技術の特徴

MBRにおける膜ろ過の概念図
MBRは、膜による固液分離を行うため最終沈殿池や消毒設備が不要となるなど、施設のコンパクト化が可能ですが、消費する電力量の大きさが課題でした。本技術は、膜の改良等による膜の洗浄に係る空気量の削減や、最初沈殿池の使用によるシステムの最適化等により、従来のMBRと比較して省エネ化を実現したものです。また、一定範囲の流入水量の変動にも対応が可能です。
導入対象・規模
- 生物処理方式は循環式硝化脱窒法であり、施設の高度処理化に対応可能です。
- 中大規模(処理能力3,000m3/日以上)で導入が可能です。ただし、本技術で使用するMBR用膜は、小規模でも利用可能です。
メリット・デメリット
メリット(導入効果等)
- 膜の改良や膜洗浄曝気方法の改良等による省エネ化。
⇒従来の高度処理法と同等レベルの単位水量あたり消費電力量0.4kWh/m3以下を実現。
デメリット(留意事項等)
- MLSS濃度の適切な管理が必要。
- 従来のMBRと同様に、低水温時には膜差圧が上昇しやすくなるため、運転管理に注意が必要。
導入推奨ケース
- 既存水処理施設の高度処理化や再構築に際して、MBRの導入をご検討の中大規模の下水処理場でにおすすめです。
セラミック平膜を用いた省エネ型MBRシステム
- セラミック平膜の堅牢性と耐薬品性を生かした膜洗浄方法による膜洗浄空気量の削減。
- 低MLSS濃度(8,000mg/L)、DO一定制御(設定値0.8mg/L)運転による補助散気空気量の削減。

細径PVDF中空糸膜を用いた省エネ型MBRシステム

- 高集積化が可能な細径PVDF※中空糸膜と低風量型膜洗浄散気装置からなる膜ユニットの採用による膜洗浄空気量の削減。
- 超微細気泡式補助散気装置の採用による補助散気空気量の削減。
※ポリフッ化ビニリデン (PolyVinylidene DiFluoride)

オゾン水による膜洗浄を用いた省エネルギー型MBRシステム

- 次亜塩素酸ナトリウム水とオゾン水を併用する新たな膜洗浄方法による高フラックス化、膜ユニット数の削減
- 膜差圧に応じた自動制御による膜面曝気風量の最適化
注) 上記のラインアップ技術以外にも同等以上の省エネルギー性能を有する複数のMBRシステムが開発されています。
水量変動に対し安定した運転も可能です!
- 従来のMBRは、流量調整池を設置して流入水量を平準化し、一定の膜ろ過量とする必要がありました。
- 「省エネ型MBRシステム」では、一定範囲の水量変動※に対して、膜ろ過量を一時的に増加させる「ピークフラックス運転」による安定運転が可能です。
※対応可能な変動比の例:ピーク比1.4(4時間継続)×2回/日など