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技術開発

JS技術開発情報メールNo.90

日本下水道事業団(JS)

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       2009・5・8

    JS技術開発情報メール No.90

━━━━━━━━━━━━━━━━━◆◇◆JS技術開発部

 

(目次)

◆トピックス

 <平成21年度調査概要(固有研究)>

 <研究グループの紹介>

◇完了テーマの紹介

<新たなシミュレーション技術を用いた既設処理場の高機能化に関する調査>

◆いまさら訊けない下水道講座 47

 <なぜ 夏季に消化ガス発生量は少なくなるの?>

◇下水道よもやま話

<小学生からの質問>

◆部長コーナー

 <鳥だけかと思ったら豚もですか>

 

 

 

━━☆★ トピックス ★☆━━

 

☆ 平成21年度調査概要(固有研究) ★

              

技術開発部では、国や地方自治体からの受託研究、民間会社等との共同研究、及び補助金で実施する固有研究を実施しています。ここでは、平成21年度に実施する固有研究について、その概要を紹介します。

 

1.下水道における新しいエネルギー転換・回収技術の開発(H21〜H23)

 

地球温暖化対策としてのバイオマス資源の積極的利活用が求められます。最近、微生物の生物活動を利用して有機物の持つ化学エネルギーを電気エネルギーに直接転換するバイオ電池の研究が進んでいます。この技術によって、微生物が成長に用いるエネルギーの一部を電気エネルギーとして回収すれば、余剰汚泥の生成量を削減することも期待できます。

 

また、燃料電池の燃料となる水素を廃棄物系バイオマスから直接製造する水素発酵技術が注目を集めています。既存の嫌気性消化や固形燃料化システムに加え、バイオ電池や水素発酵システムを取り入れた新しい下水処理プロセスの基本的設計因子、運転管理因子の確立を目指し、本研究に着手します。

 

2.バイオテクノロジーを活用した次世代型下水処理プロセスの開発(H20〜H22)

 

地球環境保全の視点から、あらゆる分野において省エネルギーが求められています。下水道では、我が国の全電力消費量の約0.7%を消費しており、一層の省エネの努力が必要となっています。

 

本研究では、一層の省エネルギーを目指し、新たな処理原理に基づいた下水処理プロセスとして、自己造粒生物反応(好気性・嫌気性)を利用した低動力・創エネプロセスの開発を実施しています。自己造粒処理プロセスの処理性能を確認し、その設計因子、運転管理手法を明らかにし、またエネルギー削減効果の把握を行います。

 

3.高度処理技術の省エネルギー化・コンパクト化に関する技術調査(H18〜H21)

 

大都市では、汚泥の集約処理が進み高濃度のアンモニアを含む排水が中核処理場へ流入するため、通常以上の窒素・りんの除去が必要となります。近年、嫌気性の環境においてアンモニアを酸化するアナモックス細菌が発見されていますが、この細菌を利用した高濃度のアンモニアを除去するシステムを下水処理に適用することにより、高度処理の大幅なコスト縮減が可能となります。

 

この調査は、大・中規模処理場における高度処理コストの縮減を主な目的として、アナモックス菌による下水の高度処理システムの開発・実用化を図るものです。

 

4.ライフサイクルコスト削減を目的とした技術に関する調査(H17〜H21)

 

ライフサイクルコストを削減する手法としては、建設費の削減、維持管理費の削減、及び長寿命化が考えられます。ここでは主に土木施設の維持管理費削減および長寿命化に焦点を当て、コンクリート構造物の耐久性を向上させる耐硫酸コンクリートの開発及び劣化防止技術の開発に取り組んでいます。すでに耐硫酸モルタルの技術評価は終了していますが、今年度は耐硫酸モルタルの防食工法としての施工性能を確認し、これまでの成果とあわせ設計、施工のためのマニュアル作成に取り組みます。

 

(技術開発課長 川島 正)

 

 

 

 

☆ 研究グループの紹介 ★

 

<水処理グループ>

 

水処理グループは、中沢先端研究役兼総括主任研究員、橋本敏一総括主任研究員、川口主任研究員、橋主任研究員、猪木主任研究員(現在ドイツ派遣中)、糸川主任研究員、辻研究員の計7名のメンバーで構成されています。このうち、中沢、川口、猪木、糸川、辻が「高度処理」、橋本、橋が「水循環」の担当となっていますが、グループ一丸となって様々な水処理技術の調査研究を行っています。

 

水処理グループで現在取り組んでいる主な研究テーマには、アナモックス反応を利用した窒素除去技術や膜分離活性汚泥法、自己造粒微生物を利用した下水処理技術などがあります。

 

アナモックス反応を利用した窒素技術については、これまでの調査研究の成果を体系的に取りまとめ、技術評価(平成22年3月答申予定)を行います。また、膜分離活性汚泥法については、導入施設における事後評価を行うとともに、大規模処理場の改築・高機能化への適用などの課題にも引き続き取り組みます。自己造粒微生物を利用した下水処理技術については、好気性の自己造粒プロセスをJS独自で、嫌気性の自己造粒プロセスを民間企業との共同研究により検討を進めています。

 

このほか、民間企業等との共同研究として、吸着剤を用いた処理水からのリンの回収技術を新たに開始するとともに、エネルギー消費抑制型下水処理技術や大規模処理場に適した膜分離活性汚泥法の開発について引き続き行います。なお、民間企業との共同研究は主に、栃木県真岡市にある技術開発実験センターで、実下水を用いたパイロットプラント実験を行います。

 

また、総合事務所や設計センターとの連携による地方公共団体からの受託調査では、処理の効率化や処理機能の向上など、既存施設の処理改善手法に関する調査を中心に多数取り組んでいます。

 

水処理グループでは、『JSにしかできない水処理技術の開発・実用化・支援』を目指します。

 

 

<再構築・マネジメントグループ>

 

再構築・マネジメントグループは、マネジメントをサポートする最新の技術を始め合流改善、脱臭などに関する開発・研究を担当しています。グループ構成は、佐野総括主任研究員、佐々木研究員、三宅研究員の3名です。

 

平成21年度のテーマは、ライフサイクルコスト低減を目的とした劣化防止技術や下水道施設の耐硫酸性・耐久性向上に関する調査、合流式下水処理場における雨天時放流水の消毒に関する調査などです。共同研究としては、下水処理施設のプロセスデータを統計処理し処理状態・施設健全度を判断するマネジメントに関する調査、従来の硫酸に加えオゾン等による腐食環境に対応するための劣化防止技術、工期短縮が可能な工法の開発、コンクリート構造物のひび割れ解析などのコンクリート長寿命化に関する調査を予定しています。

 

下水道事業のライフサイクルコストの削減に向け、下水道施設の総合的な老朽化対策等の再構築を支援いたします。お困り事、お悩み事がございましたら、お気軽にご相談ください。

 

 

<資源リサイクルグループ>

 

資源リサイクルグループは下水汚泥の有効利用や処理処分全般を担当しています。構成は照沼総括主任研究員、島田主任研究員、小島研究員、水田研究員、M田研究員の5名です。

 

主な研究テーマとして、下水汚泥からのエネルギー回収、汚泥減量化を目的とした高効率嫌気性消化システムの開発、生ごみ等未利用バイオマスとの混合メタン発酵による処理場のエネルギー自給率の向上を目指した技術開発、更に下水汚泥から製造される炭化燃料、乾燥燃料を石炭ボイラで燃料として利用することを目的とした固形燃料化技術の開発等に取り組んでいます。これらの技術は下水道事業における温室効果ガス排出量の削減に貢献できる技術として近年注目を集めています。

 

また、地方自治体からの受託調査では、下水汚泥の有効利用、リン等希少資源回収の検討業務等を多数実施しています。また、汚泥処理方式の比較検討業務として、処理コスト、エネルギー収支、温室効果ガス排出量等について、現在実施されている処理方式と乾燥、焼却、溶融、炭化、燃料化等の汚泥処理方式と比較検討を行います。

 

汚泥処理のことなら何でも当グループにお気軽にご相談下さい。

 

 

 

 

☆ 完了テーマの紹介 ★

 

<新たなシミュレーション技術を用いた既設処理場の高機能化に関する調査>

 

反応タンクを始めとした水処理施設を適切に設計し運転管理するためには、その処理機能や挙動を予測することが不可欠です。そのための道具として、「活性汚泥モデル」を利用した数値シミュレーション技術が注目されています。活性汚泥モデルとは、生物処理の中で進む様々な反応を数式で表現したもので、これを使うことで、コンピュータ上で活性汚泥法を再現することができます。

 

JS技術開発部では、平成13年度以降、継続して本技術の利用方法や検証に関する検討を行なってきており、平成18年3月には、本技術の利用方法をまとめた「活性汚泥モデルの実務利用の技術評価に関する報告書」を公表しています。これにより、本技術を実務の場で使うための基本的な情報や方法が整理されたことになりますが、一方で、反応タンク内の混合状態の取扱い方や最終沈殿池のモデル化方法など、本技術にはまだまだ改良の余地があるのも事実です。

 

このような観点から、本調査では、平成18〜19年度の2ヵ年にわたり、シミュレーション技術の用途や適用対象を拡大することを目的とした検討を行ないました。主な検討項目と内容を以下に記します。

 

@対象処理プロセスの拡大:既存の活性汚泥モデルに生物膜モデルを組込み、担体添加活性汚泥法のシミュレーションを行う方法を提案しました。また、既存の活性汚泥モデルを使って膜分離活性汚泥法のシミュレーションを行う方法も提案しました。

 

A新たな解析手法の検討:シミュレーションを行なう際に避けて通れない様々な「不確かさ」を盛込んだ解析手法として、「モンテカルロ・シミュレーション」を利用した方法を提案し、複数の処理方式に対して、水温、流入水量・水質などが変化したときの処理水質などの安定性を評価しました。

 

B水理モデルとの統合:様々な「流れ」をシミュレーションするために多分野で広く使われている「数値流体力学(CFD)」を活性汚泥モデルと統合することで、反応タンクなどでの流れ・混合状況と生物反応とを同時にシミュレーションする方法を検討しました。これを用いて、寸法が異なる様々な反応タンク内の水質の分布状況をシミュレーションしました。

 

C最終沈殿池モデルの検討:最終沈殿池における活性汚泥フロックの形成・沈降現象をより詳細にモデル化するための基礎的検討として、「フラクタル理論」に着目し、複数の実下水処理場の活性汚泥を使って測定した沈降特性の評価と理論付けを行ないました。

 

    (技術開発部 水処理グループ 糸川浩紀)

 

 

 

 

━━☆★ いまさら訊けない下水道講座 47 ★☆━━

 

<なぜ 夏季に消化ガス発生量は少なくなるの?>

 

※ PDFファイルで全文が添付されています。

 

地球温暖化対策の一つとして、太陽光や風力と並んでバイオマスのエネルギー資源としての積極的な利活用が叫ばれています。下水汚泥は発生する量と質の安定性から、有望なバイオマス資源の一つとみなされ、下水汚泥のメタン発酵によるバイオガス(消化ガス)の回収利用が今後益々重要になってくるといわれています。

 

わが国には約300箇所の下水処理場で汚泥の嫌気性消化が行われていますが、毎月の消化ガス発生量を調べて見るとほとんどの処理場で夏季のガス発生量は冬季のそれに比べ、1割〜3割程度少なくなります。これは、消化細菌が暑さで夏バテするためといわれています・・・・・というのはウソです。

 

実は、夏は下水の流入水温が高く微生物反応が活発なため、管きょ中や最初沈殿池、重力濃縮槽において有機物(主として炭水化物系有機物)の分解・無機化が進みやすくなります。結果的に消化タンクに投入される汚泥の有機物量が低下することになり、ガスの発生量が少なくなります。

 

消化ガスを余剰ガスとして燃焼処分している場合は夏場のガス発生量が減少しても関係ありませんが、消化ガスを貴重なバイオマスエネルギー資源として有効利用を図る場合は、年間を通じて安定したガス発生量が求められます。したがって、最初沈殿池や重力汚泥濃縮槽の運転管理手法は極めて重要な管理要素となってきます。

 

 (技術開発部 資源リサイクルグループ 島田正夫)

 

 

 

━━☆★ 下水道よもやま話 ★☆━━

 

<小学生からの質問>

 

下水処理場には学校の見学で小学生が訪れます。そこでは意表をつく質問が飛び出すようです。小学生に分かりやすく説明することは、意外と難しく奥が深いようです。

 

昔々、電話を取ったところ、ある処理場の担当者さんからでした。小学生から反応槽内の微生物の数について「何匹いますか?」と聞かれるが、どう回答したものかという相談でした。早速、現在は技術開発部長の村上総括主任研究員(当時)に聞いてみました。「通常ならば1mg当たり細菌を含めて約10の9乗のオーダーかな。」「相手は小学生ですが。」「……。地球の人口に匹敵する。」ということで、「試験管に1ccの混合液を取り、この中に地球の全人口と同じくらいの数の生物がいると説明してはどうでしょう。」と回答したところ、大変喜んでいただきました。

 

話変わって、昔々その昔、私がJSの研修でご一緒した人の逸話です。見学の小学生に、目に見えない小さな虫が汚れを取ってくれると説明したところ、質問がありました。「その虫は男ですか女ですか?」洒落っ気のあるこの人は小学生以上の意表をついた回答をしました。「男でも女でもありません。でも、ニューハーフさんでもありませんよ。」当時の小学生には全くウケなかったそうです。分かりやすく説明するのはやはり奥が深い。

 

             (技術開発課長 川島 正)

 

 

 

 

 

━━☆★ 部長コーナー ★☆━━

 

<鳥だけかと思ったら豚もですか>

 

この原稿を書いている時点で、メキシコで発生した豚インフルエンザの感染者が、北米や欧州、豪州等でも見つかり、世界保健機関(WHO)では、世界的大流行(パンデミック)に備える警戒レベルを「フェーズ5」(6段階の上から2番目で、ヒトからヒトへの感染が、2か国以上で起こっている段階)に引き上げたというニュースが入ってきました。 

 

昨年の初冬には、鳥インフルエンザの大流行が起こるのではないかと心配されていましたが、そのようなことは無く、新型インフルエンザという言葉も忘れかけていた矢先です。

 

時期も丁度、大型連休の始まりを狙ったかのようなタイミングで、海外旅行に出かける方は心配だと思います。幸か不幸か、特に連休に海外旅行の予定もない私としては、身に迫った感染の危機がある訳ではありませんが、航空交通が四通八達し、世界が狭くなっている現在、はるか遠くの国での出来事だといって無視もできないところです。とりあえず、手洗いとうがいですかね。この豚インフルエンザ騒ぎが、早く収束して欲しいものです。

          

 

 (技術開発部長 村上孝雄)

 

 

 

 

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