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技術開発

JS技術開発情報メールNo.91

 

 

日本下水道事業団(JS)

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       2009・6・2

    JS技術開発情報メール No.91

━━━━━━━━━━━━━━━━━◆◇◆JS技術開発部

 

(目次)

◆トピックス

<アーヘン便り2>

<答申された技術評価の紹介>

◇部ログ

<リンが足りん・・・てか?>

◆いまさら訊けない下水道講座 48

<生物学的リン除去 〜PAOsの活躍〜>

◇下水道よもやま話<新型インフルエンザと下水道>

◆部長コーナー

<クールビズ、この際、時間も夏仕様>

 

 

 

━━☆★ トピックス ★☆━━

 

☆ アーヘン便り2 ★

 

※写真がPDFファイルで添付されています。

              

現在私は、ドイツ・アーヘン工科大学の環境工学研究所(ISA)に派遣されています。派遣先では膜分離活性汚泥法(MBR)の研究を中心に、その他ヨーロッパでの様々な技術情報の収集などを行っています。

 

研究内容は、従来型の水処理(例えばOD法)とMBRを組み合わせた場合の処理特性をコンピュータによるシミュレーション計算により評価していこうとするものです。派遣されて半年が経ち、そろそろ成果の方向性が出てきたと自信を持って言いたいところですが、初めてのシミュレーションソフトに思わぬミスを発見したり、条件の練り直しなど悪戦苦闘の毎日です。

 

よって、普段は研究室のパソコンに向かって黙々と作業することが多く、たまに同僚と周辺の処理場の視察に行くといった案外淡々とした毎日を過ごしています。視察に行く処理場もやはりMBRが中心です。

 

ドイツ国内でも私の住んでいるノルドライン・ウェストファーレン州は特にMBR施設が多い州で、視察する施設には事欠きません。処理場ごとに設計の考え方が異なっており、施設の概要を聞き処理フローを理解していくだけでも十分楽しめます。暗くて寒い冬の間は、外に出るより室内でパソコン作業することも苦になりませんでしたが、春になり快適な天気が続くと、パソコンから離れて現場に出てみたいという欲求が出てきます。気の利く同僚から「天気の良い金曜の午後に仕事なんかしている場合ではない」とありがたいアドバイスも受けますが、限られた派遣期間内に成果を出すべく、パソコンとの格闘を続けています。

 

平日は黙々と仕事をする反面、休日はせっかくヨーロッパに派遣されているのだからと、積極的に出歩いています。幸いここアーヘンは、交通機関に恵まれており、ドイツ国内をはじめヨーロッパ各国に行くのも便利なところです。また、アーヘンはベルギー、オランダとの国境に位置する街ですから、ベルギー、オランダへは簡単に行くことができます。着任当時は、日本では実感することの出来ない国境を見るため何度か国境付近に出かけていきました。

 

国境といってもEU圏内ということで、パスポートチェックや税関も無いわけですから、「ここからオランダです」といった標識があるだけで、少し拍子抜けです。日本で言えば県境を越えるぐらいの感覚でしょうか。自宅から歩いていける国境もあり、林の中の小道に国境を示すポールが立ててあるだけの様子を見ると、日本で描いていた国境を越えるという厳粛さも吹き飛んでいきます。ただ、ある通りを渡ると急に言葉がドイツ語からオランダ語やベルギー語(正確にはワロン語)に変わり、書いてあることが全く理解できなるのはさすが国境だな(?)という感じです。

 

さて、最初の頃はただオランダ、ベルギーに行ったというだけで満足していましたが、最近はドイツとは違う点に気付き始めてきました。例えばドイツの家庭の窓には鉢植えの花がたくさん飾られているのに対し、オランダでは、花瓶などの置物が何故か左右対称に飾ってある家が多く、窓の様子が非常にシンプルです。各建物もレンガ造りのままで町全体に統一感があり、なかなかきれいです。また、オランダで売っている商品の方が日本人の好みに近いようで、オランダに行くと気に入ったものが見つかりそうな気がします。

 

一方、ベルギーにはおいしい食べ物が多く、ベルギー系のスーパーに行けばドイツ系よりも品揃えがよく、冷凍食品でさえ、ベルギー製のほうがおいしいことに気付きます。いざ違いを感じ始めると他の国の良いところばかり気付いてしまいます。ドイツの生活に慣れたから、ドイツを基準として、つい隣の芝生が青くみえてしまうのだろうと、こちらの暮らしになれたことを実感しています。残り半年ほど滞在ですが、初心に戻りドイツの良いところも、もっと見つけておこうと考えています。

 

           (技術開発部 猪木博雅)

 

 

 

☆ 答申された技術評価の紹介 ★

 

<オゾン処理技術>

 

平成21年4月10日、松尾友矩(東洋大学学長)技術評価委員会会長から澤井英一日本下水道事業団理事長に「オゾン処理技術の技術評価」が答申されました。本技術評価に係る詳細な審議は、技術評価委員会より付託されたオゾン処理技術専門委員会(委員長:津野洋 京都大学大学院教授)で行われました。

 

オゾン処理技術は、オゾンが持つ強力な酸化力を利用して、下水処理水中の有機物や微量化学物質の除去、脱色や脱臭、消毒等を行うもので、閉鎖性水域の更なる水質改善や下水処理水の再生水利用の促進、微量化学物質や病原性微生物による水系リスクの低減などに対する有用な処理技術の一つです。

 

オゾン処理技術については、消毒技術の一つとして既に技術評価をされていますが、その多様な処理効果や、前処理設備・後処理設備を含む処理プロセス全体の設計や維持管理の考え方等は評価されていませんでした。そこで、本技術評価では、JSにおけるこれまでの調査研究の成果などを体系的に整理し、オゾン処理技術の処理特性、設計や維持管理の考え方等を明らかにしています。なお、本技術評価の詳細なデータを含む報告書は、6月に公表・販売される予定です。

 

        (総括主任研究員 橋本敏一)

 

 

 

 

 

━━☆★ 部ログ ★☆━━

 

<リンが足りん・・・てか?>

 

編集委員:今回の部ログでは、下水処理でも馴染みの深い「リン」をもう一度見直してみようということで、川口さんに講師をお願いしています。よろしくお願いします。え〜、どこから始めましょうか?(←何も考えてない。)

 

川口:それでは、一般的な話から。少し前から、我々の業界でも「リン資源の枯渇」という話が出てきていますが、実はリン自体は地球上にたくさんあって、「化学便覧」によれば、地表中の元素としての存在量が第10位と、炭素や硫黄よりも多いです。

 

一同: (・_・D フムフム。

 

川口:ただし、資源として利用できるリン鉱石は偏在していて、米国、中国、モロッコ、ロシアなどが主な生産国です。かつてはナウル共和国という国がリン鉱石で潤っていて、「税金のない国」として知られていましたが、今では掘り尽してしまい、大変な経済危機に陥っているそうです。

 

一同: Σ( ̄ロ ̄lll) ガビーン。

 

編集委員:石油と同じように、投機的な価格上昇などもありそうですね。

 

川口:米国や中国でリンの輸出を規制しており、また、中国では1年前の四川大地震でリン鉱山も大きな被害を受けたので、輸入に頼っている日本としても、リン資源確保の重要性が高まっています。

 

編集委員:リンに関するJSでの技術開発はどんな感じですか?

 

川口:これまでに様々なリン除去・回収技術が開発されてきましたが、リン資源がまだまだ安いため、「回収」の方はなかなか採算にのらない、というのが現状です。

 

編集委員:除去して終わりという例が多く、回収と結びつかない点が課題ですね。

 

川口:最近の共同研究で、新しいリン吸着剤を実証しています。処理水などからリンを選択的に吸着除去できるもので、リンを回収した後で何度も再生利用できる点がポイントです。

 

編集委員:事前に固形物を除去する必要があるようですが、どうしてですか?

 

川口:吸着剤の大きさが最大1mmと小さいため、固形物がたくさん入って来るとそれが補足されてしまい、そこに含まれる重金属などによって回収するリンの純度が下がってしまいます。

 

編集委員:そんな小さな吸着剤だと、流れてしまったりはしないんですか?

 

川口:充填剤のイメージで、流出しないようにして使います。

 

編集委員:資源リサイクルグループでも、焼却灰やスラグからリンを回収・資源化する技術を研究しています。

 

川口:我々のところではありませんが、濃縮汚泥を加熱処理してリンを回収する技術を検討している大学もあります。また、他分野では、飼料用の植物を改良し、家畜が摂取できるリンの割合を増やすという研究もあるそうです。

 

編集委員:リンをたくさん摂ると、肉が付きやすいのかしら。リンを絶つというダイエットもアリかも

・・・(((o(^。^")o)))ワクワク。

 

川口:それはどうだか解りませんが(┐(-。ー;)┌ヤレヤレ)、リンは生物にとって必須の元素で、決して悪者ではありません。我々の身体にも1%くらいのリンが含まれているそうです。

 

一同:いちばーせんと!  (*'▽'*)わぁ♪

 

編集委員:川島課長や佐々木さんなら、1キロくらいリンを溜め込んでるんじゃないっすかぁ?~~-y( ̄▽ ̄*)ゥヶヶ♪

 

編集委員:そういうヒトは、リンの含有率が低いんだよ。

 

( ̄− ̄)フーン

 

一同:そっか、脂肪組織のリン含有率は低いはずだから・・・、誰かデータ持ってない?・・・(議論が始まる。)

 

編集委員:( ゚Д゚)ポカーン(何なの、このヒトたち・・・)。

(編集:糸川浩紀)

 

 

 

 

━━☆★ いまさら訊けない下水道講座 48 ★☆━━

 

<生物学的リン除去 〜PAOsの活躍〜>

 

※ PDFファイルで全文が添付されています。

 

近年、リン鉱石の価格が急上昇したことを背景に、下水中のリンを回収することが話題になっていますが、ここでは、下水中のリンを除去するひとつの方法として、“生物学的リン除去”について述べたいと思います。

 

生物学的リン除去は、ちょっと変わり者の微生物が担っています。その名は“ポリリン酸蓄積細菌群(以下、PAOs)”といいます。PAOsは、好気条件(溶存酸素濃度が高い状況)で、リンを摂取して、体内にポリリン酸(リン酸が多数結合したもの)として蓄積します。すなわち、下水からリンが除去されるのです。・・・どこが変わり者かというと、リンを摂取するときには、予め、体内に蓄積したPHAという物質を分解することで得られたエネルギーを使うのです。

 

このPHAは、嫌気条件(溶存酸素濃度が低い状況)で、体内に蓄積したポリリン酸を分解することで得られたエネルギーを使って、下水中の有機物(酢酸のような低級脂肪酸)を摂取して蓄積します。このとき、PAOsは、分解したリンを体外に放出します。

 

すなわち、リンの放出・摂取を繰り返して生きているのです。これでは、下水中からリンがなくならないのでは?・・・実は、放出するリン量よりも摂取するリン量のほうが多いので、結果として、下水中からリンが除去されるのです。ちょうど、ダイエットのリバウンドのようです。

 

リン除去を目的としたプロセスの例として、嫌気好気活性汚泥法が挙げられます。つまり、除去の過程において、リン濃度は、流入下水よりも高くなり(嫌気条件)、その後、低くなります(好気条件)。ただし、PAOsは、急に機嫌が悪くなることがあり、安定して生物学的リン除去を行うことが難しいという一面もあります。

 

        (技術開発課 辻 幸志)

 

 

 

 

━━☆★ 下水道よもやま話 ★☆━━

 

<新型インフルエンザと下水道>

 

メキシコで発生したブタ由来の新型インフルエンザは、国内での感染拡大も一先ずは終息傾向に向かっているようです。

 

インフルエンザの主要な感染経路は、患者の咳等に含まれるウイルスを吸い込む「飛沫感染」と飛沫に汚染されたモノに触れることでウイルスが手に付着し目や鼻、口の粘膜等を通じて感染する「接触感染」であるため、下水道との関係は一見薄そうにも思えます。ブタ由来インフルエンザについては、下水中での挙動等は現時点では全く知見がありませんが、ヒトへの感染が危惧されている高病原性鳥インフルエンザについて、世界保健機関(WHO)が2007年に公表した「鳥インフルエンザ:動物、食品、水に関するQ&A」に下水道での挙動や予防措置が示されています。

 

これによると、インフルエンザウイルスは、感染したヒトや鳥の糞便中にも放出されるが、下水道がヒトの集団感染源にはなりそうにないことや、一般的に下水処理過程ではウイルス濃度がかなりの割合で減少すること、また、流行発生時には高濃度のウイルスが下水中に含まれるため、下水処理場の作業従事者の曝露リスクを考慮する必要があることなどが示唆されています。このようなことから、ブタ由来インフルエンザについても、下水道を介した感染拡大の可能性は極めて低いものと推察されますが、流行時には、日頃にも増して適正な処理や衛生管理の徹底に努めることが望まれます。

 

また、秋以降再び流行する可能性も指摘されていることから、新たな流行発生による感染拡大が生じた場合にも下水道の機能を維持するため、物資や人員の確保等について事前の対策が重要と考えられます。

 

【参考】

http://www.who.int/foodsafety/micro/AI_QandA_Apr07_EN.pdf

(英文原文)

http://www.fsc.go.jp/sonota/tori/tori_iinfq4_kokusai_7.pdf

(概要仮訳)

 

           (総括主任研究員 橋本敏一)

 

 

 

 

━━☆★ 部長コーナー ★☆━━

 

<クールビズ、この際、時間も夏仕様>

 

早いもので、もう6月です。6月からは、クールビズですが、これは、もうすっかり社会に定着した感じで、日本の蒸し暑い夏にはノー上着、ノーネクタイは誠に快適です。しかしながら、民間企業の営業担当の方のほとんどは、夏の盛りでも上着にネクタイを着用されており、大変だろうと思います。こちらとしてはクールビズで来られても一向に構わないのですが、やはり「客先に行く場合には上着とネクタイを着用すべし」という会社の方針があるのでしょうか。

 

さて、今年はサマータイム(夏時間)導入の議論は聞こえてこないようです。もう25年ほど前になりますが、私はドイツに1年半滞在した時に、サマータイムとその切り替えを経験しました。ドイツは、日本よりも緯度が高く、夏季はなかなか日が沈まないうえにサマータイムを実施しているので、仕事が終わってから日没までのひんやりと涼しく快適な時間が長く、大変、得をしたような気持ちになりました。

 

また、冬時間から夏時間への切り替えの時は、いつもよりも1時間早く起きなければなりませんが、テレビで繰返して放送しているし、また、職場でも同僚が「明日から夏時間だぞ」と注意してくれるので、問題はありませんでした。周辺でも、特に混乱が起こっている様子は見られませんでした。しいて言えば、切り替えの日は、若干睡眠不足気味だったことくらいでしょうか。

 

さて、日本でもサマータイムを導入すれば、涼しい時間に出勤・通学できるとか、夕方の時間が有効につかえるとか、省エネ効果が期待できるとかの色々なメリットがありそうな気がしますが、反対意見も結構多いようです。生活の基準時間が1時間早くなるわけですから、切り替え時は多少の面倒はあると思いますが、総じてメリットの方が多いのではないかと思います。来年あたりは、一度試行してみたらどうでしょうか。

 

           (技術開発部長 村上孝雄)

 

 

 

 

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