2ヶ月が過ぎ、ドイツでの暮らしにも慣れてきました。今後は、本業の研究活動は当然のこと、ドイツさらにはヨーロッパでの様々な面を体験していきたいと思っています。

 

            (技術開発部 猪木博雅)

 

 

 

 

 

☆第3回オゾン処理技術専門委員会開催 ★

 

平成20年12月25日、本社6階大会議室において、第3回オゾン処理技術専門委員会(委員長:津野洋京都大学大学院教授)が開催されました。年の瀬押し迫る中でしたが、オゾン処理技術の処理特性や施設設計について、約3時間半にわたり熱心な審議がなされました。

 

平成20年度末の答申に向け、次回は2月23日開催予定です。

 

 

 

 

☆ 技術者交流(イリノイ大学) ★

 

PDFファイルで写真が添付されています。

 

JSでは、20年以上にわたり若手技術者をイリノイ大学アバーナ・シャンペイン校に派遣しています。もう古い話になってしまいましたが、昨年8月にイリノイ大学土木環境工学科のマリノス教授がJSを訪問されました。その際、いずれPRに使う、と言われていたとおり、イリノイ大学土木・環境工学科の季刊誌に、JSとの交流の記事が掲載されました。

 

JSとの交流が意義深いことなどが紹介されています。ここでは写真のみ掲載しますが、マリノス教授、堀江事業統括部長、イリノイ大学OB5名、若手技術者2名が参加した歓迎会の後の集合写真です。次回の派遣者が誰になるのか、楽しみです。

 

なお、この季刊誌によると、イリノイ大学は土木・環境分野において5年連続全米1位(USニュース・ワールドレポートによる)ということです。

 

 

 

 

 

━━☆★ 完了テーマの紹介 ★☆━━

 

<耐硫酸モルタルを用いた防食工法 H17-19>

 

PDFファイルで写真が添付されています。

 

耐硫酸モルタル防食工法は、現在防食工法として用いられている樹脂ライニング工法やシートライニング工法(以下、従来工法)とは異なる思想によって開発されたものです。

 

従来工法は、硫化水素が発生する環境において生成される硫酸をコンクリート面から完全に遮断することでコンクリート構造物を硫酸浸食から守る工法です。

 

一方、耐硫酸モルタル防食工法は、コンクリート面と硫酸腐食環境は常に接しますが、通常のコンクリートよりも腐食速度を大幅に遅らせることで、コンクリート構造物の安全性を確保するものです。

 

耐硫酸モルタル工法は、@施工環境を選ばない、A工事工程の縮減が可能、という利点があるため、改築・修繕工事において特にその効力を発揮することが期待されます。また、耐硫酸モルタルで補修する厚さによって供用年数をコントロールすることも可能であり、改築・修繕する施設が求める耐用年数に応じて最適な設計を行うことも出来ます。

 

これまで技術開発部では、平成13年度以降、民間との共同研究によって普通モルタルの5倍以上の腐食性能を有する耐硫酸モルタルを開発してきました。外部委員による技術評価を実施し、その成果としてまとめました。

 

耐硫酸モルタルには、色々な種類があります。技術評価では、@ポルトランドセメント系耐硫酸モルタル、Aアルミナセメント系耐硫酸モルタル、について評価しましたが、コンクリートの硫酸腐食を抑制する手法は、様々開発されており、今後より多くのアプローチからの耐硫酸モルタルが開発されると思われます。

 

一例として、アルミナセメント系耐硫酸モルタルについて紹介します。通常のコンクリートにはポルトランドセメントが使用されます。ポルトランドセメントには、水酸化カルシウムが20%程度存在しており、硫酸と反応することで、二水セッコウ、エトリンガイトが生成されます。これらの物質が生成され、コンクリートは劣化が急激に進行します。

 

一方、アルミナセメント系耐硫酸モルタルは、ポルトランドセメントの代わりとして耐硫酸性を有するアルミナセメントを使用したものですが、これには水酸化カルシウムは存在しないため、セッコウ化による急激な劣化が抑制されます。

 

従来工法では、10年間の性能を保証しています。耐硫酸モルタル防食工法においても、これらと同等以上の性能を持つことを確認する必要があるため、これまでに開発した耐硫酸モルタルを使用して、実施設での試験施工を3箇所で実施しています。現在もっとも時間が経過している箇所では、施工後5年が経過しています。これらの施設では、毎年現地での状況確認を行い、これまで問題ないことを確認しています。

 

             (技術開発課 持田雅司)

 

 

 

━━☆★ 部ログ ★☆━━

 

<長寿命化>

 

編集委員:今月の部ログは、下水道施設の「長寿命化」について、遠山総括主任研究員をお迎えして話を進めたいと思います。

 

編集委員:「長寿命化」という言葉を最近よく耳にしますが、何かわけでも。

 

遠山:昨年、下水道長寿命化支援制度が新しく創設されたからかも知れませんね。

 

編集委員:ところで長寿命化ってどういうことを意味するのですか。

 

編集委員:不老長寿の活性汚泥を作るとか…では、もちろんないですよね。

 

遠山:もちろん違います(笑)長寿命化とは、機能停止や事故が発生する前に、部分的な部品の取替え等を行って機能の回復を図ることにより、施設の耐用年数を延ばすことをいいます。

 

編集委員:ある意味当たり前のようなことですが、どうして今、長寿命化なのでしょう。

 

遠山:地方自治体の財政状況が厳しい中で、下水道は膨大なストック(資産)を抱えており、その老朽化が進むのに伴って、それをいかに管理し、機能を維持するかが重要な課題になってきているからです。

 

編集委員:ちなみに下水道のストックは、全国でどれくらいになるんですか。

 

遠山:管路の総延長が約39万キロ、処理場数が約2,000箇所です。

 

編集委員:39万キロなんて距離、全然実感がわかないですね。

 

編集委員:およそ地球約10周(1周約4万キロ)、月(地球から約38万キロ)まで行けてしまう距離と言えばどうです?

 

編集委員:余計に伝わらないです(汗)

 

編集委員:アセットマネジメントとは何が違うんですか。

 

編集委員:長寿命化は、個別施設の管理や再構築をマネジメントするものですが、アセットマネジメントは下水道資産全体の総合的なマネジメントです。

 

編集委員:長寿命化はアセットマネジメントの一部分ということですね。

 

編集委員:長寿命化によってどんなメリットがあるんでしょう。

 

遠山:ライフサイクルコストを最小にするだけでなく、事業の平準化にもつながります。

 

編集委員:なんでも長寿命化すればいいものなんでしょうか。

 

遠山:それは違いますね。陳腐化してしまったものや省エネルギーでないもの等は、かえってトータルのコストが増えてしまう場合もあります。長寿命化できるもの、できないものを仕分けることが大事です。

 

編集委員:出張先の高知で昭和25年製の市電が現役で働いていました。適切に管理して大切に使えば長寿命化できるという証ですね。

 

編集委員:それなら私達全員、まだまだ現役ですね(笑)

 

編集委員:話は尽きませんが、長寿命ではなく、長時間になりましたので、今月はこのあたりで。

 

                  (編集:橋本敏一)

 

 

 

━━☆★ いまさら訊けない下水道講座 44 ★☆━━

 

<下水処理プロセスにおけるリンの挙動>

 

PDFファイルで全文が添付されています。

 

近年、世界的にリン鉱石の値段が高騰しつつあり、リン資源を主に輸入に頼っている我が国においてもリン資源の確保が求められています。下水中にもリンが含まれており、リン鉱石に代わるリン資源として下水からのリン回収が近年求められております。では下水処理プロセスにおいてリンはどのように除去され、どのような形態で存在しているのでしょうか。

 

一般的に下水中のリンは有機態リンまたは無機態リンとして存在しています。これらは通常の水処理でも微生物細胞構成成分として2割〜3割程度が除去されますが、更なるリン除去のために活性汚泥微生物のリン過剰摂取現象を利用した生物学的リン除去や、凝集剤添加等による化学的リン除去が高度処理プロセスで採用されています。これら水処理プロセスで除去されたリンは汚泥として系外に排出されます。

 

生物学的に除去されたリンと化学的に除去されたリンは汚泥中の存在形態が大きく異なります。生物学的に除去されたリンは細胞中に有機態リン酸として合成されるか、或いは、図に示すようなポリリン酸として活性汚泥中に存在します。

 

一方で、凝集剤添加によって化学的に除去されたリンは無機態リン酸塩として存在し、特にPAC(ポリ塩化アルミニウム)やポリ鉄を添加している場合には非可給態リンとして化学的に非常に結合力が強い状態で存在します。

 

一般的に、肥料効果の高いリンの形態としては可給態リン(Ca等比較的結合力が弱い金属塩)といわれており、化学的に除去されたリン(非可給態リン)はそのままではリン肥料として効果はあまり期待できません。

 

もちろん非可給態リンを可給態リンとして回収する技術も開発されています。しかしながら今後はより効率的且つ回収率の高いリン回収を行うためにも、下水若しくは下水汚泥中から直接可給態リンとして回収する技術開発が必要であると思われます。

 

         (技術開発課 水田健太郎)

 

 

 

 

 

━━☆★ 下水道よもやま話 ★☆━━

 

<発見!?下水道の神様>

 

正月には、初詣に行かないと何となく落ち着かないもので、神社や寺に初詣に行かれた方も多いのではないかと思います。

 

さて、年明けの5日、F課長と年始のご挨拶に都内何箇所かを回りましたが、その道中、初詣の話から「下水道ゆかりの神社やお寺というのはあるのだろうか?」という話題になりました。

 

「そういうのは聞いたことがありませんね」ということで、その時は終わったのですが、後になって、ふと思い出してインターネットで「下水 神社」で検索してみました。すると意外にも「下水神社」という項目が何件かヒットしたのには驚いてしまいました。

 

この「下水神社」は静岡県御前崎市の池新田地区というところに実在する神社だそうです。名前は正しくはどう読むのかは良くわかりませんが、「しもみず」と読むのだろうと思います。

 

というのは、この地域には、他に「上水神社」と「浜水神社」という神社があるそうで、いずれも水神様を祭った神社なので、多分、「下(しも)の水神社」という意味なのだと思います。(もし、読者に御前崎地方に詳しい方がいれば、これで正しいかどうか教えて下さい)

 

「下水神社」は五穀豊穣の守り神だそうで、インターネットの写真を見ると、堂々たる構えのなかなか立派な神社です。また、毎年10月には、収穫の祭があり、夜間に4台の飾り立てた山車が引きまわされるそうです。

 

・・・ということで、「下水神社」は下水道とは全く所縁はないようですが、下水道事業に従事する我々としては、その名前には親しみを感じてしまいます。

 

そこで、筆者はある計画を考えました。それは、毎年、晩秋から初冬にかけて行われる技術開発部の旅行会で御前崎に行き、海の幸を堪能した後、「下水神社」に参拝して、一同で下水道事業の益々の発展を祈願するというものです。ただし、この計画に職員の皆さんの賛同が得られるかどうかは、正直なところ全く自信がありません。

 

 

           (技術開発部長 村上孝雄)

 

 

 

 

◆◇◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

◇このメルマガへの感想・お気づきの点等を是非

  mailto:gikaiinfo@jswa.go.jpへお寄せください。

 

 ◆このメルマガは、登録された国及び地方公共団体へ配信しています。

 脱退および登録情報の変更はmailto:gikaiinfo@jswa.go.jpへ

 

 ◆日本下水道事業団ホームページへは http://www.jswa.go.jp

  バックナンバーもご覧になれます。

 

 ◆◇◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

JS技術開発情報メール

 発 行:JS技術開発部 

 ◆Copyright (C) 2009 日本下水道事業団

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◆◇◆