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省スペース化、ダウンサイジング、設備簡素化等

解決策15

標準法(処理水量10,000m3/日程度以上)の既存施設を活用し、省スペースでの高度処理化(窒素除去)を実現します。

JSが提案するソリューション技術

標準法の既存施設を活用し、既設の処理能力を維持したままで、高度処理化(窒素除去)が可能な『省スペース型高度処理技術』をご提案します。

技術の特徴

既存施設を活用した一般的な高度処理化のイメージ

標準法の既存施設を活用して高度処理化を行う場合、反応タンクの必要容量等が増加するため、同一の処理能力を確保するためには、反応タンク等の増設が必要となります。そのため、建設コストの増大や増設スペースの確保等が課題となります。反応タンクに担体や膜、曝気風量の最適化制御を導入すること等で、既存施設を活用し、省スペースでの高度処理化が可能です。

導入対象・規模

  • 標準的な都市下水を対象とし、窒素除去を目的とする高度処理化が必要な下水処理場が対象です。

メリット・デメリット

メリット(導入効果等)
  • 処理能力の維持、増設の回避。
    ⇒増設コストの縮減、増設スペースの確保が不要。
デメリット(留意事項等)
  • 既存施設の躯体形状によっては、大幅な躯体の改造が必要。構造設計上、導入できない場合がある。

導入推奨ケース

  • 標準法施設の高度処理化にあたり、水処理施設の増設スペースがない場合におすすめです。
  • 将来、人口減少等に伴う流入水量の減少により、高度処理化で増設する処理能力相当分の処理能力が不要になると予想される場合におすすめです。

LINE UP技術ラインアップ

担体投入活性汚泥法 (リンポープロセス)  高度処理対応型

特徴
  • 固定化担体を反応タンクに投入し、活性汚泥を高濃度に保持することで、従来の高度処理法より短い処理時間で窒素除去を行うことが可能。
メリット (導入効果等)
  • 反応タンクや最終沈殿池を増設することなく、標準法と同等の水量を高度処理化可能(浮遊汚泥濃度は標準法と同等)
  • 担体の耐用年数は、一般的な機械設備と同等の15年以上。
デメリット (留意事項等)
  • 既存施設に導入する場合、担体分離装置や硝化液循環・担体返送配管等の設置について検討が必要。
  • 担体に活性汚泥が十分に保持されるまで、一定の時間が必要。

膜分離活性汚泥法(MBR) ▶ 課題01 – 解決策04 参照

特徴
  • 固液分離を膜ろ過で代替し、完全な固液分離を可能とすることで、良好な処理水質がコンパクトな施設により得られる。
メリット (導入効果等)
  • 最終沈殿池(主として小規模の場合)、消毒設備、汚泥濃縮設備、砂ろ過設備の省略が可能。
  • 浮遊物質(SS)、大腸菌群が検出されない良好な処理水質。
  • 活性汚泥の高濃度化及び固形物滞留時間(SRT)の長期化による汚泥発生量の削減
デメリット (留意事項等)
  • 前処理(微細目スクリーン等)や流入水量変動への対応が必要。
  • 膜の物理的洗浄(曝気洗浄)に要する電力消費量が大きい。

 

従来の活性汚泥法とMBRの処理フローの比較

 

膜ユニットの設置状況例

多槽循環式MBRシステム

特徴
  • 無酸素タンク・好気タンクを4段直列に配置し、各段への均等流入、内部循環を共通化したMBRシステム。
  • 従来のMBRと同等のHRT(水理学的滞留時間)にて、極めて高い窒素除去性能を有する。
メリット (導入効果等)
  • 従来MBRのメリットを有しつつ、より高い窒素除去(全窒素除去率で90%程度)が可能。
  • 既設標準法を高度処理化する場合、一部系列への本技術導入による建設・維持管理コストの削減。
  • 一定範囲の流入水量の変動にも対応が可能。
デメリット (留意事項等)
  • 従来MBRと同様、前処理が必要。
  • 窒素除去性能を確保するため、好気タンクのDO濃度の適切な管理が必要。

 

高効率固液分離技術と二点DO制御技術を用いた省エネ型水処理技術

特徴
  • 高効率固液分離による固形物の効率的な除去。
  • 流入汚濁負荷量の削減による反応タンクの処理能力増加による省スペース化。
メリット (導入効果等)
  • 二点DO制御による曝気風量の最適化で省エネと処理水質の安定化。
  • 標準法と同等の処理能力を維持した高度処理化による省コスト、省スペース化。
  • 生汚泥量の増加によって濃縮性と脱水性が向上することによる脱水ケーキ量の削減。
デメリット (留意事項等)
  • 既存施設を利用する場合、最初沈殿池内への隔壁の設置、反応タンクの無終端水路化や仕切り壁の設置ができない場合は導入不可。
  • 各種水質センサーの適切な保守管理や交換が必要。

単槽型硝化脱窒プロセスのICT・AI制御による高度処理技術

特徴
  • 隔壁のない単槽型反応タンク内で無酸素・好気ゾーンを形成。
  • 流入負荷変動に応じたAI・ICTを活用した送風量の自動制御により、従来の硝化脱窒素法よりも短い処理時間で同等の処理が可能。
  • 生物学的りん除去を行う場合は嫌気部を設置。
メリット (導入効果等)
  • 流入負荷変動に応じたAI・ICTを活用した送風量の自動制御による送風電力の削減と運転管理の効率化。
デメリット (留意事項等)
  • 既設阻流壁を残して技術導入する場合、阻流壁の配置パターンを考慮した検討が必要。
  • 送風機設備の風量及び圧力の制御範囲が狭いと導入効果が十分に発揮されない。
  • 各種水質センサーの適切な保守管理や交換が必要。

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