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技術開発

JS技術開発情報メールNo.96

 

 

日本下水道事業団(JS)

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       2009・11・12

    JS技術開発情報メール No.96

━━━━━━━━━━━━━━━━━◆◇◆JS技術開発部

 

(目次)

◆トピックス

<第3回国際水協会アジア・太平洋地域会議報告>

<第6回日蘭ワークショップ報告>

<「循環のみち下水道賞」を受賞>

<JS技術報告会報告>

<「JS技術開発成果報告会」大阪開催のご案内>

◇部ログ

<下水汚泥肥料と重金属について>

◆要語集3

「しょうか」

◇下水道よもやま話

<継続は力なり>

◆部長コーナー

<発見!?オゾンの町(その2)>

 

 

 

━━☆★ トピックス ★☆━━

 

☆第3回国際水協会アジア・太平洋地域会議報告★

 

10月18日から22日まで、台湾で行われた「3rd IWA-ASPIRE Conference & Exhibition」に出席をしてきました。

 

この国際会議は、IWA(国際水学会)が主催しており、アジア・太平洋地域の水環境分野の研究に従事する研究者を対象として、二年に一度開催されています。

 

四年前にASPIREと改名されましたが、前身の国際会議が合計で9回開催されています。したがいまして、IWA-ASPIREは、水環境分野では権威ある国際会議であることが知られています。

 

会議は、世界一高いビルの「台北101」に近いTaipei International Convention Centerで行われました。初日のオープニングセレモニーには、台湾の副総統も出席していました。キーノートスピーチは4件もあり、中国、アメリカ、台湾、そして日本からも日本水道協会(JWWA)の代表の方が講演をされていました。最先端の技術紹介や各国の事情についての内容で、大変興味深く聞き入ってしまいました。

 

この会議では、上下水や産業廃水の収集、処理、管理などに係わる発表内容がありました。日本下水道事業団からは、合計四人が会議に出席し、口頭発表を行いました。

 

技術開発部の糸川氏が「Stability of a Novel Anammox Process Against Influent Fluctuation」、技術開発部の水田氏が「Benchmarking Energy Consumption in Municipal WWTPs in Japan」、東日本設計センター土木設計課の小松氏が「The Difference of Microorganisms in Activated Sludge Process Due to Its Location and Treatment Procedure」、そして私が「Rapid Increase in Acetate Uptake Rate of Glycogen-Accumulating Organisms under Shift in Bio-P Removal Activity」という題名で、発表をしました。各々の発表後には、熱い質疑応答が行われ、大変盛り上がりました。

 

また、私は、初めて座長を務めました(国内の学会でも務めたことがないのですが・・・)。担当したセッションは、「Environmental Remediation」であり、自分の専門分野と異なっていましたので、とても不安でした。

 

この会議では、二人で座長を務めるのですが、もう一人の座長が二分前に到着、さらには、一人目の発表者が急遽キャンセルといった事態になりましたが、いざセッションが始まると、公聴者からの質問が絶えなかったこともあり、無事に座長を務めることができました。

 

最終日は施設見学で、台湾の北西部の海岸に位置する淡水下水浄化センターを見学しました。この浄化センターは、付近に建設済みや建設中の高層マンションが多く、今後、人口が急激に増加すると思われる地区に位置していました。2005年から運用が開始され、現在も下水道管の整備などが行われており、2040年には、5万6千m3/日の処理能力を有する予定になっています。漁業の問題があり、処理水は、塩素消毒は行わず、紫外線消毒が行われた後に海に放流されていました。放流する前の貯留槽には、魚や海老が元気に泳いでおり、放流水の安全性の確認を行っているとのことでした。

 

また、来年から汚泥を最終処分場に搬入することができなくなるという大きな問題を抱えており、汚泥のコンポスト化の実験を行っていました。

 

最後にこの会議中に嬉しかったことと驚いたことを紹介します。この会議にはIWA(国際水協会)の会長が出席されており、直接、話すことができ、写真もとることができ大変嬉しかったです。

 

また、この会議の事務局として、各セッションの部屋や見学会には、国立台湾大学の学生(私の英語のヒアリング力では、国際企業学科???)が活躍しており、その堂々とした仕事ぶりには驚きました。

 

       (技術開発課 辻 幸志)

 

 

 

 

☆ 第6回日蘭ワークショップ報告 ★

 

10月14日〜15日にかけて、「日蘭水技術ワークショップ」が京都大学桂キャンパスにおいて開催されました。このワークショップは、オランダと日本で水に関する技術についての情報交換を行うもので、今回で6回目の開催となります。

 

ワークショップには、上水、下水他の水関連分野から多数が参加しました。JSからは、村上技術開発部長が参加し、一日目の午後に、「Wastewater management in Japan」と題して、日本の下水道の現状と課題について紹介しました。

 

質疑応答を含めて20分間なので、かなり駆け足での紹介になりましたが、最後に下水道の都市鉱山としての可能性に関連して紹介した金の回収事例については、オランダの参加者から驚きの声があがっていました。

 

また、質疑応答では、これからGHG(地球温暖化ガス)排出量削減にどう取り組んでゆくのかという点に興味が集まりました。なお、オランダでは、二酸化炭素の地中への封じ込めが検討されているとのことです。

 

 

 

 

☆ 「循環のみち下水道賞」を受賞★

 

長野県とJSは豊田終末処理場における下水汚泥焼却灰等からの金回収事業が評価され国土交通大臣から「循環のみち下水道賞」を受賞しました。

 

さる10月6日の下水道シンポジウム(国交省ほか主催)で、表彰式が行われました。

 

この金回収事業は長野県からの委託調査の成果に基づくものでH21も県の委託を受け貴重資源の回収に関する調査を実施中です。

 

 

 

 

☆ JS技術報告会報告 ★

 

10月28日(水)、東京の四谷区民ホールで「JS技術報告会」(本社主催)が開催されました。

 

この報告会は、JSの日頃の業務内容や研究調査を広く知ってもらう「外部向け情報発信の場」として今回初めて企画開催されたもので、聴講者は362人にも達し盛況でした。

 

午前は総合事務所等の実務を中心とした報告を、午後は技術開発成果報告として、村上部長のほか技術開発部から7人、共同研究者から6人から最近の成果報告を行いました。

 

 

 

 

 

☆ 「JS技術開発成果報告会」大阪開催のご案内 ★

 

JS技術開発部では、「技術開発成果報告会」を11月25日(水)に大阪科学技術センターにて開催いたします。

 

本報告会は、JS技術開発の最近の成果やトピックスを分かりやすく紹介し、広く知っていただくことを目的とし、聴講料は無料です。プログラム・申込方法等はHPでご覧ください。

 

日本下水道事業団HP/新着情報/

http://www.jswa.go.jp/gikai5/091104annai_osaka.pdf

 

 

 

 

━━☆★ 部ログ  ★☆━━

 

<下水汚泥肥料と重金属について>

 

広報委員:今回の部ログは、「下水汚泥肥料と重金属」と題して島田主任研究員に講師をお願いしています。

島田さん、今日は人数が少ない中、恐縮ですが、よろしくお願い致します。

 

島田:下水汚泥の緑農地利用を推進しようとする場合、必ず話題になるのが重金属の問題です。

下水汚泥=工場排水=重金属=有害物と短絡した考えで、緑農地利用を控えるべきと考えている人がいます。

しかし実際は、工場排水を全く受け入れていないし尿汚泥や浄化槽汚泥にも下水汚泥と同等以上に重金属類を含んでいます。汚泥中重金属の発生源はその多くが食料起源又は水道水起源だからです。(熱弁)

 

一同:お〜(o(^。^")o。)

 

広報委員:下水汚泥とし尿汚泥で重金属含有量に違いがあるのでしょうか?

 

島田:最近農林水産省が発表した統計データによれば、重金属の種類にもよりますが、たとえばカドミウムの含有量ですと、2ppmを超えたのはし尿汚泥肥料全体の約40%あるのに対し、下水汚泥肥料ではわずか10%弱で、下水汚泥における含有量がはるかに少ないことを示しています。

 

また、同じく農林水産省の発表したデータですが、過去3年間に各種汚泥肥料から基準を超える有害成分(カドミウム、水銀、鉛など)濃度で指摘を受けたのが9件あり、その内訳をみると大部分がし尿・浄化槽汚泥肥料であったと報告しています。(熱弁)

 

広報委員:初歩的な質問ですが、し尿汚泥と下水汚泥の違いって何なの?

 

島田:し尿汚泥には生し尿と浄化槽汚泥がありますが、最近は浄化槽汚泥の割合が多くなっています。

通常はバキューム車でし尿処理場に搬入され処理され、その過程で発生する汚泥です。

 

下水汚泥はし尿を含む生活排水や事業場排水等を下水管で下水処理場に集め、水を浄化する過程で発生する副産物です。下水処理では活性汚泥法という大量の汚泥を作りだす水処理法を採用しているため、下水汚泥中の重金属濃度は浄化槽汚泥等に比べ低くなると考えられます。

 

広報委員:下水汚泥肥料のイメージは、行政の考えとしてどのような雰囲気なのでしょうか。

 

島田:日本では畑地土壌の重金属蓄積を防止するとの考えで、土壌中亜鉛濃度120mg/kg未満という管理基準がありますが、諸外国に比べ2〜3倍厳しい設定になっています。

 

下水汚泥中には亜鉛等の重金属類が多く含まれているため、農作物の肥料としては使用しないほうがいい、あるいは使用すべきでないと指導している農政部局が多くあります。

 

広報委員:下水汚泥が緑農地利用など肥料として使用されている割合は、どうなっているのですか。

 

島田:欧州の多くの国では資源循環の面から下水汚泥(ほとんどが消化汚泥ですが)は、緑農地還元が最も理想と考えられているため、たとえばイギリスでは70%以上が緑農地利用されています。しかし、日本ではわずか15%程度です。

 

広報委員:重金属の多くは必須元素にもなっていますよね。

 

島田:その通りです。重金属は特殊な元素と考えている方がいるかもしれませんが、自然界に存在する元素の約6割は重金属元素で、自然の土壌中に広く存在しています。動植物の成長に欠かせない重要な元素にもなっています。

 

健康医学分野では、「最近の日本人は、亜鉛や銅、鉄などの重金属ミネラル分の摂取不足により生活習慣病や老化促進といった新たな国民病を招いている」と指摘し、これら重金属類の積極的な摂取を呼び掛けています。妊娠中の女性や赤ちゃんなどを対象としたサプリメントには必ず亜鉛等が含まれています。

 

広報委員:最近は、 フライパンなどにテフロン加工を採用しているため、鉄分が摂取できなくなってしまうという話も聞いたことがありますね。

 

広報委員:下水汚泥には、産業廃棄物とか、マイナーなイメージがあるのでイメージアップを狙ったネーミングが必要になってくるんでないでしょうか。例えば、重金属→ヘビーミネラル、下水汚泥→バイオサプリメントとか。(笑い)

 

広報委員:みなさん、下水汚泥肥料で育てた野菜をたくさん食べて、亜鉛、鉄などミネラル分(重金属)を十分摂取し、生活習慣病、老化防止に心がけましょう。

 

広報委員:課長が、皆さんに健康に気を使っていただいたところでこの辺でお開きにしたいと思います。ありがとうございました。

 (編集:技術開発課 小島浩二)

 

 

 

 

━━☆★ 要語集 3 ★☆━━

 

※PDFで全文が添付されています

 

しょうか

 

【解説】一般的にこの言葉で思いつく漢字は、「火を消す消火、食べ物を消化」という「消火、消化」だと思われますが、下水道においては、別の漢字や同じ漢字でも異なる意味があります。

 

また、水処理、汚泥処理において内容が異なるため、下水道を良く知らない方には困った言葉です。

 

水処理においては、細菌を用いて下水中にあるアンモニア性窒素を亜硝酸性、硝酸性窒素にする作用を意味し、「硝化」という漢字を用います。下水中の窒素を窒素ガスへ変換除去(脱窒:だっちつ)するための前段処理として位置づけられています。

 

「硝化」を行う細菌は、アンモニア性窒素を亜硝酸性窒素にするアンモニア酸化菌(亜硝酸生成菌)、亜硝酸性窒素を硝酸性窒素にする亜硝酸酸化菌(硝酸生成菌)が良く知られており、総称で「硝化菌:しょうかきん」とも呼んでいます。名前が示すとおり酸化作用により反応が促進されるため、好気性処理で硝化は行われます。この後は、脱窒菌やアナモックス細菌により窒素ガスへ変換されます。

 

汚泥処理においては、一般的に下水汚泥を嫌気性状態にして細菌を用いて有機分を分解しメタンガスや、二酸化炭素に分解する発酵作用を意味し、「消化」という漢字を用います。

 

「消化」の行程は、細菌により嫌気性状態で高分子の有機分を低級脂肪酸に分解し、さらに細菌(メタン生成細菌)により低級脂肪酸をメタンガスや二酸化炭素に分解します。好気性状態で汚泥を分解する消化もあるため、厳密には、上記消化は嫌気性消化といいます。嫌気性消化は、一般的に約35℃に加温された状態で行われますが、約55℃まで加温した状態で行われることもあります。生成された消化ガスは、メタンガスを約60%含み、発電などの燃料として有効利用することが注目を浴びています。

 

     (技術開発課 橋本康弘)

 

 

 

 

━━☆★ 下水道よもやま話 ★☆━━

 

<継続は力なり>

 

この情報メールの記事には元ネタがあります。JS内部向けに昭和63年頃から月刊で発行し続けているニュースレター「技術開発部だより」です。この中から記事を選別し独自の記事を加えメルマガを編集しています。いい意味での「使いまわし」です。

 

昭和47年のJS設立から数えると「部だより」は、JS技術開発部の半分以上の期間の出来事を記録し続けています。統計や年表には出てこないことが記録されています。人の知識や経験は、その人がいなくなると頼れなくなります。JSは人の動きが激しいので、当時、何があり誰が絡んだのかを探る場合などに「部だより」は人の記憶を補完する貴重な資料となっています。継続するとそれはそれで力となります。

 

近年、JS技術開発の成果を問われる場面が多くあります。よく引き合いに出すのがOD法やペガサス、近年の成果ならステップ多段法やMBRなどです。

 

ところが、この辺の開発経緯を知らない人からは、いとも簡単に「OD法の普及はJSがなくてもできたのでないか」などと言われます。JSではなくてもJSの役割をどこかで担う必要はありました。そのことは現在も変わっていません。

 

組織も人と同じで、その組織が営々と育んだ知識や経験は、組織がなくなれば継続せずに相当部分が消失します。次への展開にも繋がりません。継続するにはこれまた努力が必要で、最近、富みに、JS技術開発の成果を発信し続け、人々の記憶に残す重要性を痛感している次第です。

 

ちなみに、この情報メールには、創刊号ならぬ「第0号」というものがあります。バックナンバーも残っていません。記憶している人はほとんどいないと思います。創刊号の発行が遅れ、窮余の策で「お詫び」を「第0号」で配信したのです。遅れた理由は忘れましたが、今回の情報メールの発行が遅れたのは、私の原稿が遅かったからです。お詫び申し上げます。

 

          (技術開発課長 川島 正)

 

 

 

 

 

━━☆★ 部長コーナー ★☆━━

 

 <発見!?オゾンの町(その2)>

 

メルマガ9月号の「よもやま話」のコーナーで、名古屋市東区にある市営地下鉄の大曽根駅が、英語で”Ozone”(オゾン)と表記してあるという話を書きましたが、その後、オゾン関連で新たな発見がありましたので、今回はその報告です。

 

先日、大阪に出張があり、新横浜駅から新幹線に乗った際のことです。横浜線で新横浜駅に着き、ホームを新幹線乗り換え口に向かって歩いていた時、何気なく見ると線路を挟んだ古いビルの壁に「オゾン」という文字が見えたような気がしました。

 

まさかと思って立ち止まり良く見ると、なんと「オゾン通り飲食店街」という看板が出ているではありませんか。これはオゾン関係者として見逃す訳には行かないと、行ってみることにしました。

 

その「オゾン通り飲食店街」は、新横浜駅の篠原口という、良く探さないとわからないくらい小さな出口をでた駅裏のビル内にありました。「通り」と言っても、寿司屋、居酒屋、蕎麦屋、喫茶店等、6件ほどの店がビルの1Fに集まった小さな飲食店街です。それにしても、何故、ここが「オゾン通り」なのか?各店舗は特にオゾンとは関係なさそうだし、周囲を見渡しても、オゾンを連想させるようなものは全く見当たりません。

 

喫茶店にでも入って、「オゾン通り」の名前の由来について、取材を敢行しようかと思いましたが、残念ながら新幹線の出発時間が迫っており、とりあえず写真を撮ってきました。

 

その日、家に帰ってから、「オゾン通り」をネット検索してみると、500円の鰻丼があるとか、そう言った情報は出てきたものの名前の由来は分かりませんでした。ただ、飲食店街の名前に使われているくらいですから、オゾンという言葉はプラスイメージのようですね。どなたか、「オゾン通り」の名前の由来をご存知の方は是非、ご一報下さい。

 

※PDFで写真が添付されています。

 

           (技術開発部長 村上孝雄)

 

 

 

 

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