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技術開発

JS技術開発情報メールNo.232

 

■◇■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ JS技術戦略部 ━

【JS技術開発情報メール】 

           No.232 2021.2.25

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 いつも「JS技術開発情報メール」をお読みいただきありがとうございます。

 関東では観測史上最早で「春一番」が吹き、最近は桃の花が満開になりつつあります。

桜が咲くのはもうすぐでしょうが、今年のお花見はまたお預けなのでしょうか。

早く体いっぱいに春を満喫したいものです。

 では、今月号も最後までお付き合いのほどよろしくお願いいたします。

 

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 【 もくじ 】

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『1』 はじめに

◇ 「JS-TECHの水先案内人(第5回)」

   〜AIを用いた水処理自動制御技術の開発〜  (技術戦略部長 橋本 敏一)

 

『2』 技術情報 

◇ よく見かける下水道用語 「防食被覆層」   (技術開発企画課)

 

『3』 下水道よもやま話

◇ 「(今さらですが)活性汚泥のこと」  (技術開発企画課長 糸川 浩紀)

 

『4』 国・公共団体・企業の主に海外の水関連の動き(1月分)   (国際戦略室)

 

『5』 国際戦略室からのお知らせ

◇ 「AAA会議分科会での「国際業務虎の巻」の改訂」    (国際戦略室)

 

『6』 研修センターからのお知らせ

◇ 「令和2年度下水道経営セミナー(地方研修)振替開催のご案内」  (研修センター)

 

『7』 編集後記

 

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【1】はじめに

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「JS-TECHの水先案内人(第5回)」

 〜AIを用いた水処理自動制御技術の開発〜

 

 年明け早々発出された緊急事態宣言は、10都府県を対象に3月7日まで期間延長され、私たちJS技術戦略部でも、年度末の繁忙期ではありますが6〜7割のテレワークの実施を目標として、感染拡大予防に努めながら業務を遂行しております。

 

 全国の新型コロナウイルスの新規感染者数は、緊急事態宣言発令直後は1日あたり7000名前後で推移していましたが、この一週間は1500名前後(2月13日時点)となっています。緊急事態宣言発令以降、全体的には減少傾向を示しており、1ヶ月で緊急事態宣言による効果が出てきているように思いますが、今後、感染者数がさらにどう推移し、緊急事態宣言が解除されるのか、再延長されるのか気になるところです。国内の感染者数の予測については、グーグルが将来28日の間に予測される陽性者数などを昨年11月から公表しています。これは昨年8月からアメリカで提供されている予測のモデルをベースとして、日本国内でのデータを用いて日本版として開発されたもので、AI(Artificial Intelligence:人工知能)が活用されています。新型コロナウイルスとの闘いでは、感染者数等の予測のほか、治療薬やワクチンの開発、今後行われるワクチンの接種対象者の決定など、様々な場面でAIが活用されています。AIなしには新型コロナウイルスと闘えないと言っても、決して過言ではないと思います。

 

 さて、多少強引な前振りはここまでとして、本題に入りたいと思います。今回ご紹介するのは「AIを用いた水処理自動運転制御技術の開発」に関する調査研究です。本調査研究は、下水道技術を牽引、進化させ、下水道の発展に寄与する先導的な技術の調査研究を行い、その成果を民間企業等との共同研究や地方公共団体などと連携した実証研究へと発展させることにより、下水道界全体への技術還元を目的とする「基礎調査研究(先導技術)」の一つとして、平成29年度から令和3年度までの予定で実施しているものです。

 

 トンネルや橋梁などのインフラ分野では、大量のストックの老朽化の進行や保守点検などを行う熟練技術者の減少などの課題を解決する手段の一つとして、AIを活用した設備点検の効率化が期待されており、すでに様々な取組みが行われています。下水道においても、AIを活用した管路施設の調査点検技術の開発・実用化が進むとともに、AIの下水処理場の運転管理への活用に対しても期待が高まっています。

 

 本調査研究では、平成30年度の国土交通省の下水道革新的技術実証事業(B-DASH)のFS調査に採択された「AIを活用した下水処理運転管理支援技術に関する調査事業」(安川電機・前澤工業・JS共同研究体)で開発した「水処理制御支援技術」(以下、「本技術」とします。)をJS技術開発実験センター※(栃木県真岡市)内に設置した活性汚泥処理実験プラント(別紙図1参照)に実装して、実下水を用いた連続実験を行います。なお、実験プラントは昨年12月末に完成し、本年1月より実験を開始しています。

 

 本技術は、運転管理の効率化・省力化や熟練技術者不足への対応など図るため、AIにより多数の計測データから水処理施設の運転条件設定値(曝気風量、余剰汚泥引抜量等)を予測し、運転管理者に対してガイダンスを行う技術です(別紙図2参照)。そのため、現状では、設定値の変更は、運転管理者が判断し、手動で行うことになります。一方、本調査研究では、本技術で予測された結果に基づき、実験プラントの設定値を自動で変更し、運転の安定性や処理への影響などを確認します。これにより、本技術を一つのモデルケースとして、水処理プロセスの自動制御技術へのAIの適用可能性の検証、実用化に向けた課題の整理などを行います。

 

 AIについて、現時点で明確な定義は定まっていないようですが、情報通信白書では「人工的に作られた人間のような知能、ないしはそれを作る技術」と説明されており、最近よく耳目するディープラーニングなど、様々な技術を含む総合的な概念です(別紙図3参照)。本技術では、このうち、近年様々な分野で利用される「機械学習」の一つである「ランダムフォレスト」という手法を利用しています(別紙図4参照)

 

 機械学習は、大量のデータ(学習データ)を学習させ、データが持つパターンやルールを発見させてモデルを構築し、それを新たなデータに当てはめて、新たなデータに対する判別や予測などを行う技術です。機械学習では、予測などの対象となる新たなデータが、学習データの範囲内である場合には、比較的精度高く予測などが可能ですが、範囲外である場合には、予測などが難しくなります。そこで、AIを水処理プロセスの自動運転制御に実装するには、流入水量や水質の異常な変動や運転条件の変更といった学習データに含まれない未経験の事象に対して、予測結果がどのような挙動を示すのか、また、実現象で生じる様々な変動に対して、安定的に運転を行い、処理水質を維持するためには、予測結果をどのように運転に反映させればよいかなどについて明らかとし、安心して利用できる技術としていくことが必要と考えています。

 

 人口減少や地方財政の悪化などの進行に伴い、今後さらに下水道技術者が減少し、技術承継が困難となっていくことが予想されます。本調査研究で取り組むAIを活用した水処理自動運転制御技術は、これらの課題を解決するための有望な技術的手段の一つです。JSでは、本調査研究を足掛かりとして、続く5ヶ年(令和4〜8年度)で実規模での実証、実用化(実機導入)を目指しています。これから本格化するプラント実験の結果などについても、随時公表して参りますので、是非ご期待ください。

 

 本調査研究で実験プラントに実装する水処理制御支援技術については、次の扉よりB-DASHでの研究成果をご覧頂けます。

https://www.jswa.go.jp/g/g01/g4g/pdf/19-001/04.pdf [P.102〜119に掲載]

 

※JS技術開発実験センター

https://www.jswa.go.jp/g/g6/m_shisetu.html

 

別紙図参照

https://www.jswa.go.jp/g/g5/g5m/mb/pdf04/232-1.pdf

 

                          (技術戦略部長 橋本 敏一)

                       

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【2】下水道情報

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  よく見かける下水道用語「防食被覆層」 

  

 JS技術戦略部では、下水道施設内のコンクリート表面を腐食環境から遮断する防食被覆層が実際の腐食環境下でどのような劣化状況にあるかを調査しています。令和3年度はこの調査結果を総括する節目の年度ですので、今回の「よく見かける下水道用語」では、防食被覆層について、概説したいと思います。

 下水道施設内のコンクリートは・・・

 

▼続きはHPで↓

 https://www.jswa.go.jp/g/g5/g5m/mb/pdf04/232-2.pdf

 

(技術開発企画課)

 

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【3】下水道よもやま話

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「(今さらですが)活性汚泥のこと」

 

 唐突ですが、今回は、私の専門である生物処理の主役、「活性汚泥」について語ります。教科書に書いてあるような話はすっ飛ばして「よもやま」調で。

  「活性汚泥」、反応タンクに入っている茶色いアレですが、元は英語の「activated sludge」です。直訳調では「活性化された汚泥」、ですね。では、活性汚泥法を構成する以下の要素のうち、活性汚泥を「活性化された汚泥」足らしめている本質は、どれでしょうか?

 

 @反応タンク(+エアレーション) A最終沈殿池  B返送汚泥  C余剰汚泥

 

  極端な例ですが、反応タンクに(活性汚泥を入れずに)下水だけを入れてブクブクとエアレーション(曝気)を行うだけでも・・・

 

▼続きはHPで↓

 https://www.jswa.go.jp/g/g5/g5m/y/pdf2/y211.pdf

                       

(技術開発企画課長 糸川 浩紀)

 

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【4】国・公共団体・企業の主に海外の水関連の動き(1月分)

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日付 キーワード URL
1月12日 環境省 アジア 水環境改善セミナー
  https://portal-worlds.com/news/asean/23022
1月27日 大阪市 HIS 協定 海外の水道関係者視察
  http://www.ryoko-net.co.jp/?p=89856

 

(国際戦略室)

 

 

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【5】国際戦略室からのお知らせ

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「AAA会議分科会での「国際業務虎の巻」の改訂」

 

 「下水道分野における地方公共団体の国際展開ノウハウ集(国際業務虎の巻)」は、国土交通省下水道部が運営するWES Hub(水・環境ソリューション ハブ)に登録している都市であるAAA(Alliance Advanced Agency:水・環境インフラ分野について先進的な技術・経験を持つ都市/JSを含む12の地方公共団体等の機関が登録)において、国際業務に関する知見を集約し共有することを目的にしたノウハウ集であり、初版は2018年度(平成30年度)に作成されました。また、これに付随する資料版である「データ集」は2019年度に発行されております。

 しかしながら・・・

 

▼続きはHPで↓

 https://www.jswa.go.jp/g/g5/g5m/mb/pdf04/232-3.pdf

 

(国際戦略室)

 

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【6】研修センターからのお知らせ

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「令和2年度下水道経営セミナー(地方研修)振替開催のご案内」

 

 日本下水道事業団研修センターでは、市町村合併等に伴う下水道担当職員の減少、厳しい財政事情等の理由により、戸田の研修センターへの派遣が難しい団体様にも研修をご受講いただけるように、研修センター教官が出張し各地方の会場で開催する「地方研修」を、主に経営コースについて、平成15年度から行っております。本号では、新型コロナウイルスの影響により、令和2年度から令和3年度に実施の振替を行う下水道経営セミナー(地方研修)につきましてご案内いたします。・・・

 

▼続きはHPで↓

 https://www.jswa.go.jp/g/g5/g5m/mb/pdf04/232-4.pdf

 

 カリキュラム参加申込書等の詳細につきましては、地方共同法人日本下水道事業団ホームページをご参照ください。

 また、新型コロナウイルスの感染防止のため、研修を中止することなどがございますので、最新の情報をホームページでご確認ください。

 

 https://www.jswa.go.jp/kensyu/goannai/iciran/iciran.html#chihou

                               

(研修センター)

                             

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【7】編集後記

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2021年も2か月が過ぎようとしています。早いなぁ。さて、私はたまに「占い」なるものを見たりするのですが、2021年は「200年以上続いた “土の時代” が終わり “風の時代” になる」のだそうです。「自己プロデュースや自らの発信力が鍵」になり、「さまざまな情報に振り回されないよう、自分にとって本当に必要なものを選び抜くのが大切」なのだそう。「形あるものではなく目に見えないものの価値、心の豊かさに立ち戻ろうという素晴らしい“魂の目覚め”を意味している」。ふむふむ。私の “風の時代”は… 他人に何を言われようと、ほかに目移りしそうになっても、頑と自分の意志を突き通し、「脂肪」リスクを恐れず、今日のランチは “チーズハンバーグ&ミニオムレツ定食(ライス普通盛り)” を選び、芳醇なデミグラスソースの香りと美味に心を震わせ、午後への、そして明日への活力に… 食魂の目覚めです…

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